北山丸太いろいろ(1)では北山丸太の主な種類をご紹介しました。今回は加工商品の代表的な例です。
北山面皮柱(きたやまめんかわばしら)
磨丸太を手斧(ちょうな)などで製材し、丸太の木肌を残しながら木目の美しさを引き出したものです。
古くから数寄屋づくりのお茶室や京町家の柱などに使用されているもので、この呼び名は加工と言うよりは一つの種類のように用いられています。
丸いから丸太。北山丸太は一般的に丸いまま使用しますが、例えば壁面で障子、襖など建具と共に使用する場合は丸いままではいけません。僅かな元末の差だとしても隙間が出来てしまうからです。
そこで考えられたのがはつって平らな面を作るという方法。そして同時に美しい木目と残された丸太の面も楽しめる一粒で二度美味しい結果が得られたのです。
皮(木肌)を5~6分残して丸太の四面を削ります。皮の部分には丸太表面の風合いが残り、削った部分には美しい木目が現れます。
こちらは製材したもの。皮の部分は磨丸太ですが、天然絞りならではの柔らかい絞り模様も楽しめます。
勿論、昔は製材機なんてありません。手斧でハツっていました。以前、このブログでも現在もされている「チョンナはつり」をご紹介しましたね。その独特の表情は熟練の技でしか表せられないものでしょう。
上から見たら良くわかります。続いてはこの面皮柱を加工した新しい製品です。
洛北(らくほく)
北山丸太の新しい用途として腰板・壁板用に開発された製品です。木肌と木目の両方の美しさを持ち、公共施設から店舗、住宅など幅広く用いられています。
元末の差を考えるとそんなに長尺は期待できません。ですので腰板には最適ですし、壁板の場合は繋ぎます。
壁面の加工例は京都北山杉の里総合センターの交流活動室でも見ることが出来ます。
このように面皮柱の両サイドをおよそ2.5cm切り取ります。丸みを帯びた皮の部分が生きています。加工すると最終的には2cmの厚みになります。
両サイドを巾を決めて落とし、ジョイント用薄板をはめ込むスリットを加工します。このジョイント用薄板のことを専門用語で雇い実(やといざね)と呼ぶそうです。この雇い実をはめ込んでビスで壁に止めながら繋いで行きます。
あ、両サイドだけでなく、後ろ(壁面になる方)にもスリットが入っています。
これは反り(そり)防止のため。丸太に背割りを入れるのと同じ考え方です。どんなに乾燥してもやはり木は生きています。大切な壁面に使用するのですから万全の対策です。
面皮柱を彷彿させる姿。美しい木目と磨丸太の柔らかい風合いと光沢がとてもいい感じ。
こんな壁面のあるお家に住んでみたいなぁ。。。
さて、次回は杉の里総合センター内の様ざまな個所ではどんな風に北山丸太が使われているのか調査(?)してみたいと思います。
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