鈴木トマトの日常

車の運転はできません。

勝手な思い込み

2018年01月20日 | 日記
みーちゃんが赤ちゃんを連れて家に遊びに来た。みーちゃんは息子の幼稚園を通じて知り合ったママ友で、4月に第二子を出産したばかり。来週から仕事に復帰すると言う。市内の総合病院に勤めているとてもほんわかした人だ。暇なときに一緒にお茶でもしましょうと、いつだか約束したのだった。

「トマトさん、二人目が欲しいのでしたら、赤ちゃんをだっこするといいですよ。女性のホルモンバランスが変わってくるみたいです」

そういえば、義母もそんなことを言っていた。「孫を抱っこしたら生理が再開したのよ」と嬉しそうに言っていた。

みーちゃんから、赤ちゃんを受け取り抱いてみる。ずっしりと重たい。不安そうに、まばたき一つせずに私の顔を見つめてくる。小さな手で力強く私の襟元を掴んでくる。一緒に窓の外を見たり、ふらふらと廊下に出てみたりしながら、しばらく赤ちゃんを抱っこさせてもらう。優しさ、嬉しさ、悲しさが混じったような不思議な気分。女性のホルモンバランスの乱れってこういうことだろうか。「ありがとう」と言って、赤ちゃんをみーちゃんに返す。本当はもっと抱いていたかったけど、なんとなくすぐにお母さんの元に返さなければいけないような気がしたのだ。

紅茶を飲みながら、みーちゃんと幼稚園生活の話などをする。そして、みーちゃんの仕事の話。

「看護師さんは大変でしょう?」

と、みーちゃんに尋ねる。

「え?」

みーちゃん、沈黙。何かまずいことでも聞いただろうか。しばらく黙ったあと、みーちゃんが口を開く。

「あの、トマトさん…わたし実は…」

「はい」

「わたし、医者なんです」

「えええ、すみませんでした!!!」

「病院に勤めていたことは以前、言いましたが、医者だということはまだ言っていませんでしたね。すみません」

「いえいえいえいえ、こちらこそすみません!!!」

みーちゃんのほんわかした感じから、勝手に看護師さんなんだろうなと思い込んでいた自分がとても恥ずかしかった。私の勝手な思い込みで、みーちゃんのことを傷つけてしまったのかもしれない。何度も何度も、みーちゃんに謝った。

みーちゃんは、うふふと大山のぶ代の時のドラえもんのように笑った。

「わたし、こう見えても胃カメラとか得意なんですよー」

と、ほんわかした口調で言った。


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