にざかな酒店

ブラッディスト2-1

というわけで、年内の間に全部かけるか不安ですがはじまっちゃいます。ブラッディスト。
リアル中二のときに描いてた話なんですけど刻停間とかよりかえって今風な感じじゃないかなあ…!とかいってみる。
作中時代はレトロきわまりないですがね!
ではどうぞ。
いきなり、町中で剣をつきつけられた。
相手は振り向き様に。
青の長髪が残像したのはなかなか美しかったが、俺は見覚えのない相手だ。
「あんた、誰だ?」
「聞いてる間に殺されるかもしれんぞ。何せお前はエルム・シュナイダーの連れだ。あっちもこっちも恨みをかってるさ」
無表情のようだが、口調は完全にからかっている。
これは殺す気じゃないな、と俺は思った。
狼男の野生のカンだ。
「で、あんた誰」
「エルムは何してる?」
「買い物、弾薬とかみてる」
「それなら、もっといいものがあると言ってみろ。俺は、いけすかないあいつからこれを預かってきたんだ。」
そういってみせたのは、銀の弾丸だった。
「この中に、例の怪獣の成長を止める薬がはいっている。当てたら一発で終わりだ。」
「それも、科学ってやつか?」
「そうだ」

魔法の世界が、科学の世界になり、世界は変わった。
だんだん殺風景に、だんだんと希薄に。
急速に壊れたこの世界。

「で、あんたの目的は?」
「エルムの姉から、エルムをつれてくるように言付かっている。弾薬とは別件でな」
「えらく色々コネがあるんだな」
「こんな職業だからな。名前を聞いておこうか?」
「エルス・セントリック・ランガン。今時珍しい、魔導士だよ。そっちは?」
「ロッド・ブライダル。言っとくが、名字は笑うな。」
彼は言ったがちょっと遅かった。
「笑うなっていっただろうが」
「そりゃ物騒な人がその名字はないよ」
「悪かったなそれは」
「ロッド!?」
店から出てきたエルムが声を上げた。
「あんた、金持ち専門じゃなかったの?」
赤い目をくりくりとさせている。
「メインはこいつじゃなくて、お前の姉だ」
「姉?…って」
「マゼンダとかいったな」
エルムの表情が硬くなった。

エルムの兄妹は、科学、とやらでとんでもない特徴を植え付けられている。
負の感情が許容量を超えると、魔獣化するのだ。
その、マゼンダとかいう姉が何を考えてるのか知らないが、きっと用があるんならその件で、だろう。
エルムはこの間兄の成れの果てを倒したばっかりだ。

「それで、エルムとロッドはどういう関係だ?」
「友達の、彼氏よ」
「いや、結婚したが?」
ぶっ、とエルムが吹き出した。
「聞いてないわよ!!」
「あわなかったから、いわなかった」
「なんであんたなのか理解に苦しむけど…どうせ、式もあげてないんでしょう?」
表情は薄いが、ロッドは痛いところをつかれたようだった。
「まああいつが俺でいいというんだから仕方ないだろう」
「あーあーあーもう!暗殺者が情けない。てっきり私を殺しにきたのかと思ったのに」
冗談まじりに言ったエルムに、ロッドがまじめな顔をしていった。
「そのオファーもないことはなかったがな」
さすがのエルムもぴし、と固まった。
「で、このエルスはなんだ。どこで拾ってきた」
その言い草…。
「聞いてないの?グレイの事件の時よ。助けてくれたの」
「なんでつれ回してるんだ?」
「私がついてきてるのよ。うっさいわねもう」
「中途半端な覚悟なら、こいつは置いてきた方がいいと思うが?」
「―――そうね。考えとくわ」
かってに話が進んでるけど…。
「俺は―――そんな勝手な実験、許せないからな。それもエルムに殺させるなんて、間違ってる」
「なら、あんたが代わりに殺すのか?」
「それは―――」
続きが言えなくなった。魔獣とはいえ、もとはエルムの兄妹だ。殺すのも、間違っている、けれどそれはどうしたらいいんだ?
「ろくな覚悟のできてない奴が口を挟む問題じゃない」
「じゃああんたは覚悟ができてるって言うのか?」
「俺はただの通りすがりだ。どうなろうと、しったこっちゃない」
ロッドはあっさりと言った。
「ただ、気にはなってるだけだ。で、エルム。マゼンダのところに行くのが先か、こいつ置いていくのが先か。」
「………マゼンダも、そんないきなり襲ってくるなんて事しないでしょ。性格的に考えて、何か後ろから企んでくる方よ。先に行きましょう。」
「そうか。いい事企んでたらいいな」
「エルスは気楽ね」
「そのマゼンダはまだ魔獣化してないんだから、話は通じるはずだ。説得次第でなんとかなったらいいだろ?」
エルムは、やっとかすかに笑った。
「そうね」
さっきまで暗かった空に、エルムの髪と同じ色の陽がでてきていた。
まだ、八方が塞がっているわけではない。どこかに抜け道があるはずだ。
そう思っていた。
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