地理総合の研究 付2018年センター地理AB本試・追試解説 

「地理講義」の続き。「地理総合」に「2018年センター試験地理AB本試・追試の問題と解答解説」を追加。

2018年地理A第2問解答解説  文化

2019-01-10 14:46:14 | 地理講義

 

解答
【9】②
解説 世界の生活と交通
① アムステルダム(オランダ):1973年の第1次石油危機と1977年の京都議定書締結とにより、オランダは自転車の利用を推進するようになった。
② バンコク(タイ):バンコクはチャオプラヤ川の三角州にできた低地の都市であり、チャオプラヤ川に浮かべた小舟がマーケットになっている。
③ デリー(インド):自転車利用の三輪車タクシーが使われている。インドの大都市でも、牛の放し飼いが見られる。
④ ロサンゼルス(アメリカ):高速道路網が発達する一方で、公共交通機関が少なく、自動車の利用が盛んである。
詳細な解説
① アムステルダム(オランダ)の自転車
1973年の第1次石油危機で原油価格が上昇した。1997年の京都議定書ではオランダは他のEU加盟国同様温室効果ガスの削減を8%とした。アムステルダムは干拓地であり、平地が広がって自転車を利用しやすい。オランダ政府も、自転車用道路を整備した。

② バンコク(タイ)の水上マーケット
チャオプラヤ川の水路に並べた多数の小舟が、各商店であり、そこで市民が買い物をする。水上マーケットに代わる陸上大規模店舗が増えて、水上マーケットの利用者は減少した。一方、日本・中国などからの観光客が増加した。

③ デリー(インド)の三輪車タクシー
四輪自動車のタクシー以外に、エンジンを搭載した三輪車タクシーや人力三輪車タクシーがある。人力三輪車タクシーは日本の人力車を語源とし、リキシャといわれる。

④ ロサンゼルス(アメリカ)の自動車交通網
自動車交通のための幹線道路が、都心と住宅地とを結んでいる。地下鉄・電車・バスの交通機関も充実しているので、自動車が必ず必要ということではない。しかし、ショッピング、通勤、通学などの日常生活を考えると、自動車への依存が高くなる。

 

 

 

 

 

解答
【10】③
解説 住宅建築材料
(ア)B(東南アジア):竹は熱帯亜熱帯で得やすい。
(イ)A(地中海岸):石灰岩地帯であり、石灰岩で住宅を建てる。
(ウ)C(朝鮮半島):床暖房の原初的形態。
詳細な解説
東南アジアの竹壁の住宅
竹は東南アジアでは簡単に入手できる。軽くて丈夫であり、伝統的な高床式住居に適している。竹壁には隙間ができ、高温の季節には外気を入れるのには便利である。
地中海岸の石灰岩の住宅
白い石灰岩の住宅が並ぶ。夏の乾燥が著しいために木材を手に入れるのが難しい。高価な木輸入木材は住宅の最低限とし、大部分を石灰岩を素材とする。
朝鮮半島のオンドル
オンドルは床暖房である。古くは炊事用かまどの熱風を床下に通していたが、次第にオンドル専用のかまどが備えられるようになった。

 

 解答
【11】③
解説 食用油の原料
①E◯ カナダ北極圏の先住民イヌイットは、アザラシ・クジラから油などを得ている。
②F◯ ギリシャでは古くからオリーブの栽培が盛んである。
③G× アブラヤシは熱帯・亜熱帯で生育し、北朝鮮では自然の状態では成育しない。
④H◯ フィリピンではココヤシが成育し、ヤシの実からはコプラが得られる。
詳細な解説
① クジラ:北米の先住民イヌイットは、先住民生存捕鯨の形でクジラを食用に捕獲し、鯨油も利用している。しかし、このクジラ・アザラシに頼る食生活は、イヌイットの現在の生活の主流ではない。現在は肉は冷凍豚肉・牛肉・鶏肉などを食べる。油は大豆油などを使う。
② オリーブ:ギリシャではギリシャ文明が栄えた当時からオリーブの栽培が盛んであった。オリーブの木が一本あれば、生活の成り立っていた時代が長かった。
③ アブラヤシ:アブラヤシは熱帯のプランテーション作物である。マレーシアのプランテーションで栽培されるギニアアブラヤシはアフリカ原産である。洗剤・食品の原料として重要である。
④ ココヤシ:コプラはココヤシの実から得られる。フィリピンの生産量が最も多い。洗剤やマーガリンの原料となる。コプラの絞りかすは優れた家畜用飼料となる。

