にざかな酒店

残酷愉快物語

と、いうことで。川上未映子のエッセイとか読んでて彼女らの「浮気した彼氏に対する残酷モード」という、こういうネタがうっかり悪の方に向いたらどれだけひどいかというのを実験してみた小説。
まあ話程度に軽くでどうぞ。
とにかく自分の敵になる人間にはどんなことをしてもいいんだ、的な発想が行き過ぎると多分こんな感じになります。合掌。
っていうかここで並べた妄想小説、自分で書いといて「大概やな」と思うよ。ほんま。まあその「大概やな」にうっかり「正しいようなことを言っている」を少し混ぜると「さらにひどいこと」になるのです。
うん、これでみんなちょっと学んでください。本当にこれでいいのかってことを…。
ってことで「反面教師的なネタ」っぽいことを言うておいて。
ここにさらにもう一つ似たようなのを加えるならば「悪意の電話には必ず「訴えますよ」とか発声する電話機」くらいのネタを加えたい(笑)ってことで、まあ続きでどうぞ。
残酷愉快物語

さて、高校時代、私たちは残酷な話で盛り上がっていた。
だいたいの他の同年代の子たちは「浮気した彼氏に対する残酷物語」で盛り上がっていたが私たちは違っていた。
「変態がいきなり襲ってきたら一体どのような目に合わせてやるか残酷物語」だった。
「やっぱりあれ、護身用にカッターナイフとかはよろしくないと思うの。だってカッターだと切った感触が残りそうじゃない。だったら殺虫剤とかでプシューってやる方が」
「うんうん、いきなり襲ってくるような変態なんて虫よりたち悪いしいいんじゃないの。でも殺虫剤持ち歩いてるのは変じゃないかしら」
「だったら虫除けスプレーなら小さいし、有効じゃない?」
「それ、夏場以外に虫除けスプレー持ってるのもおかしいよ。やっぱりそれで言ったら水筒でごんって殴るのもダメ?」
「水筒がへこんだら困るじゃない」
「ああ、そっかー…」
「ライターとか持ち歩いて火をつけてやるのもいいんじゃないかしら、画材用の油撒いて、ぼうっと」
「それはさすがに捕まりそうだよー、服がどれくらいの勢いで燃えるとかわかんないけど火だるまで手を伸ばしてきても困る」
そう、私たちの発散は悪いもの、自分に害をなすものに対しての自分の悪がどれだけ燃えるか、とそこにあった。彼女の書いた小説も大概ひどい。
美しいいじめられっ子に骨抜きにされる小説、と題して。
そのいじめられっ子に他人の骨を融解させる能力がついたという話で、つまりいじめっ子たちはみんな骨抜き、すなわち骨が一本も残ってない死体にされてしまうというそういう小説だった。
さすがにこれはひどい方にランキングされるとしても、他の小説もだいたいこんなノリである。
「自分よりあからさまにか弱い相手にすら一対一で喧嘩を売れないような女の腐った女」全員に一対一での喧嘩を申し込む異世界から召喚されたお相撲さん(しかも横綱)。
女の腐った女一同は横綱の大きい張り手で「この世の場外」に叩き込まれてしまうのだった。そんな話だったり。
またある話は「書き込んだ本人を特定して依頼した内容をそのまま本人に同じ目に遭わせる殺人や強姦のネット掲示板」まあ、そんなところにうっかり書き込む方が悪いんだ。ってことで同情は全くできない話である。
またある話は「クラスで一番体の小さい同級生を寄ってたかっていじめるような自分の矮小さの表現ばかりをするような人間は蟻になればよい」という話だったりする。これも同情はできるまい。
まあこんなノリばっかりで私たちはひたすら悪っぽいものを妄想や現実で叩きまくっていたのだった。
そんな高校時代を一緒に過ごし、大学では疎遠になっていて社会人になり、彼女から連絡があってしばらくぶりに会いました。彼女に。
私はいきなり殺されました。ホワイ?
彼女がいうにはこうだ。「高校時代の野望を実現する時が来たのよ、変態や悪は私が軒並みやっつけてあげる。それを実現するためにはそれを知ってるあなたが邪魔なの」
うっかり彼女は本気だったらしい…。
そんなの、ちょっと残酷話で一緒に盛り上がっただけなのに殺された私って一体…という思いは少し込み上げるものの、彼女が私の分まで悪をやっつけてくれれば問題はない。
とにかく変態や悪は滅びろ。それが、私の遺言だった。
悪の何が悪いんか知らんけどな、とにかくあ悪は滅びるもんなんや。
これが、私の願い(終)
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