もう どれくらい 逢っていないのか
数える指も こんがらがって しまうくらい
面影は この まなこの どこかへ
映像化されて いるのだろうか
だんだん ぼやけてしまっては いないだろうか
それでも そんな現実では あったとしても
妙な 安心感だけは ある
***
伝えようか どうしようかと 迷った末に
でも 伝えた 病の こと
病名と 入院の日だけ
それだけ 伝えて
***
夢にだって いつだって 出てきやしない
さみしくても しらんふり
私だって 夢になんか 出てやらないわ
さみしいのは お互いさまよ
***
空元気と 持ちきれない不安とで
両手 いっぱいで
その日を 迎え その日は 過ぎ
空元気と 持ちきれない不安は
両手 いっぱい
家に 持ち帰った まま
ようやく 私のお布団で 眠りに ついた
その夜
***
夢の中で 抱きしめて くれたの
だから
お返しに 私も 夢に出てあげたのよ
“家に帰ってきたよ” って
翌朝
***
「昨日 夢に出てきたけど 退院したか?」
***
それを 人は “偶然” って呼ぶのだろう
私たちとって それを “必然” って 呼ぶ そのものだ
ずっと ずっと 太古の昔から
幾たび 生まれ変わっても 必ず 廻りあっている
密やかな それが 自信。