甲状腺刺激ホルモン受容体抗体(TRAb)のページを更新
- バセドウ病は自己免疫異常により、このTSH受容体に対する自己抗体であるTRAb(抗TSHレセプター抗体)が出現し発症します。このTRAbがレセプターに結合して、甲状腺ホルモンを過剰に分泌させて甲状腺機能が亢進します。 このとき体内には過剰に甲状腺ホルモンが存在していますので、 TSHは抑制されて低値を示します。
バセドウ病を発症すると、FT4 FT3が増え、TSHが抑制されます。 しかしここでみられるように、FT4 FT3が増え、TSHが抑制される病気には、甲状腺の痛みを伴わない無痛性甲状腺炎と発熱や痛みを伴う亜急性甲状腺炎とがあります。 これらの疾患は、甲状腺ホルモン値の結果だけでは診断することができませんのでTRAbの測定が診断の決め手になります。
TSHレセプター抗体(TRAb)は甲状腺細胞膜上にあるTSHレセプターに対する自己抗体で、甲状腺を刺激する抗体(甲状腺刺激性レセプター抗体、TSAb)とTSH作用を阻害する抗体(TSH作用阻害抗体、TSBAb)に分類されます。かつては測定試薬中の標識されたTSHのTSHレセプターへの結合を阻害する程度を測定していたことから、TSH結合阻止抗体(TBII)とも呼ばれていました。
TRAbはバセドウ病における甲状腺機能亢進症の原因といわれ、TRAbがTSHと同じように甲状腺を刺激することにより発症する自己免疫性疾患であることが判明しています。
甲状腺ホルモンは甲状腺から出ますが、上位の器官として脳下垂体があり、さらに上位の器官として視床下部があります。視床下部から甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)が出て、それが脳下垂体を刺激し、脳下垂体から甲状腺刺激ホルモン(TSH)が出て、それが甲状腺にくっつくことで甲状腺ホルモンが出るのです。
<出典:LSIメディエンス他>
⇒ 甲状腺の病気