DENONの1993年製カセットデッキDR-7.5Sを購入して5ヶ月が過ぎた。
故障もなく快調だ。
低音に厚みがあって、刺さってこないまろやかな高音が相変わらず心地よい。
で、一般的におすすめできるかというと、そうはならない。
なにせ、中古購入するカセットテープは大なり小なりもれなく劣化している。
50年以上経ても微塵も劣化してないように思えるレコード盤とは大違い。
純粋な音質は、個人的にはCD>レコード>>カセットテープ、だと感じている。
「え? レコードじゃないの?」
と言われてしまいそうだが、ノイズが発生せず高音までクリアに原音を再生するという意味では、文句なしにCDだ。
で、肝心な聴いている心地よさと満足感はと言えば、
レコード>カセット>>CD
となる。
ようは、感覚の問題である。
で、こうなってくるとカセットテープをおすすめする理由は無くなってくる。
それでも私は、カセットテープを愛聴している。
なぜか?
それは、多分に郷愁と分解力には欠けるがやさしくて力強い音の感触のためだ。
つまり、一般的にはおすすめできないけれど、マニアックな人にとってはかけがえのないメディアだということ。
なんでこんなこと書くかっていうと、カセットテープ最高!
ってな発言を目にすることが多くなってきたから。
いや、まずはレコード盤からでしょ!
っていう率直な感想。
音質に関してはCDが最高と言うならば、「より高級なオーディオでやわらかく鳴らせばいいじゃん!」てことになるだろう。
残念ながら、高級なアンプもオーディオもスピーカーも、一般家屋の状況下で普及機より良い音を響かせることはない。
価格に応じて、良い音だというプラシーボは与えてくれる。それだけの話。
超高級オーディオを所有している友人が私の家に来た時、カセットテープの音を聴くことを拒絶した。
「聴くまでもない、カセットテープの音は悪い!」
という決めつけとともに、
「超高級CD再生システムよりカセットの方が音が心地よい」という事実と向き合いたくなかったからではないだろうか?
私にはそう思えた。
カセットテープは心地よい音を追う求道者にとっては避けては通れない道であるが、一般的にはお勧めできるメディアではないという話でした。