京都大学の研究で、高齢者のワクチン特異的ヘルパーT細胞は、PD-1(Programmed cell death -1) を高レベルで発現していることから、T細胞活性化を抑えている可能性が示唆されています。
加齢に伴い個体の免疫機能は、外来病原体に対する獲得免疫応答の低下(たとえばワクチン効率の低下)や過剰な炎症反応傾向などの特徴的な変化を示し、一般に「免疫老化」と呼ばれているそうです。
ワクチン接種後の免疫応答は、年齢差だけでなく個人差が顕著であることもわかっています。
免疫チェックポイント受容体であるPD-1(Programmed death receptor-1)は、腫瘍環境で過剰発現しており、T細胞の疲弊化が促進されるため、抗腫瘍免疫応答が減弱する。PD-1の阻害は細胞傷害性T細胞の免疫機能を賦活化させる。PD-1は、T細胞の細胞死誘導時に発現が増強される遺伝子として1992年に京都大学の本庶佑博士のグループによって単離・同定され、さらに、1998年に作製されたPD-1欠損マウスが脾腫、血中免疫グロブリンの増加、脾B細胞の抗IgM刺激に対する反応性亢進等を来したことから、 PD-1は生体内において免疫反応を負に制御している事が明らかとなった。
PD-1の働きをわかりやすく説明しているのが、「小野薬品工業のがん免疫.JP」です。
【PD-1は活性化T細胞に発現する免疫チェックポイント分子であり、代表的なリガンドはPD-L1、PD-L2です1,7。T細胞上のPD-1がPD-L1やPD-L2と結合すると、T細胞は活性化が抑制され機能不全に陥り、抗腫瘍免疫応答が抑制されます。
PD-L1は、抗原提示細胞やがん細胞(肺がん、大腸がん、悪性黒色腫など)で発現がみられます。がん細胞自身の遺伝子異常に由来して発現が誘導、上昇している場合と、活性化T細胞が放出する炎症性サイトカインのIFN-γによってがん細胞上に発現が誘導される場合があります7。PD-L2は活性化した抗原提示細胞やマクロファージ7のほか、がん細胞においても発現が認められています9。
がん細胞は、自身に発現したPD-L1/PD-L2を、がん組織に集まってきたT細胞のPD-1と結合させることで免疫逃避していると考えられます。】
つまり、コロナワクチン接種でPD-1が高レベルで発現して、T細胞上のPD-1がPD-L1やPD-L2と結合すると、T細胞は活性化が抑制され機能不全に陥り、抗腫瘍免疫応答が抑制されるのです。
免疫チェックポイント機構が上手く働かないと抗腫瘍免疫応答が弱体化して、悪性リンパ腫になったりがんが進行することが説明できます。