爆走姉妹 HOLY&ZONE!!

我々は小説家目指す爆走ユニット2D HOLY ZONE。デビュー目指し格闘しなければと思いつつも自堕落な日々を綴る。

スピ旅6日目 ~逃げちゃダメだ、自分を風呂に入れるのは自分しかいないんだ…!~の巻 前編

2014-10-06 04:33:30 | スピ旅
今日は爽やかな天気だ。昨日はチャラ茄子野郎のせいでイヤな一日だったぜ。
心の王子様、なすプリなす也に似ていたってのが、今となると禍々しいぜ畜生!
その上、深夜に演技魔女が説教しやがるし、アタシのポテチとコーラ完食しやがるし、
金もらってねえし!
やだねえ、こんなんでアタシのドリームは叶う日が来るのか?
独り干し茄子になるのは、さすがのアタシも寂しくなるのさ…。

今日はずいぶん進んだので街へ出た。おかげで山中野宿しなくてすむな。
安宿でも探すとすっか。

………しくった。金が無い。ATMも見当たらないほどの田舎町。
所持金835円で泊まれるところは…無いだろな、やっぱり。
しかたない、今日も野宿場所を探すとするか…
ドスン。
誰かにぶつかった。中学生ぐらいのモヤシ少年だった。


「あ、あ、ごめんなさい!」
おどおどした表情でモヤシ君が謝った。
「いえ、こちらこそすんません。あの、このあたりで野宿できそうな所知りませんか?」

「え?野宿ですか?でも女性じゃないですか。ちゃんとした場所に泊まった方が…」
お、初めてマトモな人間に出会った気がするぜ?
「いや、そうしたいんすけど、金おろすの忘れてて持ち合わせ無いんすよね。」

「そうなんですか…。でも危ないです。あ、ちょっと待っててもらえますか?仲間に貴女を泊めてもらえないか聞いて来ますから。」
おお~、なんて親切なんだろう。
でもアタシも、子どもとはいえ見ず知らずの人の家へ泊るのは抵抗ある。
迷ってるアタシにモヤシ君は思わぬ言葉を発した。


「それに…失礼ですけど、お風呂はどうされてるんですか?」
「風呂?ああ、そういえばもう一週間近く入ってないかも…。」
「一週間!?それで…。大変失礼ですが、貴女、臭いです。汗と、ゴミと、潮と、仏壇の混じったような臭いがしています。お風呂に入られたらいかがですか?さっぱりしますよ?」
そうか?アタシは臭わないけどな?
迷っているアタシにモヤシ君が追い打ちをかけた。

「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ!」

                                                  後編へ続く

スピ旅5日目 ~色のチカラ!「この子は一体何色の仮面を持っているの?!おそろしい子!」~の巻 後編

2014-09-28 01:13:19 | スピ旅
「おそろしい子!なす子、あなたは生まれながらにして色仮面を持っているというの?!」
魔女は白目でわなわなと震えはじめた。
「次の色も見せてもらおうかしら、なす子!次は黒の仮面をつけてごらんなさい!」
…やってられねえぜ。今日は茄子野郎のことで凹んでるんだ。自分の将来に絶望してんだよ。演技ごっこに付き合う気分じゃないっつーの。
「!!なんという影!闇!絶望!まさに黒の化身!!」
…だから、白目やめてくれないかな…。

「聞かせなさい、見せなさい、なす子。あなたの心の闇を!」
限界だ――(怒)
「るせえな魔女!いきなりあらわれて、アタシのこと知りもしねえのに知ったような口きくんじゃねえよ!なにが色だよ!アタシは生まれて今までグレーと黒しか知らねえよ!無彩色で悪かったな。アタシの人生、なんの彩も無いんだよ。アンタの姿みたいに真っ黒なんだよ。だからアタシは思ったのさ、黒なら影になろうってね。影になりゃ誰にも気にされない。踏まれても痛くない。そんなアタシの気持ちの何がわかるっていうんだよ?婚活しようにも実態がない影なんて誰が相手にすんだ?あ?」


「黒やグレーが悪いわけではないわ、なす子。」
ぜえぜえ。めずらしく本音言って疲れてるときに何だよ?
「人には、それぞれ色がある。考え方が千差万別のように。他の色と違っていても気にすることはないのよ。あなたの色を好きな人は必ずいる。それに、色は混じりあうことで新たな色を生み出す。あなたもまた必要な色なのよ。」
…なんか、いいこと言うじゃねえの。
「アタシ、紫は青と黒を混ぜた色だとずっと思ってたよ。」

