◆ディアブロ演義◆
「繋がれし者と、放たれし者」
”ブリザード社”の”ディアブロ1・2”を引用・曲解した内容です。
*この作品はフィクションです。実際の人物・団体等と、無関係です。
(C)ミィ~ネ(&ミネコウ)
--------------------------------------------------------------------------------
・・・目の前に、凶凶しい鎖で繋がれた何者かが存在した。
今までの、辺り一面が真っ白の空間から、急に色彩が戻り、
そのことに気を取られていた瞬間。私は間違いなく、その
名前を知っているのに、思い出せなくて、もどかしいのだ。
「東だ、東へ向かうのだ。刃向かう者どもは、全て滅ぼす」
自分の口から、思いもかけない言葉が出る。同時に、初めて
なのに、なぜか懐かしい感じの映像が、記憶の様に浮かんだ。
人で無い者達の世界。不思議な時の流れ。天界との長い戦。
・・・そして、裏切り。だが、常にどんな危機の時にでも、
強固な安心感がある。二人の兄達が、守ってくれるという。
『メフィスト、バール』何も考えずに、何かを呟いていた。
(今度は、僕が兄様達を助けるね)誰かの声が頭に響いた。
・・・次の瞬間、鎖に繋がれた者の姿が見えた。俺の姿だ。
--------------------------------------------------------------------------------
■黒き放浪者・ワンダラー
そこには奇妙な棒があった。(なんで、こんなところに?)
食料などこまごまとした持ち物を整理していた。その中に、
少し煤けてはいるが、何かの棒が入っていた。(義足だな)
(最近なぜか、妙な夢ばかり見るし、記憶もとぎれとぎれ)
ハッキリと覚えているのは、どこかの国で、戦った記憶だ。
懐かしい感じのした、初めて訪れる国。腐臭が常に漂う所。
戦いの中、必ず、懐かしい者との出会いがあった気がする。
それと、戦いの後には、いつも、誰かに会いに行った気が。
●
風が吹く。直撃を避けたが、前髪を少し斬られてしまった。
(国一番の鍛冶屋が、鍛えに鍛えた大剣では、分が悪いな)
この華奢な体に、一撃でも入れば、たまったものではない。
「私の髪は高くつくからね」言葉とは裏腹に、逃げていた。
相手が追いかけるのを確認して、深呼吸をして印を結んだ。
『まだ消えぬ憎悪の炎を、我が行く手を阻む者へ与えよ!』
地面から業火が現れ、目の前の巨大な骸骨は、炎に呑まれた。
(これで、汚された魂は浄化されたか・・・さようなら父上)
●
私が目を覚ますと、不思議そうに見詰める瞳。「ワトーか?」
何者か覚えていないが、ふと、その名前を頭に思い浮かべた。
「どうしたんです?顔色が悪いですよ。私は、マリウスです」
「今日はもう休みましょうか。私もクタクタで動けないので」
私はコクっと頷いた。気遣って貰うのが、無性に嬉しかった。
その晩、マリウスが寝静まったのを見計らい、起き上がった。
荷物入れから、あの棒を取り出して、その先端を舌で舐めた。
見つけてからずっと、毎晩、私はそれで自慰を行なっていた。
(この義足が、私にとって何なのか分からない。だが、私は)
極力、声は抑えているつもりだったが、腰布を外し、挿入を
始めると、理性のタガが外れてしまったようだ。気が付くと、
マリウスが私の痴態に見入っていた。「あっ、これは、その」
侮蔑やののしりを覚悟したが、いくら待っても何も聞こえない。
勇気を出して、顔を上げて見ると、彼の頬に赤みが混じっている。
「あなたみたいな人でも、こんなことをしたくなるんですね」
(似てる・・・その顔、誰かに。とても、会いたかった人に)
その後は、なんとか恥ずかしさを我慢しながら、寝屋に戻った。
それから2~3時間ぐらい経っただろうか。突然、私の布団に、
誰かが潜り込んできた。「すみません、やっぱり我慢出来ない」
とまどう私を尻目に、強引に唇を奪った。「んんん、ちょっと」
「あんな棒よりも、あなたを喜ばせられますよ」服を脱がされた。
青年は、見かけよりも強引な性格だった様だ。(あ、でもいい)
私は、久しぶりの人肌を堪能し、満足して眠りについてしまう。
●
強烈な熱風が、私を襲った。地獄の炉に近いという、灼熱魔法だ。
魔王ディアブロの怒りの炎である、アポカリプスが眼前に迫った。
しかし、私が持っていたお守りが冷気を放ち、辛うじて助かった。
『愚かな人間よ。昔から、名誉と力に飢え、本質も見抜けぬ者達』
すぐに第二波が放たれたのを見て、私は敗北を覚悟した、その時だ。
「全てを奪われる前に、僕の最後の気力を」魔王の体が一瞬止まる。
(アルブレヒト王子・・・私を、この不肖の兄を助けてくれるのか?)
