地理講義   

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6.北海道(亜寒帯)の気候

2010年10月25日 | 地理講義
6.北海道の気候

北海道は最寒月平均気温-3℃~+18℃の間にある。カナダや旧東欧の大部分のような大陸性気候である。ケッペンの区分ではDfである。
「北海道気候」と呼ばれる場合、年間を通じて気温が低い、湿度が低い、積雪期間が長いという印象で語られる。
北海道には本州・四国・九州のような「梅雨」はない。台風の襲来も少ないし、弱い。北海道の面積は83,456平方キロメートルの広さである。北海道内の地域によって、気候に大きな違いが見られる。北海道の気候は、道南・日本海沿岸・太平洋沿岸・オホーツク海沿岸・内陸の5つに区分される。




(1)道南
函館市が典型例である。夏は涼しく、冬も温和な気候である。北海道では本州に最も近い気候である。



日本海を北上する「対馬海流」が、津軽海峡にも流れ、渡島半島南部は、北海道内では温暖な気候に属する。冬の積雪量も少ない。温暖な気候のため、松・竹・椿などが成育し、本州に近い景観になる。


(2)道央(日本海沿岸)
札幌は都市化の影響で降雪量が少なくなったが、日本海岸では、乾燥寒冷の北西季節風が、対馬海流から大量の水蒸気を供給され、積雪量が多い。

 

檜山管内から宗谷管内までの日本海沿岸は、夏に晴天が多く、日本海を流れる「対馬暖流」の影響で気温も高めである。北海道最大の都市、札幌市と石狩平野はDfである。
一方、小樽は日本海岸にあり、冬は北西の季節風の影響で降雪量が多い。12月から3月までは、雪が降り続いて、雪の消えない「根雪」状態になる。


(3)釧路・根室(太平洋沿岸東部)
夏の霧の影響で日射量が少なく、夏は冷涼である。最暖月の平均気温は20℃に達しない。冬の北西季節風は、太平洋岸までは到達せず、積雪量は少ない。



根室から釧路までの太平洋沿岸東部の夏は、太平洋から大量の水蒸気を含んだ北東季節風が吹き込む。沿岸の寒流「千島海流(親潮)」によって冷やされるため、海上で濃霧(海霧)が発生して、内陸に流れ込む。
濃霧の影響で夏の日射時間は減る。夏は晴れ間が少ないため、気温が低くなる。


(4)十勝(太平洋岸)
夏には内陸の帯広市などには、北東季節風の影響が少なく、帯広市などの十勝内陸部では気温が高くなる。冬には沿岸・内陸ともに積雪量が少なく、晴天が続く。しかし、内陸ほど放射冷却の影響を強く、寒さが厳しくなる。気温の日較差も年較差も大きい。



日高・胆振地方など、太平洋沿岸西部では、暖流の「対馬海流」の分流が影響し、比較的温暖である。内浦湾(噴火湾)沿岸は、年間を通じて気候が穏やかで、冬期間の雪も少ない。
浦河の場合、最寒月平均気温が-3℃より高いので温帯、最暖月平均気温は22℃を越えないので西岸気候である。
浦河は、暖流と偏西風の影響を受け、日本では例外的形式的には、西岸海洋性気候Cfbである。しかし、植生が周辺地域と特に異なる点がないことから、あくまで形式的な西岸海洋性気候Cfbであり、実質的には温暖湿潤気候Cfaか、亜寒帯湿潤気候Dfと区分する方が正しい。


※最暖月が22℃を越えないし、最寒月が-3℃よりも高い。ケッペンの区分に単純にあてはめると、浦河の気候区は西岸海洋性気候Cfbになる。



(5)道北(内陸)
内陸盆地にある旭川市、名寄市などは、大陸性気候である。冬は冷涼、夏は温暖である。

 

旭川市(上川盆地)、名寄市(名寄盆地)は、夏は気温が高い。盆地に吹き込む風により、フェーン現象が起こって、さらに気温が上がることもある。本州以上の暑さになることがある。
冬は放射冷却現象によって気温が下がる。旭川周辺地域では-30℃以下に下がる。大気中の水分が凍りついて「ダイヤモンドダスト」が見られる。
稚内は宗谷海峡に面した小都市だが、その気候は気温と降水量に関する限り、海岸の影響が小さく、旭川によく似た気候である。


(6)オホーツク海沿岸地域
オホーツク海岸は、年中、乾燥した季節風が吹き、晴天が続く。降水量(降雪量)が少ない。
1月から3月中旬には「流氷」が沿岸部に接岸する。流氷によって内陸型気候になり、流氷が去る「海明け」まで、厳しい寒さが続く。

 


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