祖母は凄まじい人だったので色々ないわゆる武勇伝が
あるのですが自分が見た中で一番凄くて酷かったのを
紹介したいと思います。
ある日、水道管業者を名乗る若い男が3人来ました。学生の
自分が見てもわかる怪しさ。いわゆる年寄りを狙った悪徳業者
でした。しかし祖母は出迎えるやいなや…
祖母「あら、待ってたのよ」
業者「え?」
祖母「ちょうど話し相手が欲しいと思っていてね。今お茶を
出すから待っていて頂戴」
この時午後1時頃だったのを覚えています
お茶を出して業者を玄関に立たせたまま足止め。さあここから
祖母のマシンガントークが幕をあけます。相手にあいずちを
打たせるのが精一杯のとにかく隙の無い一方的な会話の押し付けが
続きます。私はTVゲームをしていましたが、次に時間を見た時
には既に午後4時頃…。
業者「あの、そろそろ…」
祖母「あら、お茶が無くなったのね。今すぐ入れ直してくるから」
業者「は、はあ…」
祖父が一言「完全に捕まったな…」
そこからさらにトークは続きます。気づけば午後6時前
祖母「あら、もうこんな時間だわ。晩ごはん作らないと」
業者「あ、あの…それで水道管ですが…」
祖母「そういうのは間に合ってるわ。他を当たってちょうだい」
業者「そ、そうですか…」
悪徳業者達はぐったり疲労困憊で祖母の家を跡にしました。
それからその業者はもちろん怪しい人物が訪ねてくることは
1度もありませんでした。実に5時間に渡るマシンガントーク。
さすがの祖父も「(悪徳業者が)可愛そうにな…」
自分もそう思いました。なお5時間ほど話続けた祖母は疲れた
様子が無いどころか久々にたくさん話せて楽しかった。
ととても嬉しそうでした。
考え方は人それぞれ違っていいわ。
価値観もね。だからこそ私は相手の
言う事が気に入らないと気に入らないと
ハッキリ言うのよ。
私の妹はよく出来た子でね。しっかりして
いてなんでも要領よくやるのよ。そりゃ姉
はこんな風になってしまうわよね(笑)
田舎に良い思い出は無いわ。結婚も親同士が
勝手に決めたものだったし。おじいさんと結婚
した時におじいさんからお前みたいな好きでも
なんでもないやつとわざわざ結婚してやるんだから
感謝しろみたいなこと言われたものよ。それが…
ふふ。結婚して既に何十年経つのかしらね。結婚
なんてそんなものよ
備忘録その9
※連載している祖母の言葉は父方の祖母です。
あんたのお母さんはしっかりしていてよく出来た人だわ。
私に無いものを持っている。あらゆることに気が配れる人よ。
私なんかなんでも大雑把だからね。あんたのお母さんみたいに
は無理よ。あれだけ他人に気を配るなんて疲れちゃうわ(笑)
(父方の祖父、つまり祖母の夫が亡くなった時の葬儀の際に)
あんたのお母さんが着付けが出来る人で助かったわ。こういう
着物の着付けは私出来なくて…いや昔習ったのかもしれないけど
もう忘れてしまってねえ…ほんと助かったわ。おじいさんを見送る
のだからちゃんとした格好でいかないとね
※母は服飾系の大学出身で着物会社関連でずっとパートをしていました
<嫁と姑というのは仲が悪いのが定番ですが、少なくとも祖母から
母への悪口は聞いたことが無いです。母はいつも祖母に怯えて
いましたが。自由に何でも言う人だから仕方ない>
備忘録その8
みんなが私を宗教の教祖みたいな感じで人生相談を
電話でしてくるのよ。私もまあお人好しだから相談
には乗るけど…どれだけ言っても結局最後に決めるのは
その人自身なのだから、もっと自分の考えを信じれば
良いのにね。人が何を言おうが気にする必要は無いわ。
その人の人生よ。私は長生きした人が偉いとは思わないし
逆に短命な人が悪いとも思わないわ。その人が自分の人生
をどう感じたかが大事よ。そしてそれはその人自身にしか
分からないことよ。子供が亡くなるニュースはみんな可哀想
というけど、私はそうは思わないわ。老人が亡くなるのは
可哀想じゃないのかしらね?人生の良し悪しは人生の長さで
決まるものでは無いわ。
備忘録その7