東大院生の独り言

東大院生が院試までの道のりをつぶやくブログ。
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6月③一番緊張した瞬間

2021-03-30 02:32:34 | B4

院試で一番緊張するのはどのタイミングだと思いますか?

 

大概の人は本番だと思います。

 

が、僕の場合一番緊張したのはTOEFLの練習問題を初めて解いた日でした。

 

TOEFL、日本ではTOEICの方が遙かに有名ですが、名前は聞いたことがある人は多いことかと思います。

 

僕も名前くらいしか知りませんでした。

 

TOEICだけでもなかなか大変ですが、TOEFLになると必要な語彙数は格段に増えます。

 

アカデミックな内容も多く、専門用語がバンバン出る上、日常会話では教科書ではなかなか出てこないようなフランクな表現も入ってきたりします。

 

僕が受けるITPはリスニング・リーディング・文法の3パートに分かれていて、310~667点の範囲で点数が付きます。何だその点数設定。

 

以上が僕が当時持っていた知識でした。本当にそれだけで、問題を解いた経験はありませんでした。

 

本番では得点率65%、つまりこの点数で言えば542点(換算方法知らないので多分ですが)取る必要がありました。

 

簡単そうですが、それなりにきついノルマです。

 

千葉大がTOEFL ITPとTOEICの換算を統計的に与えてくれています。

(https://www.cphe.chiba-u.jp/ge/activity/archive/pdf/plc08-02.pdf)

 

本文中で修正が必要とは書いてありますが、統計をちゃんと取っている分、一番これが信憑性があるデータなので、この資料にある換算式([TOEFL ITP Total]=[TOEIC IP Total]×0.229+344)をひとまず使いましょう。

 

するとTOEFLの542点はTOEICでは約865点ということになります。

 

本番の緊張感の中、この点数を確実に取るのは結構厳しいなと感じました。

 

そもそももしここでTOEFLに全く歯が立たないとなれば、院試の難易度は格段に上がります。

 

そういう意味で、TOEFLの問題を初めて解いたときは非常に緊張しました。

 

そして2時間もやっていると分かってくることがあります。

 

意外と通用する!

 

と思いました。特にリーディングと文法はかなり解きやすいです。量が少ない分、リーディングに関してはTOEICよりむしろ簡単なのではと感じました。

 

逆にネックになったのはリスニングです。講義を受けることを想定しているのでとにかく内容が面倒くさい。

 

アメリカ史の問題が結構あるのですが、一切と言って良いほどアメリカ史の知識がないことがネックでした。

 

記憶が朧気ですが、確か冒頭で

 

「ペリーは歴史上に2人居ます。1人はマシューペリー。日本に行った人物です。今回はもう1人のペリーの方について話します」(※英語で)

 

といった内容の音源が流れたあの瞬間ほど、ペリーが歴史の闇に葬られることを祈った瞬間はありません。

 

ペリーはとばっちりですが、自分の知識を掠めたにも関わらずそんな問題が流れれば心も荒みます。人間だもの。

 

終には他の科目を全部捨ててアメリカ史の勉強をしようかと考えるくらいには乱心していましたが、なんとか一命を取り留めリスニングの練習に励みました。

 

ちなみにこれはTOEICの対策をしていたときに、TOEICだけでは使える英語にならないだろうと洋書を読んだりTEDやポッドキャストを聴いていたのが良かったのだと思います。

 

ポッドキャストのおすすめはAll Ears Englishです。


6月②過去問を投げ捨てる

2021-03-30 02:31:33 | B4

ああー・・・期間が空いてしまった。もし読んでくれてる人がいたらすみません。予定をぽんぽん入れていったらいつの間にかとんでもなことになっていました。「予定帳ってこんな黒くなるんだ・・・」って思いました。皆さんもご注意を。

 

ーーー

6月の初週までに興味がある研究室の訪問を全て済ませ、いよいよ後は試験対策に本腰を入れるだけ、というタイミングで僕は悩んでいました。

 

過去問を見る限り、正直過去問通りの難易度なら受かるなと考えていました。

 

しかし、前年度の数学が難しくなっているなという印象を受けました。

 

以前の記事でも少し書いた様に、相関基礎科学系の専門科目の試験は選択式で、数学1題・物理4題・化学4題・生物2題・科学史、科学哲学4題から3題解けば良いので、数学が難化すれば自分が勉強してきた得意科目を解けばいいだけの話です。しかし数学の難化傾向を見たとき、確信めいた嫌な予感がしました。

 

「これ今年数学以外も難しくなるんじゃない?」

 

僕は昔から本番に弱いタイプです。いえ、僕が弱いと言うより試験が強いのです。

 

気のせいと言われればそれまでですが、何故か僕が受けるとその入試は昨年までと傾向が変わるということは良くあることでした。

 

恐らく前世はインサイダー取引で巨万の富を得ていたとかだと思います。

 

今回も間違いなく傾向が変わって難しくなると踏んだ僕は、難易度が高くなっても確実に合格するにはどうすれば良いかを考えなくてはいけませんでした。

 

とはいっても、できることは多くありません。結局のところ問題を解かなくては試験ができるようにはならないのです。

 

