ガラモンとピグモンの違い
興味のない人にとっては、同じ姿に見えて違いがよくわからないガラモンとピグモン。
基本的に、経費削減による着ぐるみの使い回しなので姿形は同じはずが、スーツアクターの変更などの偶発的な要因が重なり、違いが生まれています。
『ウルトラマンブレーザー』にガラモンが57年ぶりに登場したということで、ガラモンとピグモンの違いについて検証してみました—―。
初代ガラモン
ウルトラQ第13話「ガラダマ」に登場する初代ガラモン (ガラダマ・モンスター) 。
地球侵略をを狙うチルソニア遊星人の手により、ガラダマという隕石に乗って地球に飛来した身長40mのロボット怪獣です。
脚本では“帯電体質の多角モンスター”という設定だったため、成田亨氏によって無数のアンテナ状のトゲを持つデザインとなりました。
[出典:怪獣図解入門]
【頭身】
ガラモンは約三頭身のダルマのような形をしています。
これは、デザイン上の設定ではく、ウルトラシリーズの撮影所だった美センのステージの小ささに対応するための苦肉の策によるものでした。
というのも、ガラモンは当初、成人男性サイズでデザインされていました。
しかし、ステージが狭く、ホリゾントが低い美センで、迫力ある映像を撮るためには、ミニチュアセットを大きく見せる必要がありました。
[出典:成田亨画集 ウルトラ怪獣デザイン編]
そこで、小人症で低身長俳優として活躍していた高橋実氏を起用して、ガラモンを三頭身の怪獣に変更することになりました。
美センのステージの小ささが、愛嬌のある人気モンスターのガラモン、ピグモンの誕生に繋がるわけですから、物事は何が幸いするかわかりません。
【体色】
ガラモンの体色は、ウルトラQ関連本によると橙褐色だったようです。
ただ、「総天然色ウルトラQ」では、ピンクっぽい色になっています。
これは、白黒映像をカラーライズする際に、昔の雑誌の表紙などに掲載されていた人工的に着色されたガラモンを参考に着色したと思われます。
映像のガラモンの体色が実際とは少し異なっているように見えるのは、そのためでしょう。
【唇の色】
この写真によると、ガラモンの唇の色は肌色系で、お腹の部分の色は白色のようです。
【脚のジャバラの隙間】
ガラモンの怪獣スーツは、低身長俳優の体のサイズに合わせて造られているので、脚のジャバラの隙間はほとんどありません。
【尻尾】
ガラモンの尻尾をよく見てみると、尻尾の先端が上に反っています。
二代目ガラモン
ウルトラQ第16話「ガラモンの逆襲」に出てくる二代目ガラモン。
第13話と同じ怪獣スーツなので初代ガラモンと特徴は同じですが、1つの怪獣スーツでガラモンが3体いることを表現するために、胸にマークがついています。
劇中では、2種類の異なる(チルソニア遊星人の) マークをつけているガラモンと、マークがついていないガラモンが登場します。
初代ピグモン
ウルトラマン第8話「怪獣無法地帯」で登場する初代ピグモン(ピグミー・モンスター)。
多々良島に生息する身長1mの友好珍獣で、ジャングルで見失わないように、イデ隊員が目印代わりに背中に撃ち込んだピンク色の風船が特徴です。
【頭身】
ピグモンにもガラモン役だった高橋氏の方が入る予定でしたが、病に倒れてしまったため、急遽小学生の子役が入ることになりました。
子役が高橋氏より身長が高かったため、怪獣スーツの首の部分を伸ばす改造が行われました。(明るいオレンジっぽい色に変わっている部分が新造された箇所)
そのため、約三頭身だったガラモンに対して、ピグモンは約四頭身になっています。
【体色】
トゲの色は『ウルトラQ』のガラモンの時と同じ橙褐色のようです。お腹の部分は経年劣化の影響なのか、グレージュ色になっています。
ちなみに、怪獣スーツの展示会で子供たちにウレタン製のトゲをむしられてしまい、全体的にボリュームがなくなっています。
トゲの色は『ウルトラQ』のガラモンの時と同じ橙褐色のようです。お腹の部分は経年劣化の影響なのか、グレージュ色になっています。
ちなみに、怪獣スーツの展示会で子供たちにウレタン製のトゲをむしられてしまい、全体的にボリュームがなくなっています。
【唇の色】
唇の色もガラモンと同じ肌色系のようです。
唇の色もガラモンと同じ肌色系のようです。
【脚のジャバラの隙間】
脚も長くする必要があったため、脚のジャバラの隙間を大きくさせることで対応しています。
なお、隙間から見える足の部分が黒だったガラモンに対して、黄土色に変わっています。黒色のタイツが無かったのでしょうか。。
【尻尾】
ピグモンでは、尻尾の先端が下に垂れ下がって地面についているのがわかります。
二代目ピグモン(再生ピグモン)
ウルトラマン第37話「小さな英雄」に登場する二代目ピグモン。
初代ピグモンは、第8話「怪獣無法地帯」でレッドキングが投げた岩に当たって命を落としましたが、怪獣酋長ジェロニモンによって再生されました。
【体色】
体色は、当褐色から赤に変わっています。お腹の部分も赤色になっています。
展示会や怪獣ショーで使われるうちに、経年劣化による色のくすみやウレタン製のトゲが減少して、トゲが増毛され、色も赤にリペイントされたのでしょう。
ちなみに、「小さな英雄」の脚本は、金城哲夫氏がウルトラマン放送中に引っ越しの手伝いをしている時のエピソードを元に急遽、書き上げられたものです。
