上下巻二冊『裸者と裸者』読み終えた。時は「応化」という架空の時勢。戦争で孤児になってしまった三兄姉弟を軸にして、日本国内の内乱を描いている。描写の多くが戦争状況の説明と、体勢がどのように移ってきたかという内容で、まあ、最初は読みにくいです。北関東軍がどうなって、水戸軍がこうなって、北海道は独立国で、ってな説明部分ははっきりいって、つかみかねてしまった。
しかし、主人公の海人が戦火を潜り抜けて生き抜いていく様はなかなかに緊張感があった。こんな暗黒の時代がきたら、悪に折り合いをつけないと生き抜けない……だろう、と海人が初めて人を殺す場面やら、彼が助けた双子の姉妹の妙に冷め切った言葉から、感じた。
十歳に満たない孤児に何ができるだろう。それも、妹と幼い弟を抱えて。幼い子供を拉致して少年兵に育て、孤児部隊を作らざるを得ない……、この地球のどこかで、今まさに行われているだろう、内戦の国を思って、哀しい気持ちになった。
この本は近未来の日本を扱っているけれど、これは未来に起こるかもしれないことではなくて、実際、現実として、今、行われている事をもちろん想起させる。
でもアタシらは、未来に死が迫っていてもそれを意識しないで日常を過ごすように、聞いても見ても、遠い世界のことと割り切って生きているように思う。
そう、どこかで殺人が起きても、親が子供を殺しても、子供が自殺しても、TVの画面から流れてくる情報はどこか遠くて、身近な人がかかわらない限り、黙殺して日常を生きることができる。当事者になるまでそんな悲惨な哀しみを避けておこうする暗黙の了解があるようだ。
真剣に考えようとしないのは、自己防衛なのかな。
中学生くらいの時、学校に張られたベトナム戦争の写真展のポスターをずっと眺めていたことがあった。苦しかった。一枚だけでも苦しいのにいっぱい見たら、どうなるんだろう、などと思っていた気がする。結局写真展には行かなかった。
地球上から戦いはなくならないのだろう。でも、できるなら関わりたくないものだと正直思った。
沖縄やんばる便りのTOSHIGOLIです。
いろんな文章が書けるなんてすごいですね~
私なんか2~3行書くので精一杯ですよ。
今の世の中 どこか違った方向へ進んでいるような気がしますね~
お出でくださったんですね。ありがとうご
ざいます。しょーもないことばかり書いていますが、どちらかというと読書感想文と日々の愚痴のブログです。
小説も少しは書いてみましたが、長続きしないで今はお休み中のようなものです。
沖縄の暮らしのようにおおらかさが北海道にはあるででしょうか。雪に降り込められるこの季節はどちらかというと心も縮こまってしまうようです。
世界が間違った方向に行っているとしても、結局、私達は日常という日々を過ごすしかないのでしょうね。もう、諦めの気持ちです。でも、ほんの少し、希望があるとすれば、その希望を繋いでいくのが生きているものの義務のような気がします。