ムーアは、魔女の女の子が
言っていた「止まらないもの」を
探すことにしました。
廻りには、ビー玉のように
色のにじんだ透明なガラスの木々。
何にもない真っ暗な道が続いて
います。
こんなに暗いとガラスの森は、
ちょっと怖いかもしれません。
ムーアは、色のついたガラスの
木の枝を折って、偶然見えていた
星の光をあてました。
反射させれば、道がわかるかも
と思ったのです。
光は、足元くらいしか、
照らせませんが、それでも
ムーアの寂しさや孤独感を
軽くしてくれました。
「なにかないかな、
とまらないもの。
そういえば、
今何時なんだろう」
一体どれくらいの時間が
経ったのでしょうか。
ここには、時計がありません。
「時計、時間、止まらない…。
ああ、そうか。わかった。
止まらないのは、この時間だ。」
すると、そこを一匹の
大きな時計を下げた、
ウサギが走ってきました。
ウサギは、背中にもたくさんの
時計を持っていて今にも
落としてしまいそうです。
「ああ、忙しい。遅刻してしまうよ!
ガラスの国のお妃に怒られて
しまう。どうしよう。」
「待って!ウサギさん。」
ウサギの後ろを追いかけていく
女の子もいました。
二人はあっというまに
ムーアの前を通りすぎていきました。
ムーアは、うさぎの落とした時計を
拾いました。
「ウサギの時計。これでゲームに
勝てるけど、ぼくのじゃないし、
返さなきゃな。ぼくもウサギを
追いかけようかな」
ムーアは、ウサギを追いかけ始め
ました。どこにいったかは、
わかりませんでしたが、
暫く進むとアシアトがあったので
助かりました。
アシアトを追うと、やはり、
あのウサギがいました。
ムーアは、うさぎに声を
かけました。
「うさぎさん、ちょっとまって、
落とし物だよ」
ウサギは振り向いて言いました。
「今急がしたいんだ!あとに
してくれないか。遅刻したら、
大変なんだから。」
「……。でもこれがないと
きみはもっと困るんじゃないの?」
「そうかもしれないけど
いまは、話している時間さえも
惜しい!!。」
そういうとウサギは、また
走り去ってしまいました。
ムーアは、時計を借りることにして
またこの森でうさぎに会って
返してあげようと決めました。
(つづく)