地球誕生~古生代~中生代~人類の誕生(『ドラえもん』、『ダイナソー』など)
3億年前に犬と猫の文明があった
手塚治虫の『マグマ大使』によると、今から46億年前、地球は「アース」という神のような人物によって作られたらしい(円道祥之=えんどうまさゆき『空想歴史読本』)。
それから43億年後。今から3億年前の古生代。
魚類が陸上に上陸して両棲類になり、爬虫類はまだいるかどうかという時代。
藤子・F・不二雄の『ドラえもん』の「のら犬『イチ』の国」によると、新生代からタイムマシンで訪れたドラえもん(2112年製造)と野比のび太(1964~)が犬と猫の群れを残して去り、この犬猫が進化放射線で進化し、1000年で文明を設立。場所はアフリカの奥地。ただ、気象の大きな変化を予測し、犬猫たちは宇宙に逃れた。
20世紀にこの犬猫たちの町の遺跡が發掘され、「3億年前に文明があった」ということで、人類学、考古学などの定説を覆す大ニュースになった。タイムパトロールは黙認していたのか?
この作品における「現代」は、「のら犬『イチ』の国」では20世紀であろうが、
2004年に公開された映画版『ドラえもん・のび太のワンニャン時空伝』では「21世紀」になっているようだ。西暦2004年にはのび太が40歳になり、息子・ノビスケも小学校六年くらいになっているはずである。
ドラえもんは22世紀に作られる予定の猫型ロボットで、21世紀初頭の科学で言えば、おそらく、犬型ロボットAIBOのようなペット用ロボットか、あるいは子守ロボット、花粉監視ロボットなどの進化形であろう。
もし、犬猫たちが新生代まで進化していたら、人類が生まれたかどうか、疑問である。
永井豪の『デビルマン』の漫画および実写映画によると、デーモンが古生代中生代初期に知的生命体になって二足歩行。恐竜全盛期になると、デーモンは恐竜に対して生き残るために知性を發達させて文明を築き、三畳紀に超大陸パンゲアの誕生、南北大陸の分裂の時期にデーモン一族の文明が始まり、新生代にシリコンカプセルの中に眠ったらしい。
また、『ドラえもん・のび太の恐竜』によれば、恐竜たちが栄えた中生代、ドラえもんとのび太が20世紀からタイムトラベル。彼らはフタバスズキリュウの卵の化石をタイムふろしきで蘇らせ、育てたあと、中生代に送りに来たが、日本でなくアメリカに来てしまった(源静香の飼い犬が「死んだ」と見なされたとき、ドラえもんは「死んだものを生き返らせることはできない」という主旨の台詞をのび太に言ったことがあるが、タイムふろしきを使えば可能である)。
ドラえもんたちはこの首長竜(ピー助)を日本に送ることにするが、タイムマシンの空間移動機能が壊れただけで、中世代の地球上を歩くことにした。どこでもドアには中生代の地図がインプットされていないらしい。しかし、そんなことしなくてもタイムマシンで20世紀のアメリカに戻って、どこでもドアで日本に帰国すればよかった。
最終的にドラえもんたちは、タイムパトロール隊のタイムマシンで20世紀の日本に帰還した。
のび太の学友・静香、ジャイアン、スネ夫は当初、のび太が「本物の恐竜を育てた」と言ったことばを信じなかったが、一緒に白亜紀を訪れ、のび太の育てた首長竜を見て納得した。しかし、厳密には首長竜は「恐竜」ではない。ドラえもんと学友たちが、誰一人としてその点を言わなかったのは、彼らの無邪気さか、寛大さか。
ドラえもんたちが訪れた白亜紀の地球では、白亜紀の恐竜・ティラノサウルス(Tyrannosaurus)だけでなく、ジュラ紀にいたはずのブロントサウルス
(Brontosaurus)、別名アパトサウルス(Apatosaurus)のような恐竜もいたようで、おまけに肉食恐竜と草食恐竜で歯の形が違うはずが、映画では同じだった。
もっとも、『のび太の恐竜2006』では各場面の恐竜の描写が、新説によって改められているようだ。
6500万年前に恐竜は滅亡、一部は人類誕生後も存続
