東京から、雑種犬がいなくなった

加瀬英明
三島由紀夫の死をみつめて


東京から、雑種犬がいなくなった。いま、リードと呼ぶ紐をつけて散歩している犬は、犬屋で売られ、血統書つきばかりだ。
世界のなかで、雑犬を見ない都市は、他にない。東京では制服を着た軍人も、みかけることがない。戦慄させられる都市だ

経済学がカネ次第のものになった
かつて経済学は、石田梅岩や、二宮尊徳や、アダム・スミスが講じたように、倫理道徳学だった
経済と道徳は、一体のものだった

物的な豊かさが増してゆくなかで、人が独(ひと)りでは幸せになれないことを、忘れてしまった

石田梅岩は経済学者として、石田心学を興したが、「万事を子どもの思いのままにしてしまうと、やがてこどもは親の手に余るようになる」と戒めている。国民を甘やかすことに専念する政府は、国を滅ぼすことになる。

40年前の日本人は、実直で、律儀で、意志が強かった。頑固だった。人は弱者であることを、恥じたものだった。いまでは、強者が厭われている。

 私は本誌の前号で、日本が「第四の国難に直面している」と書いたが、元冦、幕末、先の敗戦が、最初の3つの国難だった。
 だが、今、日本人らしさを失おうとしている。開闢以来の最大の国難であろう。
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