少し悩みはしたものの、過去問は一切解かずに、過去問より難しい問題集をひたすら解くという方針になりました。

 

生協に向かい、1時間しっかり吟味して問題集を購入し、早速家に帰って解き始めました。

 

院試も相当のストレスでしたが、理系は4年生になって初めて研究室に入り、それまでとは生活が一変します。

 

仲が良い友だちと話す機会も急に減り、今までとは全く違うことをすることも大きなストレスでした。

 

問題を解いている時間はある意味一番リラックスできる時間だったかも知れません。

 

大学入試を懐かしみながらひたすら机に向かって問題を解く日々が始まりました。

 

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<追記的なもの>

過去問を一切解かないというのは奇を衒った作戦のように思えるかもしれませんが、実は結構合理的な面もあります。

 

実は大学院の過去問は模範解答が基本的に無いんです。(内部生の間では出回ってたりすることもありますが)

 

ではどうするかというと、そこを志望する人が集まって議論しながら解いたりするのが一般的です。

 

人がある程度集まっても時間を必要とします。まして僕の身近には総合文化研究科を志望している人はいませんでした。(東大院志望はいましたが)

 

だから今考えても過去問を解かないというのは結構合理的だったかなと思います。


6月①研究室訪問

2021-03-12 01:30:35 | B4

「それで何が訊きたいの?」

 

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大学院試は基本的に辛いことの方が多いですが、中には楽しいこともあります。

 

説明会や、研究室訪問はその一つです。

 

僕は、東大院と自分の大学の院の他にもう1つ大学院を併願していたため、その大学院の先生にメールを出し、そこの研究室にお邪魔することになりました。

 

いわゆる研究室訪問ですが、これは大学と大学院の入試の最大の違いだと思います。

 

大学は基本的に学力さえあれば入れるところが多いのに対し、院試は、(やはり学力試験の結果は重要ですが)お世話になる先生との相性も重要になってきます。

 

だから、外部の大学院を受ける学生は、事前にお世話になる先生に挨拶を兼ねてお話を聞きに伺います。これが研究室訪問です。

 

楽しくはありましたが、同時になかなか緊張するイベントでした。

 

いわばこれは0次面接です。粗相があってはいけないと気合いも入ります。

 

失敗しないよう事前にホームページの内容をよく見て質問を用意し、当日は新幹線で大学に向かいました。

 

実はこの大学にはオープンスクールで来たため圧倒されることはありませんでした。早く着いたので、少しまわりをうろつきながら、浮かんでくる記憶を懐かしんでいました。

 

そうこうしていると時間になって研究室に到着しました。

 

挨拶を軽く行い、開始2分、挨拶に伺った先生にいきなり訊かれたのが冒頭の言葉です。

 

文面だけ見ればもはや圧迫面接ですが、別に高圧的ではありませんでした。ただ寡黙な先生でいらっしゃったので、この質問が最初だったのだと思います。

 

だから別に帰りたくなったとかそういったことはありませんでしたが、僕は少ない知識で勝負しなくてはいけなくなりました。いきなりピンチです。

 

ホームページを見たなら大丈夫でしょう?というツッコミを頂きそうですが、そう簡単な話ではありません。

 

wikipediaで難しい学術用語を調べてみてください。例えば、ハーディ・ワインベルグの法則、ルベーグ積分、シュレディンガー描像などで知らない言葉があればぜひ調べて読んでみてください。そこから質問しろって言われてできますか?かなり難しいと思います。

 

当時の僕も似たようなものでした。大学4年生までいけばかなり詳しいことまで知ってるというイメージを持たれる方もいらっしゃるかと思いますが、実際には4月に研究を始めたばかりの初心者です。ホームページをしっかり理解するにはまだ時間がかかるという段階でした。

 

しかし簡単すぎる質問はできません。やり方次第ではありますが、「この学生はこんなことも知らないのか」と思われるのはあまり得策ではないからです。

 

結局手元のメモの中から、これはまずいかな・・・と思うものを省きながら騙し騙し質問するという闇のデュエルが始まりました。

 

ただ、そんな状態でも知らないことを知るのは楽しかったです。

 

3年生まででやってきたことでは想像もできないような研究に、そんなこともできるのかと思いました。

 

質問には(手元を見る時間があるため)絶妙な謎の間があったものの、きっと目の煌めきでは他の学生に引けを取ることはなかっただろうと思いながら研究室を後にしました。

 

10分持つのか不安でしたが、結局50分ほどお邪魔していたと思います。


5月⑤日常パート

2021-03-12 01:28:56 | B4

皆さんは5月は好きでしょうか。

 

僕は好きです。青空に新緑が広がっていると永遠にその道を歩きたくなります。

 

とはいえ院試の年は流石にのんびりお散歩しようという気持ちにはなりませんでした。

 

では院試の勉強以外をしていなかったかというと、全くそんなことはありませんでした。

 

自炊もするし、バイトもするし、ゼミの準備もするし、遊びもします。

 

やらなかったのはサークルぐらいです。

 

努めてそれまでの生活を崩さないようにしていました。

 

