電動キックボードMEISYA列伝

電動キックボードなどの特定小型原付全般のブログです。
毎回、少しマニアックな視点で書いています。

電動キックボードMEISYA列伝 #7 ZERO9LITE

2024-01-28 00:00:00 | 日記

電動キックボードMEISYA列伝の執筆者のmojyaoです。

 

さて、今回は特定小型原付のモデルとしては最初に発表、そして二輪の電動キックボード型でも最初に国土交通省の性能等確認試験に合格したzero9liteを取り上げていきたいと思います。

 

zero9liteは先ほど述べた通り、とにかく最初を飾ったという印象があり、特定小型原付の制度が始まる前、特定小型キックボードはzero9liteで決まりだ!という記事が多く見られたのですが、いざフタを開けてみるとそうでもなかったという印象があります。

 

その理由って恐らくはなのですが、歩道モードが無いということのただ1点のみなんじゃないのかな?って私は思っています。

 

歩道モードに関して販売元のswallowは実用面と販売価格を下げる目的で歩道モードを付けなかったと公式で発表をしているのですが、zero9は元々、今で言う一般原付モデルとして発売していて、後から特定小型モデルにクラスチェンジが出来るという予定だったようです。スムーズにクラスチェンジを行うためにも歩道モードを省いたほうが元から都合が良かったのでは無いのかな?と思っています。

 

いずれにしても考え方としてはどちらも合理的だとは思います。ですが、付けられる機能は今、使わなくてもいつか使うかもしれないからあったほうが良いというのが日本人の性で、双方の思惑が上手く合わずに後から続々と発売を発表してきたモデルに押され気味になったという感じは否めないと思います。

 

ですが、このモデルの価値を分かる人は分かると思うのです。なんと言っても販売元の公式で語っているように車体は優れているものだということがスペックや写真から見ても分かるのです。

 

特に優れていると言えそうなのが直進安定性で今現在、性能等確認試験を合格しているキックボード型の中でもホイールベースの長さが長い部類に入っているのです。

 

キックボード型のほとんどはホイールベースが800mm台で中には800mmを割っていると推測できるモデルもあるのですが、zero9liteは905mm前後だと思われます。

 

ちなみにホイールベースが長いほど直進の安定性能に優れ、短いほど小回り性能に優れるということはこのブログでも何度もお伝えしていますし、すでにご存じのことかと思います。

 

あと、トレール量がしっかり確保されているということも直進安定性が良いことの理由のひとつだと思います。トレール量とはステアリングの中心線と操舵輪の車軸の高さ方向の中心線を接地面で測った距離のことなのですが、ざっくり言うとこの量が大きいほどタイヤは進んでいる方向へ向こうとするんですね。

 

zero9liteの場合、トレール量は22mm程あるんじゃないかな?と思います。そのことについては角度が11°位あると考えられるキャスター角から推測しました。ちなみにキャスター角とは高さ方向への垂直線からステアリングの中心線への傾き角度のことで、これまたざっくりと言うとこの傾き角度があることによって段差などによる衝撃を受け止められるようになるのです。

 

キャスター角やトレール量はさすがにタイヤの大きいオートバイほどの数値にはならないのですが、それでもしっかりと付いているということは見てわかるんじゃないかな?と思います。

 

そして安定性は勿論の事、安定感にとっても欠かせないのが前後のサスペンションですね。

 

電動キックボードの場合、サスペンションはスペース的に設置が厳しいのとコストの関係もあってなのか特にリヤサスペンションを省いた物も珍しくは無いんですね。ですが、zero9は前後、特にリアにしっかりとしたサスペンションが付いているので少々の路面のギャップくらいは物ともしないものと思われます。

 

それと、車体そのものも長く使っているうちに曲がったりヒビが入ったりするような部分が見当たらないのも良い点です。ダートを走るとか極端な使い方をしない限りは普通のバイクや自転車並に車体は持ちそうです。

また、zero9はスマホのアプリに依存をしていないということも長く使えるという上では重要なことだと思います。スマホのアプリでしか起動や設定ができないという車種の場合だと車体はまだまだ走れたとしてもアプリのサポートが終われば事実上の終わりなんですね。

 

まあ、アプリのサポート云々の前にどの車種もまずはバッテリーのほうが先に寿命を迎えるとは思います。

 

ですが、マニア層・・まあ、マニア層がいたとしたなら・・という話なのですが、バッテリーを含め交換可能な部品がダメになったくらいだったらなんとかしてしまうんですね。

 

そもそもzero9liteを含めたzeroシリーズっていうのはシンガポールのファルコンPEVという会社が設計したいわゆる外車で、swallowの販売するzeroシリーズというのは日本向けの仕様なんですね。

 

仮にswallowがzero9の販売を終了し修理や部品の供給をも終了したとしても海外からアフターパーツを購入することが可能なんですね。で、仮に海外製のパーツを使ったことで特定小型原付の保安基準から外れたとしても登録を一般原付とかに変えて対応させるとかといった知識もマニア層、特に原付マニアにはあるんですね。

 

