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南英世の 「くろねこ日記」

「さん」と「君」


 相手をどう呼ぶかは結構悩ましい。年上の人やあまり親しくない人に対しては「さん」付け、また女性に対しては年下の人でも「さん」が一般的か。年下で親しい間の男性なら「君」付けであり、さらに古くからの友達なら呼び捨てが多いかもしれない。このように、性別や社会的地位などに加えて親疎関係も考慮して呼び方が変わるからややこしい。

 では、教員は生徒をどう呼ぶべきか。もちろん、決まりはない。先生によってもいろいろである。私の場合、生徒との年齢があまり離れていないころは呼び捨てにしていた。しかし、年齢が離れていくにしたがって、何となく違和感を持つようになり、50代になってからは女子には「さん」、男子には「君」付けで呼ぶようになった。「さん」「君」付けで呼ぶことに最初は戸惑いもあった。しかし、慣れてしまえばそんなものかとも思う。

 ところが、最近また悩み始めている。これまで勤務していた学校はすべて名簿は男女別だった。しかし、いま勤務している天王寺高校は男女混合名簿であり、名前を見ただけでは、男子か女子かわからないこともある。

一番困るのは答案返却のときである。「さん」付けにしたものか、「君」付けにしたものか。性別を間違えてしまうことはしょっちゅうある。そこで、答案用紙に「性別」と「ふりがな」を振ってもらいこの問題を解決しようと試みた。

 しかし、これがまた新たな悩みの種となった。LGBTの問題である。表面化はしていなくても、LGBTで悩んでいる生徒はいる(はずである)。彼ら彼女らに性別を書かせるのはどんなものか。大阪府は今年の高校入試の志願書から性別の記載欄を削除した。性別を書かせることは時代の流れに反する傾向がある。

 国会のようにすべて「君」付けで呼ぶというのも変かなと思ったり、この際、いっそのこと昔のようにすべて呼び捨てにしようか、などと思い悩む。たかが呼び方、されど呼び方。難しい。
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