私は、それまでの迷いを捨てて、ディアブロを葬った。「石を!」
アルブレヒト王子、私の弟の声がする。私は、妖しく輝く赤い宝石
を、魔王の額から剣で抜き取った。『よくやった、我は開放された』
私はその場から立ち去った。一人の少年の亡骸を両手で抱きながら。
●
眩しい光の存在であり、希望をもたらす囚われの大天使は、つぶやく。
『既に悪は解き放たれた。人間に残されたのは、あがくことしかない』
『・・・だが、諦めない限り、可能性はあるのだ。私は待つとしよう』
魔王3兄弟が復活して、この世界に破滅をもたらすのは、もうすぐだ。
「ディアブロよ、我が弟よ!お前が先に地獄へ凱旋し、恐怖を広めよ」
「人間が、人間が見る光景では無かったよ。なんで、私がこんな目に」
(俺は、俺は、俺は、何だったんだろうな・・だけど、何もかもが全て)
「繋がれし者と、放たれし者」
”ブリザード社”の”ディアブロ1・2”を引用・曲解した内容です。
*この作品はフィクションです。実際の人物・団体等と、無関係です。
(C)ミィ~ネ(&ミネコウ)
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・・・目の前に、凶凶しい鎖で繋がれた何者かが存在した。
今までの、辺り一面が真っ白の空間から、急に色彩が戻り、
そのことに気を取られていた瞬間。私は間違いなく、その
名前を知っているのに、思い出せなくて、もどかしいのだ。
「東だ、東へ向かうのだ。刃向かう者どもは、全て滅ぼす」
自分の口から、思いもかけない言葉が出る。同時に、初めて
なのに、なぜか懐かしい感じの映像が、記憶の様に浮かんだ。
人で無い者達の世界。不思議な時の流れ。天界との長い戦。
・・・そして、裏切り。だが、常にどんな危機の時にでも、
強固な安心感がある。二人の兄達が、守ってくれるという。
『メフィスト、バール』何も考えずに、何かを呟いていた。
(今度は、僕が兄様達を助けるね)誰かの声が頭に響いた。
・・・次の瞬間、鎖に繋がれた者の姿が見えた。俺の姿だ。
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■黒き放浪者・ワンダラー
そこには奇妙な棒があった。(なんで、こんなところに?)
