藤村Dの日記
2005年10月に初開催された「水曜どうでしょう祭」の翌日、どうでしょうの公式ホームページにアップされた藤村Dの日記です――。
ミスターの涙
最後のステージ。
4人であいさつをし、手を振り、そして 『どうでしょう祭り』 を終えました。
大泉洋は、ずっと涙をこらえておりました。
「今日は、おれが泣いてはいけない」
そう思って、ずっとこらえていたそうです。
嬉野先生は、最後のステージで感極まって、相変わらず涙を浮かべておりました。
その顔が画面に映るたび、みんなは 「うれしー!泣くなー!」 なんて声をかけていました。
でも、みんなは知らないけれど、一番泣いていたのはミスターです。
嬉野先生ではなく、ミスターです。
ミスターは、ステージの上ではこらえていました。
でも、ステージを終えると、ひとり足早に楽屋に飛び込んできました。
そして、誰もいない楽屋で、イスに座り、顔を手でおおい隠して、嗚咽が漏れるのを我慢しようとしていました。
でも、我慢できずに、あの人は、やがて声を出して泣いていました。
ベトナムでも泣かなかったミスターが、あのミスターが、誰よりも泣いていました。
泣かしたのはおまえらです。
おめぇらのバカみたいにデカイ歓声とバカみたいにうれしそうな笑顔を見て、ミスターは声を出して泣きました。
ありがとう。
今、空港で自分の町に帰ろうとしているバカ野郎ども。
ありがとう。
もう、現実の生活に戻って仕事をしているバカ野郎ども。
ありがとう。
また、いつものように子供たちの世話に追われている奥さん連中。
ありがとう。
おれらがステージからいなくなっても、おめぇらがBGMの 「1/6の夢旅人」 に合わせて、誰も頼んでないのに、最後までバカみたいに大声で大合唱していたのを、みんなで舞台のソデから見ていたよ。
幸せだった。
もう一度ステージに出て行ってお礼を言いたかったけれど、バカやろう!おまえらがミスターを泣かすから出れなかったじゃねぇか!
ありがとう。
そして、祭りに参加できなかった諸君。
祭りは、すごかったよ。
あの空気はすごかったよ。
バックスタンドの最後列のやつらまで大声を張り上げて笑う、あの空気はすごかったよ。
主役はおれらじゃなく、間違いなく、全国から集まったバカ野郎たちだったよ。
祭り、楽しかった。
やってよかった。
よかった。
ありがとう!!
(藤村)
2005.10.17(月)
【記事/画像引用】 「水曜どうでしょう公式ホームページ」