
伝説の大逆転優勝
2008年10月10日、東京読売巨人軍が2年連続32度目の優勝を飾った。

一時は、首位・阪神に最大13ゲーム差をつけられ、絶望的な状況に追い込まれた状態からの逆転優勝は、セ・リーグ史上初。
球史に残る伝説となった今シーズンを振り返ります――。
3ー4月
【開幕5連敗】
開幕戦で、二岡が右ふくらはぎに張りを訴えて離脱。投打がかみあわず、ヤクルトに3連敗。中日にも2連敗し、球団史上初の開幕5連敗を喫する。

原監督は、「じっと我慢して明日に繋げるしかない」と言葉を絞り出した。
【坂本大活躍】
坂本選手は6日の阪神戦で、5回裏に左中間へ満塁アーチを放ち、プロ1号がセ・リーグ史上最年少の満塁弾となった。

24日の横浜戦では、巨人の10代では93年の松井以来の1試合4安打をマークした。
【矢野骨折】
右ひじ痛で2軍調整中の矢野が患部を疲労骨折していることが判明。勝負強い代打の切り札が、長期離脱することになった。
【2軍落ち】
開幕後、1割3分5厘、無本塁打と不振のイ・スンヨプは14日、1軍登録を抹消された。

上原も自己ワーストの開幕4連敗を喫し、27日に登録を抹消。故障以外の理由での2軍落ちは、プロ10年目で初めてだった。
【強力打線機能せず】
主軸の調子が上がらず、チーム打率が30日時点で2割3分5厘のセ・リーグ最低を記録するなど、浮上の糸口は見つからなかった。

5月
【登録抹消】
4日、疲労性の腰痛を再発させた高橋由伸が登録を抹消。調子の上がらない高橋尚成も、21日に2軍での再調整を言い渡された。
【10ゲーム差】
17日の広島戦での敗戦により、首位阪神とのゲーム差は10に開いた。

43試合以内で、首位に10ゲーム差以上つけられたのは過去4度で、いずれも優勝を逃しており、早くも連覇への道は閉ざされようとしていた。
【禁止薬物】
巨人は26日夜に記者会見を行い、禁止薬物が検出されたゴンザレス内野手に契約解除を伝えたことを発表した。
【4位転落】
24日の西武戦で、グライシンガーが来日ワーストの7失点で5回KO。今季5度目の5割復帰挑戦にも失敗し、4位に転落した。

【勝率5割の壁】
内海が28日の楽天戦で完投勝利を収め、6度目の挑戦でようやく5割に達したが、その後2連敗を喫して、借金2で5月戦線を戦い終えた。
6月
【初打席サヨナラ】
6日のロッテ戦、延長10回一死の場面で代打でプロ初打席を迎えた加治前は、サヨナラ本塁打を放ちチームを勝利に導いた。

プロ初打席でのサヨナラ本塁打は、プロ野球史上初の快挙となった。
【5割復帰】
巨人の内海が8日、西武打線を8回3安打無失点に抑え、4勝目を挙げた。チームも今季2度目の4連勝、5月28日以来の勝率5割に復帰した。

【借金生活逆戻り】
巨人は、10日の西武戦で先発のグライシンガーが4回で7失点を喫するなど、投手陣が炎上し、再び借金生活に逆戻りした。

【貯金失敗】
12日、巨人は日本ハムの先発・多田野に7回まで1点に抑えられて敗戦。勝率5割から3度目の貯金への挑戦も、失敗に終わった。

【5割復帰】
17日のオリックス戦、同点の9回1死満塁で登場した代打・古城が自身初のサヨナラ犠牲フライを放ち、勝率を5割に戻した。

【初貯金】
翌日も先発のバーンサイドが来日最長の6回を無失点と好投し、オリックスに2-1で勝利し、巨人は待望の今季初の貯金1を手にした。

【交流戦4位】
交流戦は14勝10敗で4位となり、首位・阪神との差はまだ10ゲームあったが、2位中日の背中がはっきりと見えてきた。
【上原復帰】
2軍での調整を経て、上原が29日の広島戦で5点リードの9回、5番手で登板。直球で押す強気の投球を披露し、3者凡退で復帰戦を飾った。

7月
【11.5の壁、崩壊】
4日、巨人は中日に敗れ、首位・阪神とのゲーム差は、12に広がった。

セ・リーグで過去最大となる11.5差から逆転優勝した1996年のメークドラマを上回るゲーム差をつけられ、連覇は絶望的な状況になった。
【伝説の始まり】
巨人は8日、阪神に3-5で敗れ、球宴前に早くも自力優勝の可能性が消滅した。首位・阪神とのゲーム差は、今季最大の13ゲームに開いた――。