 

 

 

 

 

 解答
【12】⑥
解説 家畜の利用 
(カ)羊毛。中国、オーストラリア、ニュージーランドに多いから羊毛の生産量である。
(キ)ヤギ乳。インド、バングラデシュ、スーダンだからヤギ乳である。
(ク)豚肉。中国、アメリカ、ドイツ、スペインが多いから豚肉である。
詳細な解説
(カ)羊毛:羊毛生産量は中国22.2%、オーストラリア17.0%、ニュージーランド7.8%である。羊飼育頭数は中国15.0%、オーストラリア6.5%、インド5.5%、スーダン4.5%である。
(キ)ヤギ乳:自家用が多いのでヤギ乳の正確な生産統計は存在しない。国情から判断することになる。ヤギの飼育頭数から推測することになる。ヤギ飼育頭数が最も多いのは中国だが、少人数で飼育するからヤギ乳生産量は少ない。インドやバングラデシュなどで多くなる。
(ク)中国料理は豚肉を大量に使う。中国は豚肉生産料が最も多い。豚肉の最大輸出国はアメリカ、最大輸入国は中国である。

 

 

 

解答
【13】①
解説 砂糖とカカオ
(サ)イギリスは18~19世紀にはカリブ海島嶼部を植民地とし、アフリカからの黒人奴隷を使って砂糖のプランテーションを経営した。
(シ) カカオの生産量の多いのは、フランス植民地であったコートジボアールと、イギリス植民地であったガーナである。
詳細な解説
砂糖
イギリスとスペインが、砂糖栽培のプランテーションを経営するため、カリブ海島嶼部を次々と支配した。プランテーションの労働力としては、アフリカからの黒人奴隷を使った。ジャマイカ、ドミニカ、ケイマンなどでの砂糖生産量が多かった。
カカオ
カカオ豆生産量は、アフリカギニア湾岸のフランス領コートジボアールが最も多く、次にイギリス領ガーナである。1960年まではガーナの方が生産量が多かったが、カカオ産業の国有化事業に失敗し、以後、隣国コートジボアールがカカオ豆生産を増やした。

 解答
【14】①
解説 民族と文字
①× ハングルだけが使われ、漢字はほとんど使われない。
②◯ アラビア語は右から左に読むが、文中の数字は左から右に読む。
③◯ ブラジルはポルトガルの植民地であった。
④◯ ギリシャ人宣教師キリルによって、布教用に使われた文字。
詳細な解説
ハングルとは朝鮮語で偉大な文字の意味である。漢字は日本が朝鮮半島を侵略した時に強制したものであるとして、1970年に漢字廃止政策が始まった。漢字を読めない者が増えたが、日本語の平仮名に相当するハングルでは、同音異義語が表記できないとか、文字数が多くなるとか、の弊害も出ている。



 

 解答
【15】②
解説 各国で多数を占める宗教
(タ)インドで多数を占めるからヒンドゥー教である。
(チ)ウズベキスタンで多数を占めるからイスラム教である。
(ツ)ポルトガルで多数を占めるからキリスト教である。ラテン民族はカトリックが多い。
(テ)スリランカで多数を占めるから仏教である。スリランカには小乗仏教徒が多い。
詳細な解説
インド
インドはヒンドゥー教徒が多い。第2次大戦後にイギリスから独立する時、イスラム教徒はパキスタンに移住し、ヒンドゥー教徒はインドに残った。しかし、パキスタンに移住しなかったイスラム教徒も多い。現在のインドの人口は13億人、そのうちでヒンドゥー教徒が80%、イイスラム教徒は13%を占める。
ウズベキスタン
人口3,000万人のうち、イスラム教徒が78%を占める。1990年のソ連崩壊までは宗教活動は制限されていたが、連邦体制崩壊後はイスラムの宗教活動が活発になり、イスラム教各派が入り乱れている。急進派の活動は政府によって禁止されているが、時々テロが起こっている。
ポルトガル
キリスト教のうちのカトリックが大半を占める。スペイン、イタリアなどラテン民族に共通である。

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。