理由は単純でルーティンを崩してメンタルを崩すと勉強に手が付かなくなるからです。

 

これは大事なことです。

 

コロナで大変な思いをした人も多いと思いますが、特に一人暮らしはちゃんとした生活を送らないと、人との会話が無くなってメンタルがやられます。

 

試験を受ける上で一番意識しなくてはいけないのは、勉強時間を闇雲に増やすことではなく、日常を維持した上で捻出した時間で勉強することだと思っていました。

 

というわけで今回は少し休んで5月の日常パートです。5月の、とは書いたものの、このルーティンは結局テスト直前まで崩れることはありませんでした。

 

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アルバイト

 

アルバイトは塾講師をしていました。

 

5月というと、だんだん中間テストなどが近づいてくる時期です。生徒に「勉強しないとだめだよー、一緒に頑張ろう。」と言いながら、自分の胸に深々とブーメランが突き刺さるのを感じていました。

 

ただ、塾講師は僕にとって大事な支えでした。

 

生徒は子供です。子供から見た大人は立派に見えるものです。僕はこの子達にいざ何かあったとき、例えば悩んでいるとき、この人に頼りたいと思える完璧な大人に成れているだろうか。といつも考えていました。

 

だから自分が辛くても笑顔を絶やすことはありませんでした。東大の院に受かっても、それを生徒に伝えることはありませんでしたが、完璧な大人を演じるために勉強

で失敗はできないという思いがモチベーションの一つになっていました。

 

それに生徒達はとても良い子達が多かったです。あの子達の屈託の無い笑顔に救われていたところもありました。

 

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自炊

 

ストレスが溜まるとビーフストロガノフを作ってました。美味しい。試験前に作るものじゃないだろと思いながら食べてました。

 

ビーフストロガノフ作る院試勢なかなかいないと思うので、ここで身バレしないか心配です。

 

ビーフストロガノフで身バレとか恥ずかしすぎる。

 

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遊び

 

友だちと普通に遊びに出かけていました。

 

カラオケやショッピングに行ってました。明るい友人が多くて助かってました。

 

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ゼミ

 

'(ノ*'ω'*)ノ彡┻━┻

 

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そんな感じで適度にリラックスしながら過ごしていた5月でしたが、6月になるとますます忙しくなっていきます。

 


5月④6割の壁~目標点数設定~

2021-03-11 01:24:32 | B4

説明会から返って東大の院試を受けることを決めれば後は勉強するだけです。

 

説明会の日に得た情報は研究内容だけではありません。

 

研究室の院生の方や、説明会に参加していた他の人達に声をかけ(皆さんいきなり声かけてきた見ず知らずの不審人物相手に普通に会話してくれてありがたかったです)、僕の進む所では大体5割取れればどこかの研究室には拾ってもらえ、6割取れればほぼ入りたい研究室に入れるという情報を得ました。(※不確定情報なので、もし受けようと思ってる方が居たらご自身で情報収集してみてください。)

 

英語、TOEFL ITPで65%取れれば受かるなと思いました。

 

相関基礎科学系の学力試験は英語と専門科目の2科目のみで、配点は英語が200点、専門科目が600点の計800点で決まります。最悪5割で良いとすれば、英語で65%(130点)取れれば、後は専門科目で45%(270点)取るだけでギリギリ合格します。

 

専門科目は選択問題で、いくつかの大問から3つ選択して解答します。200点×大問3つ=600点です。

 

つまり専門科目は大問一つ当たり90点取れば良いわけです。しかも僕の場合ある分野は得意で、どんなに難しくなっていてもその大問は6割(120点/200点)取れる自信がありました。本番で実際にそれができた場合、残り大問2つは37.5%(75点/200点)ずつ取れればひとまずぎりぎり首の皮一枚繋がります。

 

ここまでしっかり作戦を立てていると、如何にも院試を計画的に突破していそうですが全然そんなことはありませんでした。

 

むしろ、わずか3ヶ月で対策することが不安で仕方ないから、ここまでしっかり計算してどんな問題が来ても大丈夫だという勝算を見出し、自分を落ち着けていました。

 

模試という客観的なデータが存在せず、自分の学力のレベルが分からない院試は、それだけ不安も大きくなります。

 

院試との闘いは不安との闘いでもありました。

 

最終的な目標

英語 130点/200点

専門科目 420点/600点

計 550点/800点

 

------英語についての補足-------

TOEFLはITPとIBTの2種類が受けられます。

IBTは事前に提出できます。内容はリーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4技能です。

ITPは本番勝負です。内容はリーディング、リスニングのみです。

事前にIBTを出して本番で更にITPを受けることもできます。これが一番理想的だと思いますが、僕は時間がないため、スピーキングとライティングを対策する時間を取りたくなかったのでITPのみ受けることにしました。(あとIBTすごく高いです。)

 

英語の点数が高めに設定してあるのは、専門科目は難易度が変わりうるのに比べ、TOEFLの難易度は基本的に変わらないためです。65%取れる実力があれば本番でも取れるだろうと考えました。

 

ちなみに当時の僕の英語力はTOEICで言うと800~850点くらいです。