廊下ですれ違う下級生に何やら言葉をかけられて、答えに戸惑っていると、その答えを待たずにキャーと叫びながら駆け出していく女子2名。
彼女たちの後ろ姿を目で追いながら、状況が理解できずに首を傾げた千歳の、何とも言えない表情を見たことがある。
その時彼は、からかわれたと思っただろう。
彼女たちの後ろ姿を目で追いながら、状況が理解できずに首を傾げた千歳の、何とも言えない表情を見たことがある。
その時彼は、からかわれたと思っただろう。
「違う」とハッキリ言い切ったのは、自分のことをよく分かっていないからだと真琴は思った。
同時に(しょうがないなぁ)と、ダメな弟の恋愛を応援する姉のようなセリフが頭の中で再生された。
「どうしてぼくが違うと思うか…」
「えっ、ちゃんと理由があるんだ?」
「当たり前でしょ」
そう言って笑ったあとに、
「いや、待てよ……ちょっと…」
急に口ごもる。
「なになに?どうしたの?」
続きを待っている真琴。
「早川さんが見当外れなことを言うから、思わず話してしまいそうになったけど…、やっぱ、止めとこう」
「えーっ!?どうして?そこまで言っといてないよー」
目をまんまるにして、話を途中で切り上げた千歳を責めるような口調の真琴。
“ずるい”とまで言い出す。
ズルかないでしょ、と苦笑する千歳。
「ここにいない人のことを、他人があーでもないこーでもないって言い合うのは、なんだかイヤな気持ちがしない?」
「じゃ、ここに湖内さんがいればいいの?」
「そのときは、ちがう理由で話せないじゃん。自分が好きな人のことなんて、人に知られたくないなぁ、ぼくなら」
気がついたように真琴が
「あっ…そうかぁ…」
「まっ、海野くんが違うって言うなら違うのかもね。そんな気がしてきた」
肩をすぼめて屈託のない笑顔を見せる真琴を見つつ、
(湖内さんは、きみのことが好きなんだよ)
ポツリと、胸の中で呟く千歳だった。
やはりこの書き直した展開の方が面白いな~😁