藤沢数希
孫正義の秘密のアービトラージ
孫正義が韓国の原子力政策を賞賛している、というニュース
訪韓したソフトバンクの孫正義社長は20日、青瓦台(大統領府)を表敬訪問し、李明博(イ・ミョンバク)大統領と会談した。孫社長は席上、「脱原発は日本の話。韓国は地震が多い日本とは明らかに異なる」とし、「安全に運営されている韓国の原発を高く評価している」と話した。複数の韓国メディアが報じた。(Yahoo News、6月21日)
ソフトバンクが、日本で電気を大量に使うデータセンターを韓国に移している、というニュース
「ソフトバンクテレコムと韓国KTがデータセンター事業で合弁、新会社を9月設立」(日経、5月31日)
韓国は電力の4割以上を原発で作り、また原発の稼働率も9割を超えている。そして金持ちの道楽のような再生可能エネルギーはゼロだ。これが韓国の電気代を日本の3分の1に押さえ込んでいるカラクリだ。日本の原発は止めて、日本の電気代を上げておいて、その上、ソーラー発電の全量買取法案でさらに電気代を上げようとしている。それで、自らは電気の安い韓国へ電気を大量に使う施設を移転させる。ずいぶんと勝手のいい話
放射能の恐怖を執拗に煽り、日本中に反原発感情を喚起し、そして関西のドンの橋下徹に福井県知事の顔を潰させ、日本中の電力危機を誘発する。それから追い詰められた菅直人を利用し自然エネルギー全量買取法案を可決させ、みずからはメガソーラー発電施設を建造し、割高な電気を地域独占を温存した電力会社に好きなだけ強制的に買い取らせる
ソフトバンク傘下の電力を大量に消費するデータセンターなどを韓国に移し、そこで大量の電気を韓国で買う。一方で、日本ではメガソーラー発電施設を建造し、極めて高い電気を地域独占の半官半民の電力会社に好きなだけ売る。これによって、日本海の国境を渡って韓国から日本に電気を運ぶことなく、実質的に韓国で買った電気を、極めて高い値段で日本国民に売りさばくことが可能になる。この時の電力価格差が大きければ大きいほど、孫正義の利益も大きくなる。日本の電気代を釣り上げられるだけ釣り上げることが目的なら、孫正義の今までの行動も全て説明できる。放射能の恐怖を煽ったこと、橋下徹の心にあのアイデアを植えつけたこと、そして菅直人の心に侵入したこと・・・
日本の電力会社の地域独占とソーラーによる電力買取価格を固定することにより、日本側の電気代は永久に高止まりすることになる。つまり、孫正義は永久に儲け続けることができるのだ
僕は孫正義のことを「ハゲ」といったことを悔やんだ。彼は最初から全てを見通していた。恐るべき知性でもってこのスキームを完成させようとしている。さすがに一代で世界的なテレコミュニケーション・カンパニーを作り上げた男だ。ハゲはハゲでも、超一流のハゲタカだ