【二岡ショック】
タレントとの不倫騒動を起こした二岡は10日、11日の横浜戦での1軍復帰が見送られた。

その後、20日の横浜戦で復帰したが、2打数無安打、6回1死満塁の好機に代打を送られ、守備でも1失策と結果を出せなかった。
【阪神M点灯】
22日、巨人は阪神に4-7で敗れ、阪神に優勝マジック46が点灯。7月22日での点灯はセ・リーグ史上2位の速さで、原監督にとっては悪夢のバースデーとなった。

【スンヨプ復活】
25日のヤクルト戦、イ・スンヨプが約3ヶ月半の2軍での調整を終え、1軍に復帰した。

27日には、6回にバックスクリーン右へ今季1号。チームは今季4度目の同一カード3連勝を収め、5度目の4連勝。貯金を最多の9に伸ばした。
【前半戦2位】
巨人は29日、ラミレスや小笠原、阿部などのホームランで広島戦に6-2で勝利し、前半戦を今期最多タイの貯金9の2位で折り返した。

しかし、首位・阪神とは9.5ゲーム差あり、阪神のマジックは41まで減っていた。
8月
【ただいま弾】
北京五輪に出場していた阿部が26日の横浜戦で復帰し、第1打席で3ランを放った。

五輪で不本意な成績に終わった阿部へのファンの温かい歓声に後押しされたホームランで、3年連続で横浜戦の勝ち越しを決めた。
【上原復活】
28日、横浜戦に上原が4月26日の阪神戦以来、124日ぶりの先発。5回を7安打1失点で、先発としては693日ぶりの白星を手にした。

また、打線もクリーンアップ3連発の大爆発。1988年7月6日の中日戦の吉村、原、呂明賜以来、20年ぶりの出来事だった。
【6ゲーム差】
29日からの首位・阪神との3連戦を1勝1敗で迎えた巨人は、1-1の8回にニ死満塁から、代打・大道の走者一掃の二塁打などで加点し、6-1で勝利。

首位・阪神との甲子園3連戦に勝ち越し、ゲーム差を4月25日以来の6ゲームに縮めた。
9月
【反抗のノロシ】
3日の広島戦で、小笠原がサイクル安打、ラミレスが王貞治以来史上2人目の6年連続100打点をマークし、反抗のノロシを上げた。

首位阪神とのゲーム差も5に縮まり、残り28試合にして初めて虎の尻尾が見えてきた。
【12連勝】
11日に中日に勝利した後、ここから怒涛の連勝街道がスタート。24日の広島戦まで、32年ぶりの破竹の12連勝を達成した。

【天王山】
15日からの横浜3連戦では、イ・スンヨプの3打席連続本塁打や、初先発・東野のプロ初勝利という新顔の台頭で3連勝。

3ゲーム差で、19日からの首位・阪神との天王山に臨むことになった。
【天王山3連勝】
初戦、坂本の長打や小笠原の通算300号本塁打などで先勝。2戦目も初回にラミレスとイ・スンヨプ、2回に小笠原に本塁打が飛び出し、下柳を攻略。

3戦目は、5回に一挙8点の猛攻で勝負を決め、ついに阪神と同率首位に並んだ。
【再直接対決】
両チームで首位を並走する状態が続いたが、26日、巨人は広島戦に敗れて連勝が12で止まり、首位・阪神と1ゲーム差の2位に転落。

しかし、翌27日の甲子園での阪神との直接対決を制し、再び同率首位に並んだ。
10月
【悪夢の9回】
巨人は4日、守護神のクルーンが9回表に中日に連続四球を与えた後、中村紀に決勝3ランを許して、1-4で敗れた。

同率首位の阪神がヤクルトと引き分けたため、残り5試合で0.5差の2位に転落した。
【完全復活】
巨人は5日、上原の復活快投で中日に3-0で快勝。首位の阪神も勝ち、ゲーム差は0.5のまま。残り4試合、息詰まる攻防が続く。

【再び同率首位】
6日、首位・阪神がヤクルトに敗れ、巨人は再び同率首位に。7日の阪神-横浜戦が雨で中止になり、同率首位で最後の直接対決を迎えた――。
【10・8決戦】
81勝56敗2分の同率首位同士の直接対決で、勝ったチームに優勝へのマジックナンバーが点灯する天下分け目の一戦。

