ムーミンパパの気まぐれ日記

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2011-06-19 | column
 このブログではもう何回も友人や先輩などとの別れを記録してきた。人生の折り返し点とも言える年齢を越えているのだから、慶事よりも弔事との付き合いが増えて来ることもそれはそれで仕方がないことなのだろう。ただ、親しい人との別れはいつもやるせなく寂しいことに違いはない。それが何の前触れもなく突然の別れの場合には尚更である。

 職場の元同僚が亡くなった。180cmを越える長身でスリムな体型に甘いマスク。仕事もきっちりとこなし、優しい性格で家族思い。別に亡くなったから持ちあげる訳ではない。そんな彼がいなくなったのを彼の上司から聞いた。たまたまその職場を訪れていた私に告げられた言葉は「いやあ、まいりましたよ。○○さんが亡くなっちゃったんですよ。」だった。言っている言葉はすぐに理解できた。ただ、言っている意味が分からなかった。なにしろ、前日も普通に仕事をしていたのを見ていたし、何も変わった様子はなかったのだから。「朝、家族が気が付いた時にはもう冷たくなっていたらしいです。」続いて出てきた言葉にはもう何の疑問の余地もなかった。認めたくはないけれど、納得はした。彼は急逝したのだ。私に事実を告げてくれた上司の肩越しに彼のデスクが見える。そこにはいつもと変わらずパソコンと少しの書類が積まれ、椅子の上には使いこんだ座布団が載っている。本当に何一つ変わらない風景がそこにはあった。ただ主がそこにいないこと以外は…。

 すぐに思い出した情景があった。15年ほど前のことである。11時過ぎに残業を終え、帰ろうとした時に、薄暗いオフィスの中でパソコンの前に同僚を見つけた。「まだ働いているのかよ。早く帰った方がいいぞ。俺は先に帰っちゃうからな。」「あはは、私ももうすぐ帰りますよ。お疲れさまでした。」そんな軽い会話で別れの挨拶をした。まさかそれが彼との最後の会話になるなんて思いもしなかった。その翌朝、私の部下が情報をくれた。「○○さん、亡くなったらしいですよ。」「え、お父さんかなにか?」「いえ、ご本人だそうです。」「だって俺、昨日の夜、話ししたぞ。」
 まったく同じだった。

 だから今回は事態を呑みこむまでに、さほど時間はかからなかった。そして、年を取るということは、こんな辛い出来事さえも経験として蓄積されてしまうことなのかと思った。それは悪いことではないのかもしれない。残りの人生ではこれまで以上にたくさんの別れを経験することになるのだろうし、いずれは私もあちら側に行かなければならないのだから。

 そんなことを考えながら、葬儀に参列していた。何回も何回も同じ考えが頭の中を回った。

 もう一回、彼とボウリングしたかったなあ。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんばんは (チエちゃん)
2011-06-22 23:00:29
ご無沙汰しています。
年齢を重ねてきますと、こういう別れも多くなってきますし、考えてもしまいますね。
私も、今日ブログにそんなことを書いてしまいました。
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>チエちゃん (ムーミンパパ)
2011-06-25 22:19:12
こちらこそご無沙汰しています。
まだまだ大変な状態だと思いますが、
体調には気を付けてくださいねえ。
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辛いお別れでしたね (ラブっち)
2011-08-10 21:53:01
お久しぶりです。

昨日まで、元気だった方が、急逝されたとの訃報に戸惑うこともありますね。

ご冥福をお祈りいたします。
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>ラブっちさん (ムーミンパパ)
2011-08-12 06:31:41
こちらこそご無沙汰してます。

未だに信じられない思いでいます。
向こうで元気にしてくれるといいのですが。。。
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