2022年に入って30円も円安が進んだ。9月23日、財務省はついに為替介入に踏み切った。これ以上何も手を打たないと、国葬や統一教会問題で急落する内閣支持率がさらに下落しかねない。ここはせめて「努力しているふり」でもしておかないと・・・というわけだろう。
これによって為替レートは一気に5円ほど戻して140円台になった。しかしこれによって相場の流れが変わるとはとても思えない。
そもそも、為替介入とは政府が持つ外貨準備高1兆3000億ドル(185兆円)を売って円を買うことである。しかし、すぐに使える外貨は米国債などの20兆円であり、しかも米国債を大量に売ることはアメリカが許さない。だから、介入に使える資金量には限りがある。
現在アメリカは年率8%のインフレに見舞われている。かなり深刻である。アメリカはインフレを抑え込むために今年に入って5度も金利を引き上げてきた。一方、日本は大規模金融緩和を継続している。このため、日米の金利差が拡大し、資金を日本で運用するよりアメリカに運用した方が有利であるため、日本からアメリカへの資金移動が進み円高になった。
もし本気で相場の流れを変えようと思ったら、アメリカを巻き込んだ国際協調による介入が欠かせない。しかし、いまのところアメリカはインフレを抑えることに必死であり、ドル安は輸入インフレにつながるから、アメリカがドル安を容認するとは思えない。基本的には日本が金融緩和政策を転換しない限り円安は続くのだろう。
為替介入の司令塔は財務省であり、日銀は財務省の単なる実行部隊に過ぎない。黒田日銀総裁が円安は日本にプラスだと主張する中で、岸田首相は財務省に為替介入を指示した。黒田総裁の胸のうち如何。