にざかな酒店

とある演劇サークルの記三章め シロさんの天使と悪魔

というわけで過去最高に話があちこちに行って大変なことになっています三章め。
ええ、話がふくらんできたのできっちりと「三章め」の表記になりますよ。
タイトル長いと気になるんですよね、性格的に。
話の内容はタイトルまんまでございます。キラーワーズの台本は意外とありもの台本なのにみんな超える壁だらけだぜ!楽しい。では続きでどうぞ。
とある演劇三章め シロさんの天使と悪魔

薄ぼんやりと彼は夜中目覚めた。
この夜中の目覚めというのは人さみしいとかそんなものではなく、ただの無がそこにあるという状態のような気もする。時々部屋の外から物音がするので他の寮生が動いている気配はするのだが、それを除けば、本当に無でしかないこの世界、とか何とか短歌の一つでも読みたくなるだろう。
まあ、無はいいんだけども、どうも最近見る夢が…何ーかブラックさりちゃんにうーさんとの仲を徹底的に邪魔される夢ばっかりだよな…。
そんな夢を見つつ無を味わっているわけなのだった。
今までの全部が夢でした、とかそんなエンドも夢に見そうな黒(青?)世界。
まあこのままたるたるしてればすぐまた眠りに落ち、朝が来るだろう。
朝が来れば無も夢もそんなには考えない。これが夜ばっかりの国だったら物思いばっかりしてるのだろうか。

「俺の演技力というか、やったことない役ばっかりでどうも演出まで手が回りそうにないからな。今回の演出は渋ちんに頑張ってもらおうと思うんだが」
と、ミーティングで円城が一番にいう。
「っていうか、今回私出番ないんだけどー」と、鏡花が横からブーブーという。
それは絶対に性格的にキラーワーズが向いてないからなのだろうが、とみんな目配せ。
「霞役なら譲ってもよくてよ?」
菩薩の顔で横に座っていた藤村が提案した。なぜかこういうミーティングはみんな丸を作って座る。
「ちょっとー、それはいらないーいじめっ子でしょ」
まあ、いじめられてる役のはずのさりちゃんも俺の夢の中じゃブラックだけどなあ、と苦々しくそれを眺めるシロである。
「そうだなあ、鏡花が全く出番ないってのもかわいそうだから、話の間の繋ぎかナレーションでも作って任せるか」
「やたっ。そうこなくちゃね、さすが円城くん」
このリーダーは無駄に甘いからなあ、と頭痛の渋谷である。どうも彼は昔から鏡花が苦手も苦手なのであった。まあ、こいつを排除とか全く考えないのがリーダーだよなあ…。
「で、サブの演出を今回はシロさんに任せよう、と」
演出って、とシロはもう一度声に出した。
「俺、それらしいのはやったことないんだけど…」
「いやいや、照明係だから人の演技、冷静に見れるだろ?みんなの演技にうーさんとツッコミ入れてくれるだけでいいからさ」
「あ、そうか…」
そうか、と言いつつ、これはチャンスだ、と思ったシロさんの悪魔心である。
いつも夢の中でいらん突っ込みくれるブラックさりちゃんに演技指導という仕返しがリーダー公認でできてしまうのだ。これは美味しい。
いやいや、公私混同すんな。普段さりちゃんそこまで邪魔もしてこんやないか。普段のさりちゃんにはそこまで恨みもないし…天使と悪魔のぐるぐるに陥ったシロにあまり関心のない円城はそんなわけでさっくりとミーティングをまとめてしまった。

で、そのあと台本の読みをやったわけであるが、あるじゃん、さりちゃんにも演技指導する場面が。
そう、彼女もあんまり元気のない役をやったことのない身である。
そして安定の演技のはずの渋谷も今回安定しすぎてて最初ぎこちないはずの二人の関係性が微妙におかしく映る3話なのであった。
この演出はやりがいありそうだ。
っていうか、俺がブラックになりすぎないようにしないと…。うっかりすると天使と悪魔がぐるぐる回ってしまう、うっかり演出手伝い。みんな気をつけよう。
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