この30年間、日本の賃金が上がらない。その一方で企業の内部留保は増加する一方である。
上のグラフは1年前のもので、最新のデータでは内部留保は500兆円を超えている。なぜこれが賃金に回らないのか?
理由がようやくつかめた。
一言でいえば、企業の稼ぐ力が落ちているからである。
ナニ、企業は儲かっているではないか、だって?
私もつい最近までそう思っていた。
企業がもうかっているにもかかわらず、それを賃金に回さないから賃金が上昇しないのだと。
非正規雇用を増やし、退職者を安い給料で再雇用し、外国人労働者を増やす。
労働組合は何をしているのか!
そう思っていた。
しかし、もっと考えてみるとそうした考えが必ずしも的を射たものではないことに気が付いた。内部留保をため込むのは、実は将来にわたって企業が稼ぐ自信がないことの表れなのである。かつて日本が誇った高い技術力は、ほとんどが世界に拡散してしまった。とくにITC部門では日本は周回遅れになった感がする。
安い労働力を求めて企業が海外に進出しても、それは回り回って日本の首を絞めるだけである。また、目先の景気を良くしようとしてカネをばらまいても、経済成長はしない。有効需要管理政策は短期的な政策でしかないのだ。当選することを第一の目標に掲げる政治家は短期の政策ばかりを打ち出し、長期戦略を打ち出そうとはしない。
左翼の人も「企業ばかり儲けて」などと批判するのではなく、なぜ、企業が内部留保をため込まざるを得ないかという根本を考えるべきである。
賃金を上げるためには産業構造の転換を促進し、儲かる産業構造へと生産資源を移動する必要がある。そのためのリスキリング(Reskilling)や学校教育の充実が求められる。しかし、いま日本がやっているのは正反対のことばかりである。バラマキのために財政赤字になり、そのしわ寄せが教員の労働環境悪化・教育の質の低下を招いている。
急がば回れ!
もっと教育に力を注がねばならない。世界のだれもがマネできないものを生み出す力を日本が持たない限り、賃金は上昇しない。今の日本には長期的戦略が欠如している。
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