宇宙刑事そろい踏みの地
1980年代前半、当時の子供たちが夢中になった宇宙刑事三部作。
『宇宙刑事ギャバン』『宇宙刑事シャリバン』『宇宙刑事シャイダー』の“蒸着”、“赤射”、“焼結”というスーツ装着コードによる変身は、子供心を鷲掴みにしました。
今年は「宇宙刑事シリーズ40周年」ということで、3人の宇宙刑事がラストアクションを決めた場所を紹介します――。
舞台は都庁前
『宇宙刑事シャイダー』第49話「3人の宇宙刑事 ギャバン・シャリバン・シャイダー大集合!」。
最終回でもあるこの回は、フーマが滅びて全銀河に平和が訪れたため、ギャバン、シャリバン、シャイダーが地球で会う約束をしたというストーリー。
その舞台は、東京都庁の第一本庁舎と第二本庁舎の間のふれあい通りに架かる陸橋。
都庁や議事堂ができたり、橋の欄干や歩道が新しいデザインに変わったり、街路樹が生い茂ったりと様変わりしていますが、当時の面影は残っています。
空の光を眺めるシーン
雑踏を眺めながら、「平和は有難い。みんな思い思いの暮らしができる」と呟くギャバン。
そして、「さぁ行こうか!」とその場を立ち去ろうとする3人だったが、彼らの後ろに聳え立っているビルの間の空に光が現れた。
その光は3人に、「3人のコンバットスーツ姿を地球の子供たちに見せてあげたらどうだ」と語りかけてきた――。
このシーンも上述の陸橋で撮影されたものですが、撮影年が1985年なので、劇中では都庁や議事堂はまだ建っていません。
今は、議事堂への渡り廊下が出来ていて視界が狭くなっているので、都庁第二本庁舎の出口付近から眺めるとちょうどいい感じになります。
なお、左から新宿三井ビル、西新宿野村ビル、京王プラザホテルです。
ビルのシルエットでもわかると思いますが、この場所は『宇宙刑事シャリバン』の主題歌のワンシーンでも使われています。
夜に訪れるとイメージがつかみやすいかもしれません。
3連続変身シーン
【ギャバン】
ギャバンの変身シーンは、上述の陸橋から同ビル方向を眺める感じ。今は都議会議事堂や街路樹があるので、ちょっとわかりずらいです。
【シャリバン】
シャリバンは、都庁側を向くと撮影シーンになります。こちらも撮影当時に比べて街路樹がかなり生い茂っています。
橋の欄干が建て替えられてデザインが変わってしまっているのが残念。
【シャイダー】
シャイダーの変身シーンは、陸橋の上からヒルトンホテル方向を眺める感じ。
・都庁前のふれあい通りに架かる陸橋
東京都新宿区西新宿2丁目(大江戸線「都庁前」下車徒歩数分)
特撮作品のメッカ
この場所は、『星雲仮面マシンマン』のオープニング曲でも使われています。
また、橋の欄干近くの車道では、『宇宙刑事ギャバン』のエンディングでの撮影が行われました。
さらに、ヒルトンホテル側の車道は『超人機メタルダー』のエンディングのサイドファントムでの走行シーンで使用されています。
都庁前はまさに、特撮作品のメッカといえます。
宇宙刑事そろい踏み
コンバットスーツに変身した3人がポーズを決めるシーンは、新宿野村ビルと損保ジャパン本社ビルの間にある広場が舞台。
ちなみに、広場前の階段は『電撃戦隊チェンジマン』の主題歌でも使われています。
『おもいっきり探偵団 覇悪怒(はあど)組』の主題歌で落合先生が階段を駆け上がって摩天楼を見上げるシーンもこの場所です。
なお、新宿野村ビルの裏側は、覇悪怒組 第42話「ヤスコの冒険」のロケ地にもなっています。
ビル前でポージング
「自分の命を真っ“赤”に燃やし、“青”春の熱い血潮をぶつけて地球を全“銀”河を守り闘った…」というナレーションの後に続く3人の宇宙刑事のポージング。
【ギャバン】
【シャリバン】
【シャイダー】
新宿野村ビルの裏手の広場は、『超人機メタルダー』の主題歌でも使われていますが、銀色の風車のオブジェは撤去されています。
なお、『仮面ライダーBLACK RX』第7話「SOS!友情の輪」の劇中に、まだ風車のオブジェがある頃の広場が映っています。
宇宙刑事ラストシーン
そして、最後に三人の宇宙刑事によるラストシーン。
新宿野村ビルの前にある広場の階段前にあるラインに沿って、ギャバン、シャリバン、シャイダーが一列に並んでポージングを決めています。
子供の頃に憧れたヒーローが立った同じ場所に立つと、今まで経験したことのない不思議な感慨を覚えます――。
・新宿野村ビル
東京都新宿区西新宿1-26-2
編集後期
この場所は、偶然近くを通りかかった時に既視感を感じ、スマホで調べて発見。
幼少期という一番感受性が強い時期にインスパイアされたヒーロー達が存在した場所に立つと、幾ら年齢を重ねていても心震えるものがありました。
日本人が戦後、戦争を好まない平和的な民族になったのは、特撮ヒーロー番組の影響が大きいような気がします。
幼少の人格形成期に、ウルトラマンや仮面ライダー、スーパー戦隊、メタルヒーローなどから、勧善懲悪の思想を刷り込まれているためです。
世界平和の実現には、特撮ヒーロー番組を世界に輸出して、世界の子供たちに勧善懲悪教育を行うことが効果的なのかもしれません。
戦後、日本で特撮ヒーロー番組が数多く制作されたのは、“特撮の神様”と呼ばれた円谷英二監督の存在が大きいのですが、それはまた別の機会に紹介します――。
【出典】 「宇宙刑事シャイダーvol.10」「東映特撮ファン大賞2016」
【商品紹介】 「東映特撮ファンクラブ」