3回に、一死満塁からイ・スンヨプの2点2塁打で先制した巨人は、1点差に追い上げられるも、7回裏に飛び出したラミレスのソロ本塁打で勝負を決めた。

阪神との直接対決を制し、開幕から141試合目にして巨人が初めて単独首位に立ち、また新しい「巨人の日」を球史に刻んだ。

【足踏み】
巨人は9日、高橋尚が3回途中6失点でKOされ、4-8で最下位の横浜に大敗。前日に単独首位に立ち、マジック2を点灯させたが、思わぬ足踏みとなった。

奇跡の大逆転Vのゴールは、すぐそこまで見えている。
【伝説完結】
10日のヤクルト戦、グライシンガーの好投で3-1で勝利してマジックが1となった18分後、2位の阪神が横浜に敗れたため、巨人の優勝が決まった。
その瞬間、敵地ながら7割の巨人ファンに占拠された神宮球場は、歓喜に包まれた。

原監督は、「最後まで諦めずに戦ってくれたメンバーは、まさに歴史を作り、伝説を作ってくれたと思います」と目を滲ませた――。
編集後記
今年は、巨人の優勝は100%無いと思っていました。
なので、ペナントレース終盤に巨人と阪神とのデッドヒートが熾烈を極めて、野球の面白さを再認識する記憶にも記録にも残る最高のシーズンになるとは夢にも思いませんでした。
ここ数年、球場から足が遠のいていたけど、後半戦に会社帰りにフラッと立ち寄った横浜スタジアムで球場の開放感に触れて、そのことを思い出しました。
その後、天王山初戦や10・8を観戦して、最高の歓喜を味わうことができました。

でも、日本シリーズ第7戦に目前で西武の胴上げを見せつけられ、「東京ドームで原監督の日本一の胴上げを見る」という夢は叶わず、勝負事の残酷さを思い知る――。
見ごたえのある記事でした!
私も球場で一緒に応援したいものです。。。
そして若手の台頭によって5年10年先のジャイアンツがもっと楽しみになりました。
これからも共にジャイアンツを応援していきましょう!!
コメント、有難う御座いました。
今年の巨人は、序盤の連敗から始まり一時は阪神と
13ゲーム差を付けられました。
しかし、ここから逆転できた要因は、小笠原とラミレスの頑張りが大かと思っています。
そして、二岡を日本ハムに追い出した坂本君。
坂本は、ホームランこそ少ないですが、堅守と俊足
そしてチャンスに強い打撃。
投手陣では、やはり山口、越智が良く頑張りました。
来年は、ハムからマイケルが来ますので、彼が本来の
調子を取り戻せば、ノーコンのクルーンは放出するのも手かもしれないです。
原監督は、今年は中日を倒すこと(CSで・・)を
目標にしてましたから、これは現実となりました。
来年は、今年大足を引っ張ったイ・スンヨプに頑張って貰いたいです。
彼の力なら、40本は打てるはずです。
来年のCS(韓国の4番)は辞退して、ペナントに
集中するようです。
来期だめなら、彼は戦力外ですね。
日本シリーズでは、惜しくも破れましたが、セリーグを連覇したのは確かです。
来期は日本一に向かって躍進して貰いたいです。
頑張れ。ジャイアンツ。
ありがとうございました
やはり野球は巨人です
来年こそは日本一を願いましょう
私も負けて3,4日は何とも言えない悔しさだったのですが、周りの人たちに慰められてなんとか立ち直りました。
それに、日本一のチャンスはまた来年回ってきますしね!!だから、来年は2位以下を寄せ付けないような強さで日本一になってほしいです!!
応援頑張りましょうね!!
巨人は、これまで雌雄を決する直接対決ではあまり負けたことがなかったので、敗者の気持ちというのがわかりませんでした。
94年の10・8や今年の10・8も勝ってますし、94年、2000年、2002年の日本シリーズでは日本一になっています。
でも、今回の敗戦で、94年の10・8で負けた中日ファンや、2002年に日本一を逃した西武ファン、今年優勝を逃した阪神ファンの気持ちが痛いほどわかりました。。
ペナントレースを逆転優勝で制して、クライマックスも激闘の末リベンジを果たして、日本シリーズでも先に王手をかけて、日本一まであと少しというところからの敗者への転落ということで、精神的ショックは物凄いものがありました。
今年の落ち込んだ気持ちが来年の歓喜に変わるように、来年はなるべく球場で巨人を応援していきます!