いよいよ組み立てです。
まずは、接着剤を付けずに、台板にムーブメントと留め切りしたフレーム角材を取り付けて仮組み ↓
家具作りでもそうですが、接着する前にはできる範囲の仮組みをするようにしています。
加工では、図面を何度も見ながら、細心の注意を払い、間違いがないように製作を進めています。
ですが、定規などのメモリの読み間違えで墨付けをし、そのまま加工してしまい、
本番の組み立ての時になって初めて気づくという、若かりし頃のとても苦い経験をして以来、仮組み確認は欠かせません。
で、今回時計の仮組みをして気がついたことが・・・
フレームを台板にはめ込むのが、結構きつくて、かたい!
木育という観点で、この杉の時計は、ふるさとの杉材を使い、自分の手で組み立てて、
その杉の感触、色や木目模様、香りなど、手に取る時間が長ければ長いほど、
木とのふれあいも深まり、情操教育につなげていくという狙いがあったのです。
ですので、理想は組み立てキッド品として、子どもたちの手で組み立ててもらいたかったのですが・・・
これでは難しい!
まあ、仕方がないとして、こうなったら、もうこちらで組み立ててしまいましょう。
こういうところは木育インストラクターとしてはまだまだ板についていません。
木工職人としての血が騒いでしまうのです。
さあ、本番の組み立て開始!
フレームはボンドで接着 ↑
ボンドをつけているときに気がついたのですが、
写真のようにボンドをかなりの量をドボドボにつけています。
この四角板の木目の上と下側は木口といって、木の繊維の切断面。
木には繊維状に道管がありまして、この道管とは、根から吸い上げた水分や栄養などを送るためのチューブみたいなものです。
イメージでいうと、ストローを束にした感じ。
ここにボンドを塗るとすごく吸い込むのです。
薄く塗った場合、10秒くらいで乾いてしまいます(個体差はありますが)。
乾燥した木材ほど吸い込みは早く、湿った木材は遅くなります。
ボンドの乾いた接着面はひっつきません。
ですので、吸い込み量を考慮してボンドを厚く塗っているのです。
とここまで説明したのでおわかりだと思うのですが、
こういう経験値からくる勘所みたいなものを、説明だけで子どもたちに伝えるのは難しいですね。
実際に、木工体験教室で手取り足取り、やって見せて教えるのはできると思うのですが・・・
次にもう一つ、直角を出すこと・・・
組んだ後、直角になっているかどうか、写真のスコヤという直角定規で確認します。
もし歪んでいて、修正する場合は、ボンドが乾かないうちに手早く!
これも実際にやってみたら、簡単ではありません。
多少の歪みはわかる人にはすぐにわかります。
また、わからなくても、視覚的になんとなく違和感をかんじることがあるかもしれません。
うーん、こういうシビアなことを言い出したらキリがありませんね。
木育からどんどん離れていくようです。
正確な完成品をつくることが木育ではありません。
そもそもこの杉の時計の設計は、子どもが組み立てるにはマッチしていないことが判明。
もし今後、同じような機会があった場合は、木工職人でなく木育インストラクターとしての視線から設計を心がけるようにしましょう。
長くなりましたので、その6 へつづく
福島木工家具店
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