地理総合の研究 付2018年センター地理AB本試・追試解説 

「地理講義」の続き。「地理総合」に「2018年センター試験地理AB本試・追試の問題と解答解説」を追加。

2. 土石流と洪水などの気象災害の原因類型 地理総合

2019-01-28 17:52:15 | 地理講義

梅雨末期の豪雨(2018年7月6日の天気図)

梅雨前線が西日本に停滞した。梅雨前線上では巨大積乱雲が発生して移動、西日本各地では日量100mmを越えた。期間では1,000mmを越える大雨の地域もあった。土石流や洪水が発生し、多くの死者を出す被害になった。

土石流
広島県呉市天応地区では大屋大川が土石流災害を起こした。死者8名。大屋大川の源流域は高度500mほどと低いものの、海までは短く、急流である。また、川幅も狭く、土石流被害の拡大しやすい地形である。小規模扇状地の形成される過程ではあるが、ふだんから土石流被害は予想され、警戒はされていた。

砂防ダムの決壊
広島県坂町小屋浦地区で決壊した天地川上流の砂防ダムは、1947年、戦後の資材不足の中でつくられ、老朽化していた。大量の土砂と濁流により決壊し、高さ約11m、幅約50mの大規模の砂防ダムだが、そのダム壁が決壊流出してなくなった。死者は15名。

 
流木による氾濫
7月10日午前11時50分、広島県府中町を流れる榎川が氾濫した。流木が川のカーブや橋にたまって川がせき止められ、その周辺で水があふれ出た。浸水家屋はあったが、死者はなかった。
上流から流された流木がカーブや橋で止められて、洪水のきっかけになる例は多い。近年、山林の手入れが行き届かず、上流山地で大量の倒木があり、それが大雨で運ばれる例が増えている。

 
ダム放流
愛媛県肱川上流の野村ダムと鹿野川ダムは、大洲市周辺に灌漑用水を供給するダムであり、貯水が最優先される。このため大雨警報が出ていても貯水を続け、ダム崩壊の危険がせまった7日早朝に放水された。このため、ダムの下流域では短時間に浸水、死者4名を出した。
ダムの放流ミスによる洪水は、只見川をはじめ、全国各地で見られる。大雨がいつまで続き、どの程度降るのか、正確に予測できず、緊急放水によって洪水被害を増大させる。

 *右上は鹿野川ダム。手前は緊急放水による増水。

バックウォーター
倉敷市真備町で高梁川と小田川とが合流する。7月7日、高梁川が増水したために小田川の水が逆流し、堤防を破壊、真備町の低地が浸水した。1,200haの浸水、51名の死者の大被害であった。
河川合流点で本流の水位上昇により支流が合流できず、氾濫を起こす例は多い。

 

 *真備町の浸水

 



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