食料などこまごまとした持ち物を整理していた。その中に、
少し煤けてはいるが、何かの棒が入っていた。(義足だな)
(最近なぜか、妙な夢ばかり見るし、記憶もとぎれとぎれ)
ハッキリと覚えているのは、どこかの国で、戦った記憶だ。
懐かしい感じのした、初めて訪れる国。腐臭が常に漂う所。
戦いの中、必ず、懐かしい者との出会いがあった気がする。
それと、戦いの後には、いつも、誰かに会いに行った気が。
●
風が吹く。直撃を避けたが、前髪を少し斬られてしまった。
(国一番の鍛冶屋が、鍛えに鍛えた大剣では、分が悪いな)
この華奢な体に、一撃でも入れば、たまったものではない。
「私の髪は高くつくからね」言葉とは裏腹に、逃げていた。
相手が追いかけるのを確認して、深呼吸をして印を結んだ。
『まだ消えぬ憎悪の炎を、我が行く手を阻む者へ与えよ!』
地面から業火が現れ、目の前の巨大な骸骨は、炎に呑まれた。
(これで、汚された魂は浄化されたか・・・さようなら父上)
●
私が目を覚ますと、不思議そうに見詰める瞳。「ワトーか?」
何者か覚えていないが、ふと、その名前を頭に思い浮かべた。
「どうしたんです?顔色が悪いですよ。私は、マリウスです」
「今日はもう休みましょうか。私もクタクタで動けないので」
私はコクっと頷いた。気遣って貰うのが、無性に嬉しかった。
その晩、マリウスが寝静まったのを見計らい、起き上がった。
荷物入れから、あの棒を取り出して、その先端を舌で舐めた。
見つけてからずっと、毎晩、私はそれで自慰を行なっていた。
(この義足が、私にとって何なのか分からない。だが、私は)
極力、声は抑えているつもりだったが、腰布を外し、挿入を
始めると、理性のタガが外れてしまったようだ。気が付くと、
マリウスが私の痴態に見入っていた。「あっ、これは、その」
侮蔑やののしりを覚悟したが、いくら待っても何も聞こえない。
勇気を出して、顔を上げて見ると、彼の頬に赤みが混じっている。
「あなたみたいな人でも、こんなことをしたくなるんですね」
(似てる・・・その顔、誰かに。とても、会いたかった人に)
その後は、なんとか恥ずかしさを我慢しながら、寝屋に戻った。
それから2~3時間ぐらい経っただろうか。突然、私の布団に、
誰かが潜り込んできた。「すみません、やっぱり我慢出来ない」
とまどう私を尻目に、強引に唇を奪った。「んんん、ちょっと」
「あんな棒よりも、あなたを喜ばせられますよ」服を脱がされた。
青年は、見かけよりも強引な性格だった様だ。(あ、でもいい)
私は、久しぶりの人肌を堪能し、満足して眠りについてしまう。
●
強烈な熱風が、私を襲った。地獄の炉に近いという、灼熱魔法だ。
魔王ディアブロの怒りの炎である、アポカリプスが眼前に迫った。
しかし、私が持っていたお守りが冷気を放ち、辛うじて助かった。
『愚かな人間よ。昔から、名誉と力に飢え、本質も見抜けぬ者達』
すぐに第二波が放たれたのを見て、私は敗北を覚悟した、その時だ。
「全てを奪われる前に、僕の最後の気力を」魔王の体が一瞬止まる。
(アルブレヒト王子・・・私を、この不肖の兄を助けてくれるのか?)
私は、それまでの迷いを捨てて、ディアブロを葬った。「石を!」
アルブレヒト王子、私の弟の声がする。私は、妖しく輝く赤い宝石
を、魔王の額から剣で抜き取った。『よくやった、我は開放された』
私はその場から立ち去った。一人の少年の亡骸を両手で抱きながら。
●
眩しい光の存在であり、希望をもたらす囚われの大天使は、つぶやく。
『既に悪は解き放たれた。人間に残されたのは、あがくことしかない』
『・・・だが、諦めない限り、可能性はあるのだ。私は待つとしよう』
魔王3兄弟が復活して、この世界に破滅をもたらすのは、もうすぐだ。
「ディアブロよ、我が弟よ!お前が先に地獄へ凱旋し、恐怖を広めよ」
「人間が、人間が見る光景では無かったよ。なんで、私がこんな目に」
(俺は、俺は、俺は、何だったんだろうな・・だけど、何もかもが全て)