それではごきげんよう~


電動キックボードMEISYA列伝 #6 KICKZONE WZ-KICK02-BK & PLAYING MANTIS NEO

2024-01-14 00:00:00 | 日記

電動キックボードMEISYA列伝の執筆者mojyaoです。今回、このブログとしては初の二車種同時紹介となります。で、冒頭から恐縮なのですが、その理由については後ほど説明いたします。で、今回取り上げる二車種を初めて見た時に「なんか、ずいぶんとホイールベースが短いような気がするなぁ」と思いました。

 

ホイールベースって何?という人のためにざっくりと説明いたしますと、前のタイヤの中心から後ろのタイヤの中心までの距離のことでして、この距離が長ければ長いほど直進でフラフラしにくくなり、短ければ短いほど小回り性能に優れます。ですが、このブログで何度も伝えているように乗り物というものはどこかを良くすればどこかが悪くなるという関係で成り立っているもので、裏を返すとホイールベースが長くなればなるほど曲がりにくくなり、短くなればなるほど真っ直ぐ走りにくくなります。

 

真っ直ぐ走らないキックボードは困るというのは勿論なのですが、曲がらないというのもそれはそれで相当困るものです。

 

今、電動キックボード関連の話題では直進の安定性にだけ優れているもののほうが良いというような内容が散見されますが、私は曲がることも止まることも重要だと思っています。そこに走るという要素を加えた3つがちょうどいい具合に調和した物こそ良いと考えています。

 

で、話は今回の二車種に戻ってホイールベースが短い気がするとは言いましたけど、実物をみて思ったわけでなく国土交通省の性能確認試験合格リストの写真を見て思ったわけです。

 

写真だけじゃあ詳細がわからないので、発売元や販売元を調べてホイールベースの寸法を確認してみようと思ったのですが、電動キックボード各社ってどこもホイールベース寸法を公表していないんですよ。で、KICK ZONEのほうはNewseedという会社から発売されていてマンティスNEOのほうは足立ブレーキという会社から発売されているのですが、直接確認してみるにしてもレイルグレードLの時と同様に結構と面倒くさいことを入力フォームで聞いてくるので今回も聞きませんでした。

そこで、今回の二車種と比較対象になる車種を写真と分かる範囲の寸法から推測してみることにしました。

 

今回の二車種はどちらも全長1130mmでタイヤは外径10インチです。タイヤ外径はメートル法に換算すると254mmです。

 

前後のタイヤの外周がそのまま全長になればこの時点でおおよそのホイールベース寸法の算出は可能なのですが、そういうケースは希でだいたいはそのほかの部分が絡んで全長となるケースがほとんどです。

 

カタログ寸法÷写真上の実測値で縮尺を求めてから各部の推定値を算出するという非常に大雑把なやり方で同じく10インチタイヤの他の車種の中からハイエンドモデルの代表としてKS6PROとエントリーモデルの代表としてAINOHOT S07と比べてみました。

 

ホイールベースが長いであろう順に言うとKS6PROが915mm位で次に今回取り上げた車種が855mm位で次にAINOHOT S07の795mm位となりました。

 

尚、この算出方法ではプラスマイナス1cm位の誤差が出るんじゃないかな?と思いますが、今回取り上げた車種のホイールベースは見た目よりも短くはないようで、KS6PROとS07の中間くらいのようです。また、855mm程という寸法は、リッチビットES1PROがだいたい840mm程度のようなのでホイールベースのみに関してはES1PRO程度と考えて貰ったほうがイメージしやすいと思います。

 

となると、ハンドルが高いからホイールベースが短く見えるようです。今回取り上げた車種のカタログ値の全高はkickzoneが1270mmでマンティスNEOが1260mmなのですが、ホイールベースの話で比較した車種の全高はカタログ値でKS6PROが1258mmでAINOHOT S07が1180mmです。

 

今回取り上げた車種の全高ってKS6PROよりも高いんです。ちなみにカタログ値での全長は長いほうから順にKS6PROが1192mm。今回取り上げた車種が1130mm。S07が1070mmです

 

以上のことを纏めると、比較した車種と比べて縦横比での縦が一番高いということになります。それから、デッキのまっ平らな部分が車体全長に比べて短いというのもホイールベースを短く見せる要因なんじゃないかな?とも思っています。

 

デッキの部分の長さも各社とも公表していないので、ホイールベースの寸法推定と同じやり方で算出してみると長い順からKS6PROで505mm程度、今回取り上げた車種で425mm程度、S07で415mm程度となりました。

 

今回取り上げた車種は全長はS07よりも60mm長いのですが、デッキのまっ平らな部分の長さはほぼ一緒なんですね。デッキの長さも極端に短いというわけでもないようです。

今回の推測が間違っていなかったとしたなら、今回取り上げた車種は実用上、バランスの悪いものでは無いと言っても良いと思います。

さて、冒頭でお話した初の二車種紹介の理由なのですが、KICKZONEもマンティスNEOもどちらも中国のkaixinのX11というモデルがベースらしいんですよ。ちなみに言うと今回比較対象として取り上げたAINOHOT S07も同じくkaixinのX8というモデルがベースのようで今回は取り上げなかったのですが、足立ブレーキ工業から発売されているマンティスjrという車種もそのkaixinのX8という車種がベースのようです。

 

それではごきげんよう~