「黒は、あらゆる色を混ぜるとできる。でも、さらにあらゆる色を混ぜ合わせると、無色透明になるって知ってた?」
・・・・・・・・・・・・。
「黒が絶望というなら、黒を突き詰めたあとは、まったく無垢なスタートラインに立つのではないかしら?」

魔女は、それだけ言うと立ち去って行った。
いや、最後にこう言い残して。

「…おそろしい子!」


次回、スピ旅6日目~逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、自分を風呂に入れるのは自分しかいないんだ…!~へ続く



(2D HOLY ZONEはガラスの仮面のファンであり、作品を心から応援しています。)



スピ旅5日目 ~色のチカラ!「この子は一体何色の仮面を持っているの?!おそろしい子!」~の巻 前編

2014-09-25 22:16:32 | スピ旅
アタシは焚火を見ながら夕食のポテチを食べていた。
ちくしょう、絶対男なんて信じねーし!!
やけ食いでもいいや、どんどんポテチはなくなり、2Lのコーラも半分以下になっている。
…でも、ホント、おなすの☆プリンスさまっ♪(通称なすプリ)のなす也クンに似てたな…。
似てるだけに、余計腹が立つ!!アタシは二袋目のコンソメ味ポテチに手をかけた。
その時――。


「…それはポテチではないかしら?」
髪の長い黒装束の魔女風おばちゃんが立っていた。
「……!!心臓止まるかと思いましたぜ!?驚かすなっつーの!てか、アンタ誰?」
魔女おばちゃんは、白目でポテチをむさぼり始めた。怖いっす、この人Σ(・ω・ノ)ノ!

魔女はポテチを食い尽くすと腹が落ち着いたのか、黒目を取り戻し語り始めた。
いや、話さなくていいからさ、ポテチとコーラ代置いて早く帰ってくれないかな?


「私は幻の紫天女を神演技した伝説の女優…。ポテチとコーラのお礼に、あなたに色の仮面をお教えするわ。」
いや、いらないっす。
「色にはチカラがある…。たとえば焚火の炎は赤。赤には情熱や積極性。青は冷静。そしてその二色を混ぜ合わせた紫は両方の意味を併せ持つ…。あなたの顔は紫。情熱はあるのに抑えようとしているわね?」
なんだ?霊能者かコイツ?
「私は全身黒。黒は隠す色。プライドも高い。私はプライドの高さゆえに自分を隠しているのかもしれない…。」
あの~、帰ってもらえませんかね?

「人は誰でもなりきることで全く違う人生を歩める…。色になりきりなさい!なす子!!」
「へ、へいっ!」
あまりの勢いに思わず返事しちゃったぜ・・・。
アタシ、なんで魔女と演技してんだろう?
でもなんかコイツの言うことには妙な説得力と重圧を感じるんだよな。

「まず赤よ!炎の赤!なす子、あなたはどのように赤を演じるの!?」
赤…炎…熱…燃える…怒り…なす也…!ちくしょうアイツ許さねえ!!!
アタシのココロは再燃した怒りで燃え上がった。


「…!!なんて表情なの!?なんて演技力!怒りに燃える業火のような表情!!いえ、演技ではない!この子は色の仮面をかぶったのだわ!まだ何も教えてないのに、演技とは無縁に見える腐女子のこの子が、瞬間に赤の仮面をつけるなんて!なんて…なんて…おそろしい子!!!」


                           
                                              後編へ続く



スピ旅4日目 ~なす子の☆プリンスさまっ♪マジ理想2000%!アロマ王子なす也登場!~の巻  後編

2014-09-16 00:51:41 | スピ旅
「あは☆ゴメン、俺ってカワイイ子には正直だからさ☆なんちって…♪」
え…?カワイイ…?アタシが…?な…、な…、
「なす也クンのばかあっ!!」


【※注・美化度2000%】


アタシ、なす也クンを両手で軽くポカポカした。
やだ。そんなこと言わないで。じゃないとアタシ…アタシ…


「ゴメンなさい☆そんなに怒んないで?俺のウサギちゃん…
あ、もう無理っす。
「なす子サン、いい香りだね?何の香り?」
なす也クンの顔、接近。
「あ…、線香。神社のババ…巫女さんが線香で浄化できるからって…。」

「浄化?何を浄化するの?」
「今までの自分リセットして幸運を呼び寄せようと思って…。」
「リセットする必要なんて、どこにあるの?あ、いいモノあげるよ♪」
なす也クンが差し出した手――。
そこには小さな小瓶――。

