今日は教員最後の授業だった。生徒に「4月からは完全リタイアーする」と伝えたら、全員「エーッ」と驚いた様子だった。次年度もいるものと思っていたらしい。
もうテスト範囲までは終わっていたので、今日は「情報社会」というスペシャルメニューで話をした。今まで滑ったことのない「鉄板」授業である。授業の中身は「ヒミツ」(笑)。
今回もいい授業ができた(と思う)。授業を終えた後、生徒から大きな拍手をもらった。最高のご褒美である。毎回120%のエネルギーで授業をやってきたから、あとでジワーっと「やり切った」という充実感が湧いてきた。半年間のピンチヒッターだったが、無事責任を果たし終えてホッとしている。
思えばいくつになっても知らないことばかりだった。本を読むたびに「あーそうだったのか。こんなことも知らないで授業をやっていたのか」と反省の日々だった。その分、毎年いや毎日私の授業は進化し続けてきた。
去年の10月、三国丘高校の最初の授業で「皆さんには日本一の授業をしてあげる」と啖呵を切った。やり終えたいま、果たして日本一の授業だったといえるかどうか自信がない。いや、本音を言えば、ちょっぴり自信めいたものはある(笑)。少なくとも、これまでの人生で一番の授業ができたと思う。
「啐啄同時(そったくどうじ)」という言葉がある。鳥の雛が卵から出ようと鳴く声と母鳥が外から殻をつつくのが同時であるという意味で、学ぶ者と教える者の息がぴったり合うことをいう。この半年間の授業は、まさに「啐啄同時」という言葉がふさわしい授業だった。大学受験には直接関係ない話もいっぱいしたが、生徒の皆さんは楽しそうに聞いてくれていた。心から感謝している。
私のまいた種が次の世代にどのように受け継がれるか。大輪の花を咲かせてくれることを願うばかりである。最後の授業を三国丘高校で終えることができて本当によかった。さようなら。