南英世の 「くろねこ日記」

70代を生きる

(以下要約)

男の健康寿命は72歳。女は74歳。

70代は老いと闘う時代であり、80代は老いを受け入れる時代である。

人間の臓器は常に新しい細胞に入れ替わる。その中で唯一細胞分裂をしない臓器が脳である。だから、脳の老化は避けることができない。脳が老化するとアルツハイマーになる。アルツハイマーは病気ではなく老化である。人は85歳以上になれば、みんな大なり小なりアルツハイマーになる。

若い時の体力差・IQ差など大して違わない。しかし、老いてからの差は大きい。健康寿命を延ばすには70代でやるべきこととは何か?

① 働け! たとえお金にはならなくても社会の役には立てる。

② 免許は返納するな。外にどんどん出かけよ。若者の事故率より高齢者の事故率のほうが低い。

③ 肉を食べよ。セロトニンが増加して意欲が高まり、うつ病を防ぐ。また男性ホルモンが増加し元気が出る。

④ 日の光を浴びよ。セロトニンを作り、メラトニンが増加しよく眠れる。

⑤ 緩い運動をせよ。若いころからやっている趣味やスポーツを続けよ。

そのほか面白かったのは、病院との付き合い方である。70代になればたいていの人は病気の一つや二つは持っていて病院通いを強いられる。しかし、日本の医師は自分の担当する臓器のスペシャリストに過ぎず、患者の体全体を見ているわけではない。医者は自分の担当する臓器のことしか考えていない。だから、医師の指示に従っていれば健康で長生きできると思うのは間違いである。

例えば血圧や血糖値が正常値から外れると、医者はすぐ正常値に戻そうと薬を処方する。しかし、正常値なるものは統計的な数値に過ぎない。平均値からプラスマイナス95%以内を正常値としているだけである。正常値に戻そうとしてかえって体がだるくなるなら、無理に戻す必要はない。少しくらい高めでコントロールしても構わない。

そもそも血圧や血糖値をコントロールするのは、心筋梗塞や脳梗塞になりリスクを減らすためである。しかし、アメリカと違って、日本で心筋梗塞や脳梗塞になる人は少ない。日本ではがんが一番多いのだ。医学は発展途上の学問である。昔、正しいとされたことが、いまでは否定されていることはいくらでもある。

なかなか面白い本だった。

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