宮崎正弘
(読者の声2)4月29日にラッキー博士の論文中のグラフの日本語訳をご紹介しました。
この中で、「少なくともグラフ1、2a、2c、2dなどをみれば、10グレイ以下の被曝者は通常の人より、ガン死亡率が低いことは明白です。」と書きましたが、正しくは100グレイ以下の間違いでした。うかつにも cGy をグレイと勘違いしていましたが、 cGy は10グレイですので、10cGy は、100グレイです。
100ミリシーベルトくらいの被曝者のガン死亡率は、通常の人より低い、ということです。
グラフ2.a.をみると、長崎の被爆者の白血病死亡率は、0、100グレイよりも、310-690グレイ(ミリシーベルトのほぼ相当)の方が低い、というよりもこのレベルの被爆者の死亡率は何と0となっています。
グラフ2.c.によると廣島、長崎の白血病死亡率は、140グレイで、一般平均となるが、それ以下ではかなり低くなっています。特に72グレイの被爆者は一般の20%のレベルとなっています。
このように100ミリシーベルト(ほぼグレイに匹敵)という数字は、安全であるだけではなく、むしろ健康にはプラスの効果がある、と考えた方が実態にあっている ということです。
そのメカニズムの解明も進んでおり、「カリフォルニア大学名誉教授核医学会(DNA研究)大御所のマイロン・ポリコーブ博士と放射線分子生物学創始者ルードヴィッヒ・ファイネンデーゲン博士が1996年に発表した論文で結論ずけているように、「活性酸素によるアタックは、自然放射線の1000万倍で、われわれの細胞は1個あたり毎日100万件のDNA修復で生命を維持している。
したがって、低線量放射線の身体影響の問題は、放射線によって損傷を受けるDNAを、生命活動としてのDNA修復はそのように防御できるかの問題であって、瞬時にDNAをたたきこわした原爆の話でも、またDNA修復機能の無い特殊な細胞が介在したマラーの実験結果でも無い。」(特殊な細胞とは例のショウジョウバエの精子の事)
低放射線照射は活性酸素を破壊する酵素を増加させ、細胞修復酵素を活性化させ、ガン抑制遺伝子p。53を活性化させるなどの働きにより、放射線による細胞破壊を上回る、細胞修復、活性化を行う事が明らかになってきたという事です。
従って、どのレベルが最適かという事は、未だ研究段階といえるわけですが、少なくとも低線量は身体に有益な効果を与える、という事は確実な科学的真実です。
にもかかわらず小佐古参与のように、20ミリシーベルトという基準がいけないなどと言い出すのは、最新科学についての無知をさらけ出しているとしかいいようがないのではないでしょう。ICRPの安全基準ですら、100ミリシーベルとなっているのに日本政府は、LNT(すなわちどんな微量でも放射線は毒、悪という考え)に安易に追随し、超安全を見込んで愚かにも20ミリシーベルトという基準値を設定して、福島の人々を苦しめています。それに輪をかけだ愚か者が出てくるとは驚いた次第です。
(グラフの日本語ファイルはご希望の方にはお送りします、全文日本語訳ももう直です)
平成23年5月3日
(茂木弘道)