【脚のジャバラの隙間】
また、脚のジャバラの隙間もかなり大きくなっているのがわかります。
これは、再生ピグモンの怪獣スーツに入った子役(初代ピグモンの時とは別の人)の脚が長かったためだと思われます。
ジャバラの隙間から見える脚の部分の色も、黒っぽい色に変わっています。
【尻尾】
尻尾は初代ガラモンと同じく下に垂れ下がっていますが、初代ガラモンの時とは違って宙に浮いています。
これも、再生ピグモンのスーツアクターの子役の脚が初代ガラモンの子役より長かったことによるものだと思われます。
【トゲの長さ】
これは、再生ピグモンだけの特徴ですが、まず一つ目は首回り(両脇から後ろにかけて)にトゲが無いこと。
おそらく、初代ピグモンより身長が高い子役を起用したので、首の部分を新造したけど、ウレタンのトゲをつける時間的余裕が無かったものと思われます。
二つ目は、頭部のトゲの長さが全体的に長く、放射円状に広がっていることです。
【唇の色】
再生ピグモンの唇の色は、ガラモンや初代ピグモンに比べてかなりピンクっぽくなっているのが確認できます。
紫に近いピンクといったほうがいいような色合いです。
というわけで、ガラモンとピグモンの違いを調べてきましたが、初代ピグモンと再生ピグモンにも違いがあることが判明してしまいました。
また、ガラモンと初代ピグモンで特徴が重複している部分もあり、結論としては「ガラモンとピグモンの違いについての明確な定義づけは不可能」ということでしょうか。
編集後記
『ウルトラマン』は『ウルトラQ』と同じ予算だったため、白黒からカラーになるという意味で実質的な予算減額となり、廃物利用が至上命題となりました。
結局のところ、そのことが“ガラモン・ピグモン論争”を生み出す原因になっています。
【胸マークも風船も無い場合】
ガラモンとピグモンの違いで一番わかりやすいのは、胸にマークがあるかないか、風船があるかないかだと思います。
しかし、マークも風船も無い場合はどうするか?
劇中ではガラモンが約三頭身、ピグモンが約四頭身ですが、アトラク用のスーツやソフビは頭身を考慮せずに造られているものもあります。
なので、体色で判断するという考え方もあります。
ガラモンの体色は橙褐色で、再生ピグモンの体色は赤色なので、「赤だったらピグモン」ということは可能かもしれません。
また、頭部のトゲが全体的に長く、放射円状に広がっていて、かつ赤ければ、間違いなくピグモンといえるでしょう。
「唇の色が紫に近いピンク色であればピグモン」ともいうこともできます。
ただ、ピグモンが2種類いることを考えると、上記はピグモンはピグモンでも“再生ピグモン”ということになるので、モヤモヤ感は残ります。。
また、「橙褐色であればガラモン」と言いたいところですが、初代ピグモンの体色はガラモンの体色である橙褐色のまま。
体色にこだわらないで造られている怪獣スーツやソフビもあるので、体色での判断というのもあやふやな部分があるという。。
「ジャバラの隙間の色が黄土色なら(初代)ピグモン」ともいえなくもないですが、これは撮影上の手違いによるものだと思うので、これを判断基準にするのもどうかと思います。。
何も判断材料が無ければ、尻尾の先端が上に反っているか、下に垂れ下がっているかで判断するのが賢明なのかもしれません。 しかし先ほど、尻尾の先端が垂れ下がっているガラモンのソフビの画像を発見。。
【元々はガラモン=ピグモン】
ガラモン・ピグモン論争が起こるそもそもの原因は、ガラモンとピグモンに明確な設定があったわけではないということです。
というより、ピグモンは「経費削減のため着ぐるみの再利用をしよう」という発想から生まれた存在なので、本来であればガラモンと同じ姿形だったといえるでしょう。
ピグモンにガラモンと同じ人が入り、展示会や怪獣ショーなどに駆り出されず、そのまま怪獣倉庫に眠っていれば、ガラモンとピグモンは同じ姿だったわけです。
つまり、ガラモンとピグモンで頭身や体色、トゲの形などが変わったのは、撮影の流れの中で起きた偶発的な要因によるものなのです。
なので、結論です。
「自分がガラモンだと思ったらそれはガラモン、ピグモンだと思ったらピグモンでいいんじゃないかな」(ビーチボーズ・桜井広海風)
何も判断材料が無ければ、尻尾の先端が上に反っているか、下に垂れ下がっているかで判断するのが賢明なのかもしれません。
【元々はガラモン=ピグモン】
ガラモン・ピグモン論争が起こるそもそもの原因は、ガラモンとピグモンに明確な設定があったわけではないということです。
というより、ピグモンは「経費削減のため着ぐるみの再利用をしよう」という発想から生まれた存在なので、本来であればガラモンと同じ姿形だったといえるでしょう。
ピグモンにガラモンと同じ人が入り、展示会や怪獣ショーなどに駆り出されず、そのまま怪獣倉庫に眠っていれば、ガラモンとピグモンは同じ姿だったわけです。
つまり、ガラモンとピグモンで頭身や体色、トゲの形などが変わったのは、撮影の流れの中で起きた偶発的な要因によるものなのです。
なので、結論です。
「自分がガラモンだと思ったらそれはガラモン、ピグモンだと思ったらピグモンでいいんじゃないかな」(ビーチボーズ・桜井広海風)