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南英世の 「くろねこ日記」

半独立国家日本

私が生まれたのはサンフランシスコ平和条約が結ばれた年である。それから71年がたった。しかし、日本はいまだにアメリカの統治下から完全に独立したとはいいがたい。

たとえば、米軍基地がいまだに存在している。現在日本には、沖縄、横田、厚木、座間、横須賀、三沢、岩国、佐世保などに米軍基地がある。日本が独立してから71年もたつというのに、いまだにアメリカ軍が日本に駐留している。

日本人の多くはアメリカが日本を守ってくれていると思っている。しかし、果たしてそうか。本当は冷戦下で、日本列島が地政学的に重要だから、日本を利用してきただけではないのか。かつての中曽根総理は「日本列島を不沈空母にする」といったが、その言葉がアメリカにとっての日本の地位を端的に物語っている。(それとも、中曽根首相はアメリカによほどの弱みを握られていたのか。)

日米安全保障条約で一番の恩恵を受けているのはアメリカ自身ではないか。アメリカの核の傘を恩に着る必要など全くないのではないか。片務的な共同防衛の条約を結んだ理由は日本を守るためではなく、日本に駐留するアメリカ軍を守るためではなかったのか。そう考えるとすべてのつじつまが合う。

しかし、日本人の多くは日本はアメリカの傘の下で守られている信じている。いや「信じ込まされている」。そして安保条約の片務性を理由に、「安保ただ乗り論」が展開され、それでは申し訳ないからといって年間2000億円の「思いやり予算」までつけている。これは駐留米軍経費の8割以上に当たる。なんとも気前のいい国、というかお人よしの国である。本来はアメリカが日本政府に基地使用料を払うべき筋合いのものである。

今回、バイデン大統領がエアーフォースワンに乗って横田基地に着いた。横田基地は東京の立川市に近いところにある。下の地図でいえば「あきる野」と書かれたすぐ右側の赤色で囲まれた部分である。もし横田基地を日本に返還させてここを羽田、成田に次ぐ第3の国際空港にすれば、関東圏の複雑な航空路線は緩和され、東京の利便性はますます高まる。しかし、誰もそんなことを言い出さない。

戦後77年、いまだに日本は半植民地状態から脱却できていない。アメリカに言いたいことも言えない状態が続いている。日本政府は米国債を1兆ドル(130兆円)保有しているが、それはアメリカに対する上納金みたいなもので、売却したいと口にすることさえ許されない。このまま後何十年、アメリカのイエスマンであり続けるのか。

一部に安保条約の片務性を解消し、集団的自衛権の行使をできるようにすることが独立国家の条件だと考えている人がいる。しかし、これは危ない。アメリカの軍隊の一部にされてしまえば、アメリカが間違った戦争をするときにも日本は戦争協力しなければならなくなる。

日本が真の独立国となるための条件とは何か? 日本国民はその条件をうまくコントロールして平和を維持し続けることができるのか。もし、自信がなければ・・・、今のままのほうがましともいえる。

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