「なあに?コレ…?」

「アロマエッセンシャルオイルだよ☆」
「アロマ?」
「そ♪これはユーカリのオイル。空間を浄化してくれる効能があるんだ☆」
「効能?」
「アロマはね、いろんな効能があるんだよ?オレンジのアロマはHappyな気持ちにさせてくれるし、ラベンダーはリラックス、ローズマリーは頭の働きを良くしたり…。」
なす也クン、物知りなんだ…。
「線香もいいケド、なす子サンみたいに可憐な人は、アロマの方が合ってるんじゃないかって思ってサ。ゴメンね、自分の想い一方的に押し付けちゃって…。重いかな?俺…」
「ううん!!全然、そんなことないっ!!」
なす也クンは優しく微笑んだ。なす也クンの顔が近づく。
そ・し・て。頬と頬が触れ合い、なす也クンはアタシの耳元でささやいた…。

「ねえ、いくら持ってる?」


2分後。
アタシは再び北へ向かってペダルを回していた。
後方には、ヘタをむしり取られ七転八倒する詐欺師茄子野郎がいた。
バカめ。私のなす也を汚すからこういうことになるのだ。

はあ・・・くそっ、そうだよ、世の中こんなもんさ。
アタシみたいなキモヲタ腐女子に舞い降りる奴なんて死神ぐらいさ。
わかってたんだ。わかってたのさ。
ああ、夕陽が眩しくて目に沁みるぜ。
線香のせいかな?目から水が出てきやがった。
こりゃ浄化しなきゃだな。
今夜はアロマの香りが鼻について眠れそうにないけどな。

アタシは、ババア巫女にもらった線香に火をつけた。
細い煙が立ち上っていく。
「ちゃんと目ひんむいて真実を見な!」
と、ババア巫女の声が聞こえたような気がした。

――ガンバレ、ペダルを止めるな!なす子!!


次回、スピ旅5日目~色のチカラ!「この子は一体何色の仮面を持っているの?!おそろしい子!」~
に続く





(我々はうたプリのファンであり、作品を心から応援しています。
 また、前回の記事からの登場している人物は架空の人物であり、実在のプリンスとは一切関係ありません。)


スピ旅4日目 ~なす子の☆プリンスさまっ♪マジ理想2000%!アロマ王子なす也登場!~の巻  前編

2014-09-11 23:51:09 | スピ旅
アタシは一心不乱に走り続けた。北へ。ただペダルを回す。

――アタシは、ただ結婚したいわけじゃねえし。ブサメンは嫌だ。
自分のこと、ちゃんとわかってんだよ。アタシはキモヲタ腐女子だって。
でも、でも…、二次元でこれだけの歳月鍛えてきたんだ、ブサメンなんてありえねぇよ。
毎日美味いものだけ食い続けてみろよ誰でも不味いものは嫌になるんだよ。
二次元は乙女の理想集合体なのさ!!究極の美意識崩せるかってんだ!
でも、理想追って文句あるのか?二次元だから迷惑かけねーじゃん。
二次元は気持ち悪がらねーし。フラれることも傷つけられることもねーし。
アタシはこんなにもチキン野郎で、二次元はこんなにも優しいパラダイスで、
こんなアタシを受け止めてくれる王子様なんて…
王子様なんて、この世には存在しないんだ―――!!

アタシは激情を振り切るように、見通しの悪い急カーブを一気に加速し駆けあがった。
――目の前に人がいた。(やべえ!ぶつかる!!)
きしむブレーキ音と同時に、相手が転倒し転げ落ちるのが見えた。
相手もチャリだった。アタシとの激突を避けて転倒したんだ――。
アタシはチャリを降り、おそるおそる路上に横たわり動かない体に近づいて行った。
「あの…大丈夫ですか?」


「いって…。なんとか大丈夫みたい。君は大丈夫?」



――アタシ、死んだんだろうか?目の前に王子様がいる…。
なすプリのなす也そっくりじゃ―――ん!!

「あはっ、大丈夫みたいだね。良かった、君が無事で。」
前言撤回――王子様、存在するじゃねーの!!!☆☆☆

「はい、水…どうぞ…。」
無愛想にペットボトルの水を差し出す。
ダメだ、リアル美形男子に全く免疫が無いから、どう対応していいかわからねー(T_T)

「ありがとう♪優しいんだね、なす子サン☆遠慮なくいただきまーす!」
「あ…全然…。あの、すみませんでした、アタシのせいで転んじゃって…。」
「いいんだよ、ヘーキヘーキ☆それより君が無事で良かった☆暴走チャリの妖精さん
「え…?」
なんなんだ?このありえねー展開は…?           

後編へ続く