京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

真如堂の総門前でちらほらと……

2016-10-19 11:44:09 | 園芸・植物・自然環境
そろそろ今年の紅葉について気になる時期ですが、桜の花が咲いています。




真如堂(真正極楽寺)の総門前に植えられている桜のうちの1本だけですが、いわゆる「狂い咲き」「返り咲き」ですね。




たしか門前の桜は、秋にも咲く不断桜などではなく、ソメイヨシノだったと思うのですが……。
何らかの原因で夏の間に休眠物質がつくられずに咲いてしまったのでしょうか。




桜は7月頃に花の元となる花芽原基が分化しますが、このままだと来春まで待たずして蕾を形成して開花へと進んでしまうので、青々と葉っぱが茂っている真夏の間に来春まで眠らせるための休眠物質(生長抑制ホルモン:アブシシン酸)もせっせとつくって花芽まで移動させます。料理でいえば、下ごしらえだけして、そのままいったん寝かせるよう準備をすることになるでしょうか。

その後、一定期間低温にさらされること(つまり冬を経験すること)により休眠物質が減少し、同時に生長促進物質(生長促進ホルモン:ジベレリン)も増加させ、温度が上がるにつれ蕾が形成され開花します。つまり、また料理でたとえると、秋から冬にかけては味をなじませるため冷蔵庫で一定期間寝かせている状態で、春が近づくと常温に戻して調理して盛り付ける(開花)ということになるでしょうか(ちょっと違うかな?)。

ただ桜に限らず、夏のうちに花芽をつくって春まで休眠させる植物では、夏の間に何らかの原因で葉っぱがなくなってしまったりして休眠物質がつくられない状況になると、いわゆる「狂い咲き」「返り咲き」と呼ばれるように、秋に開花してしまいます。

花芽形成や開花生理は、植物ホルモンの有無だけでなく日長や気温などの外的因子による調節も受けて複雑なので、おおざっぱな説明になりますが……。




と少し難しい話になりましたが、秋の花の散策に出かけて、思いもよらず桜の花を楽しむことができたのは小さな幸せでした。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 前の記事へ | トップ | 次の記事へ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。