恐竜が栄えた時代は6500万年前に終わった。
恐竜の絶滅は「彗星の衝突による」との説が有力である。ディズニー映画『ダイナソー(Dinosaur)』によると、当時、彗星衝突直後、一部の恐竜が群れをなしてオアシスを探す旅に出たようで、このときから哺乳類のキツネザルがいたことになっている。
また、『ドラえもん・のび太と竜の騎士』によると、恐竜の一部が地下に逃れ、地上に人類が出現する時代まで、地下で進化していたらしい。ドラえもんたちは「ほんやくコンニャク」という体内摂取型の自動翻譯装置(食品)で、恐竜人間と意思疎通をした。このコンニャクは音声入力および出力のできる電子会話帳の進化したものだろうが、竜人のことばや現代ドイツ語だけでなく、7万年前の人類のことば、平安時代の日本人のことばもインプットされていたらしい。驚くべき高機能だが、日本語を話すドラえもんの電子頭脳にこの翻譯機能がインプットされていないのは不思議である。ドラえもんは猫の鳴き声は理解できるが、犬の鳴き声になると「動物語ヘッドホン」に頼る。現代社会では犬の鳴き声から犬の心裏を読み取り、文字化する機械がある。
漫画に出てくる「原始時代」は石器時代人と恐竜が同居している場合が多く、人類が中生代からいたのか、恐竜が新生代まで生存していたか、そこは不明。
石森章太郎(のちの石ノ森~)の『原始少年リュウ』によると、石器時代にも恐竜など中生代の爬虫類がいたらしく、「人類が誕生したとき、恐竜はいなかった」という定説を覆している。地下の「恐竜帝国」から一部が地上に舞い戻っていたか。
『Dr.スランプ』によると原始時代にはライター(lighter・点火器)も持ち込まれた。原始人はそれを面白がっていたが、内部の燃料がなくなれば役に立たない。文明の利器とはそれを支える社会のシステムなしには成り立たないことの証明である。
『ドラえもん』の「石器時代の王さまに」では、のび太がタイムマシンで10万年前の石器時代を訪れ、英雄になろうとするが、持ってきた20世紀の道具が役に立たず、逆に現地の子供のペットにされそうになる。巨大なマンモスに襲われたところを最終的にドラえもんに助けられ、石器時代の人たちはドラえもんを王より偉い「神」としてもてなした。この時代の地球には、のび太の先祖、スネ夫の先祖(スネル)、静香の先祖、ジャイアンの祖先らしき人間もいた。
狩猟、最終文化を持っていた先祖たちから見れば、文明に慣れきった現代人のほうが劣った動物に想えたことは、文化的、民族的な偏見が「お互い様」であることを示す歴史的教訓になる。このことは『猿の惑星』、『猿の軍団』で描かれた未来の地球でも繰り返される。
続き。
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園山俊二の『はじめ人間ギャートルズ』によると、石器時代の人間はマンモスの肉が主食だったらしい。また、当時の人間はサル(猿または猴)に果物を食わせ、吐き出させて酒を造っており、石の貨幣もできていた。
そして、『ドラえもん・のび太の日本誕生』によると、今から7万年ほど前、日本列島が大陸と地続きだったころの東アジアに住んでいたヒカリ族がドラえもん、のび太と遭遇、日本人の先祖になったらしい。「明石原人」がこの時代にあたり、実際は原人と新人の間の旧人に属する模様。作中では日本における旧人は滅んでいて、今の日本人の先祖はヒカリ族の末裔らしい。
漫画『王家の紋章』は20~21世紀の人間が古代エジプトにタイムスリップする話。
「イチ」の国の場合、国ができたのが「3億年前」で、犬や猫たちが地球から去ったのがそれから1000年後。すると単純計算で「2億9999万9000年前」になるが、これは四捨五入して「3億年前」と呼んでもいい時代だ。
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