屋久島に移住して20数年
移住当初、どんな仕事をしようかというプランはなく
ただ田舎暮らしに憧れて
自給自足とまではいかないけれど
趣味の範囲で日曜大工と家庭菜園をしたく屋久島生活をスタートしました
ホームセンターで初めて電動工具の丸ノコを購入し
最初に作ったものが布団を干すための台(木枠で制作)
そして下駄箱、椅子など日用生活に必要なものを作り始めました
電動工具の他に、基本である手道具の鋸、玄能、ノミ、カンナなども揃えていき
木工・大工の本を買って、それを参考に見よう見まねで挑戦しました
当たり前ですが、最初はとても家具と呼べる代物はつくることができませんでしたが、
挫折することも諦めることもなく、自分のため、家族のためにひたすら作り続けました
そしていつしか、お試しでつくった家具を地域のイベント(屋久町産業祭)へ出品し、
それが売れて、よろこび、自信につながり、
自然な流れで「ものづくりの世界」へ入っていきました
趣味で始めた木工ですが、
今こうして、木育をする機会にまで恵まれたことに感謝です
木育とは、
「木とふれあい、木に学び、木と生きる」
「人と、木や森との関わりを主体的に考えられる豊かな心を育む」
・・・などといわれています(実際、私もそういっています)
これは20年ほど前に北海道で生まれたことばで、
これまで様々な団体や組織などで木育の推進と普及が行われ
そのお陰で今の木育があり、とても大事な役割を果たしてきました
人の社会での木育はこれで良いとおもいます
ですが、これからの社会では新たな視点を加えて
もっと本質的なことを大事にしていかなくてはと思っています
ここからは私なりの木育のお話です
誤解を恐れずに言えば、
世の中は人があっての社会です
だから「人」が主になります
極端に言うと、「人」のための木材利用
「人」が利用するために山林や自然があり
「人」のための木育なんです
全ては「人」が前提という設定で
「人」を育むことが目的です
これがデフォルトとなっています
私は自然が好きで木が好きで、
今までそれらを利用してきました
木工もそうです
木を使ってものづくりをして
自己満足したり、人に喜んでもらったりしてきました
屋久島へ移住して20年以上、
まさに、木とふれあい、木に学び、木と生きてきました
だからこそわかったこと、気づかされたことがあります
それは人を主とする今までの設定を変えてみてはどうか
つまり、世の中の基準を「人」から「自然」に置き換えてみることです
わかりやすく例を挙げてみると
先ほど私が述べた文章を「人」から【自然】に変えてみます
以下置き換え
【自然】のための木材利用
【自然】が利用するために山林や自然があり
【自然】のための木育なんです
全ては【自然】が前提という設定で
【自然】を育むことが目的です
以上
いかがでしょう
一部文脈がおかしなところがありますが、
天地がひっくり返った感じではないでしょうか?
価値基準が反転し頭が混乱し素直に受け入れるには抵抗があると思います
でも、昔の八百万の神々が信仰されていた時代では
【自然】が主であることが当たり前でした
人の存在は【自然】があって成り立つものなのです
【自然】の方がはるかに大きな存在です
もっというと【自然は絶対の存在】なのです
そうはいっても日常でそんな気持ちを意識したり維持するのは困難です
私もそうです
でも心の片隅に置いておくことはできると思います
普段の人の営みの中では忘れているかもしれませんが
一度、心の中に本来の【自然】に対しての気持ちを置いて、刻んでおけば
何気ないふとした日常の瞬間に【自然】を思い出し
【自然】を想うことを大事にして生きていけることができると思います
つまり、「人間」中心主義から【自然】中心主義への移行です
人間の都合で、自然を利用し消費したりする時代は終わりにしなくてはいけない時期に来ています
地球も人間に搾取される一方のピークを終え
これからは人間が地球を慈しみ、自然に恩返しをしていく時代に向かうべきです
何事もプラスとマイナス、陰と陽があって正しくバランスを保つことができる真理があります
行き過ぎた人間の行いでバランスを崩した地球はどうなるのか?
自然の摂理を見てみればわかることです
地球にとって人間はどうあるべきか?
微力ながら木育を通し、アレコレと考え悩んで、明るい未来に突き進んでいきたいと思います
新年も無事、安全な年になりますように
屋久島木工木育デザイン
代表 福島晃 木育インストラクター
youtube: 屋久島木工木育デザイン
mail : ymmdesign9@gmail.com
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