詩と断片 あるいは 言葉の雫

美琴の新作の詩、言葉を載せています。

夢の中の夢の始まり

2010年02月16日 | 
引力と反発力が協力しあって
逆立ちの猿が人社会を覗いて
月が自力で発光を始めて
太陽が満ち欠けを始めて
何を信じていいのかわからない鳥が
哲学書の暗唱を始めて
民主主義の独裁者が
一匹の狼に道徳心を教えだす頃
やっと言葉と意味に違いがある事に気付く

赤を赤と呼ぶ事に意味はなくて
そこには昔からの習慣と
いうものがあるだけで
赤と呼ばれている色は
黄色と呼ばれても
青と呼ばれても
無色と呼ばれても
赤と呼ばれている色を保っていて
人と違って変色は行わない

人は細かすぎて
進化のたびに発展を求めて
自分たちの作り上げたものを壊して
また作り上げるという事に真剣になって
それを歴史と名づけて
人類の始まりからの記憶を
後世に伝えようとしている。
もうとっくに誰のものなのかがわからない
信憑性のうすい記憶とやらを

夢見がちな猿が
鏡を見ながら服の襟を正して
人の作った交通ルールに従って
二足歩行で横断歩道を渡りだす頃
また新しい言葉と意味が生まれて
また新しい人が生まれて
猿社会を覗いて
また新しい社会ができあがっていく

新しい地球はまだマグマの中で
取り留めのない夢を見ている

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