自民党は2012年4月「日本国憲法改正草案」を発表した。この狙いを一言でいうなら
「国民のための国家」から「国家のための国民」への転換
すなわち明治憲法への回帰である。
現在の憲法の核心部分はジョンロックの社会契約説である。ロックは「国家権力は国民の自由、生命、財産を守るためにつくられた」と主張した。わかりやすく言えば、「人のために国があるのであって、国のために人があるのではない」。このロックの思想を一番反映しているのは憲法第13条である。
「すべて国民は、個人として尊重される」(憲法第13条)
すなわちここで示されていることは、次のように表すことができる。
国家 < 国民
ところが、自民党の中にはこの社会契約説が気に入らない人が多い。彼らは主張する。「国家があって初めて国民の幸せがある。その逆ではない。今の憲法はあべこべだ」。ウクライナを見てみろ。国家がなくなれば個人の幸せなんかぶっ飛ぶぞ!というわけである。
国家 > 国民
だから、社会契約説全否定の憲法こそが彼らの理想なのである。そのうち、社会契約説は有害な説として学校で教えられない時代が来るのではないか。お国のために喜んで死んでゆけ。またそんな時代が来るのか。その前に教員をやめてよかったと思うこの頃である。