早川真琴のつぶやき
海野くんは身長が伸びた。去年の今頃は、わたしとあまり変わらなかったのに、向かい合って話をする時、少しだけ目線が上を向く。
わたしが見上げているということは、海野くんは見下ろしているということ。
彼はそれに気づいているだろうか。
わたしたちが住んでいるところは、過疎化が進む小さな町。
学校は、町立の小学校と中学校が同じ敷地内にあり、グラウンドだけはやけに広く、周囲は山と森と民家が数件。
あるものは自然だけ、とよく大人たちが揶揄している。
そんな田舎町に海野くんが引っ越して来たのは、中学二年の春。彼は家族と離れ、この町に住む祖母のもとに一人でやって来たのだった。
どんな事情があるのかは知らない。興味本位であれこれ詮索する人もいるが、わたしはそもそも他人のことに関心がない。
家庭の中をゴソゴソ探られたくないという気持ちが、そんな雰囲気を醸し出しているからなのか、友達も片手で十分足りる。海野千歳くんは数少ない友人の一人だ。大事にしようと思う。……というか、大事にしている。
こんなこと、わたしだけがたまに空を見上げながら考えているだけかもしれない。もしこの話を海野くんにしたら、2、3歩後退りするんじゃないだろうか。
そんなコミカルな彼を想像して思わず笑ってしまったりする。
“ぴちぴちぴーち”は却下して正解だった。
今回で見直しは終わる予定だったのですが、あまかった………orz
(orzってもう見なくなったよね(笑)
次回で本当に終わる。(見直しが)