旧正月。中国は春節、韓国ではソルラルと言いますが、私たち日本のお正月よりもこの旧正月の方が重きを置かれていて盛大にお祝いをします。アジアではこのように一年の節々で似たような風習がありますが、それぞれ特色があって飾りつけや食べ物などを見てみるとなかなか面白いです。
そんな旧正月も終わって、1月も残すところわずかとなりました。この時期、北山杉の山では大切な作業が行われています。
情報を入手して、23日の月曜日に取材を決行しました。
場所は京北町・宇野の山。南丹市との境に位置するところです。ポチポチと霙まじりの雨が降り、時には青空が顔を覗かせると言った天候で気温は2℃。
山道を進んで行くと、何やらきな臭い…あ~っ!もくもくと煙が!山火事?!大変だ~!
…なワケはなく、「もやき」の最中なのでした。
「もやき」とは次の植林の地ごしらえのために、伐採後の残材などを燃やすことです。
特別許可を得て消防署にたき火申請も提出します。知らない人がもやきの近くを通ったら「山火事だ!」と通報されることもあるそうですが(ビックリしますよね)、通報されてもちゃんと届けてあるので大丈夫です。
山を焼くという事は大変危険をともない、正式に許可を得て実施することが必要です。
それだけ実施する時期も天候とにらめっこで、今回のように道路ぎわで行う場合は煙が視界を悪くしないように風向きも考慮しなければなりません。
太い木のままでなく、細かくして燃やすので枝をチェーンソーで落とします。
何だか可哀想みたいですけれど、これも次に育つ北山杉のために養分になると思って。
ここは割合平坦な土地ですが、山の斜面を登りながらする場合もあります。
落とした枝を集めて一か所にかためます。
最初はボロ布に灯油を含ませて火をつけ、燃えやすい枯れ枝からくべて行きます。これからどんどん落とした枝を燃やしていくには、火種をしっかり作ることが大切です。
Q.「気をつけないといけない事は?」 A.「煙にまかれんようにすることやなぁ(笑)」Q.「ゴホゴホ」
枝は同一方向に重ねてくべないといけません。バラバラだと隙間が出来てしまい中が空洞になってしまうからです。
大きな炎があがることはないですが、結構速くかさが減ってきます。どんどん枝をくべながら「あ~あ。サツマイモを持って来るんだったなぁ」^^
一度に一か所で燃やすのではなく、ある程度一つのかたまりを燃やすと移動して別のかたまりを作ります。手前のはほとんど燃え尽きました。
太い枝が骨のように燃え残らないように足で踏みながら細かい灰にします。この灰も土壌への肥料の効果があるようです。
この後3月から4月にかけて、起こした苗木の土が乾かないうちに植林します。そして植林のあとに降る雨は「金の雨」と言われています。
鎮火には2~3時間かかると見て、一日の作業を予定します。火が消えたのを見届けてから、職人さん達は引き揚げます。
この日の天気予報は雪になると言うことだったので、さらに安心して帰れたでしょう。長年の勘と予報がバッチリ合いました。
そんな寒い日でも、お弁当の前には一旦着替えてられました。ズボンまでビッショリの汗だそうです。いかに重労働かがうかがえます。
いま立派に成長を続ける北山杉たちも20年、30年前は可愛い苗木でした。
その苗木が植林されてスクスクと育つことが出来る地づくりをするために、人は自然と相談しながら労力を惜しみません。
そして杉の枝が灰となってまた土に還っていくのを見ていると、何かチョット感動して少しお手伝いさせてもらったことが嬉しくなったのでした。