「メディカルトリビューン」という医療関係者向けの資料でもワクチンによる障害の記事も出るようになっています。
九州大学眼科の八坂裕太氏らは、『COVID-19ワクチンの眼科的副作用の特徴は?
国内ではVKHが多く、ぶどう膜炎は少ない』を報告しています。
https://medical-tribune.co.jp/news/articles/?blogid=7&entryid=565888#
【虹彩、毛様体、脈絡膜から成るぶどう膜に炎症が発生し、痛みやまぶしさ、かすみなどを引き起こすぶどう膜炎は、インフルエンザワクチンやB型肝炎ウイルスワクチンなど、ほぼ全てのワクチンの眼科的副作用として報告されている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対してもワクチンが開発され接種が行われているが、どのような眼科的副作用があるのだろうか。九州大学眼科の八坂裕太氏は、国内施設を対象に調査を実施。その結果、「海外と比べVogt-小柳-原田病(VKH)が多く、ぶどう膜炎は少ないという特徴があった」と第78回日本臨床眼科学会(2024年11月14-17日)で発表した。詳細はJpn J Ophthalmol(2023; 67: 14-21)に報告されている。】
八坂氏らは、COVID-19ワクチンが眼炎症を引き起こすかどうかを検討すべく、全国の医療機関にアンケートを実施。
全国16施設から46例が報告された。
2021年2~12月にワクチン接種後14日以内に眼炎症を発症した37例が解析対象となった。
平均年齢は53.4歳(範囲26~86歳)、女性が22例だった。
ワクチンの種類はファイザー製2価mRNAワクチン(BNT162b2)が28例(75.6%)、モデルナ製2価mRNAワクチン(mRNA-1273)が8例(21.6%)、不明が1例だった。
ワクチン接種1、2回目とも、約7日経過後に発症する傾向が見られた。
再発よりも初発が多かった。
疾患の内訳を見ると、VKHが約半数を占め、前部ぶどう膜炎が続いた。
八坂氏は自施設の症例を提示。
78歳の女性は、1回目のワクチン接種から約9日後に視力低下を自覚したが医療機関を受診せず、2回目を接種。
初回接種から57日目に同氏のもとを訪れた。
視力は両眼とも0.15と低下し、眼圧は右が16mmHg、左が13mmHg、軽度の前房炎症も認められた。
眼底写真では両側の乳頭浮腫が著明に認められ、眼底三次元画像解析検査(OCT)では脈絡膜の皺襞と漿液性網膜剥離、脈絡膜肥厚も確認された。
Jpn J Ophthalmol(2023; 67: 14-21)
フルオレセイン蛍光眼底造影(FA)では乳頭からの造影剤漏出、インドシアニングリーン蛍光眼底造影(ICG)では一部に黒点が確認された。
血液検査ではHLA-DR4(関節リウマチ、1型糖尿病、インスリン自己抗体症候群との関連が強い)が陽性、髄液検査で無菌性髄膜炎を認めた。
頭痛と難聴も発症したことから、総合的にVKHと診断。
イタリアからの34例の報告では平均年齢49.8歳、発症日は初回接種から9.4日、前部ぶどう膜炎と網膜静脈塞栓症(RVO)が多かった(J Clin Med 2021; 10: 5960)。
海外19カ国70例の報告では前部ぶどう膜炎が半数以上を占めていた(J Ophthalmic Inflamm Infect 2022; 12: 4)。
Vogt・小柳・原田病(VKH)は眼、神経、聴覚、皮膚の症状を示す多臓器疾患です。
ぶどう膜炎の原因の一つである比較的稀なVKH病(Vogt-小柳-原田病、Vogt-Koyanagi-Harada病)について解説します。それぞれ別の病気と考えられて、症例報告をした先生方の名前の頭文字を取ってVKH病とも呼ばれていますが、日本では原田病という呼び名が一般的です。実は、VKH病は眼だけの病気ではなく、自己免疫によって眼、皮膚、髪、耳、神経などの多くの臓器に影響を与えうる病気で、ステロイドによる全身的な治療が必要になります。
VKH病は、メラノサイト(色素細胞)に対する自己免疫反応が原因とされており、メラノサイトを有する黒色人種やアジア人に多く見られます。発症は中年がピークですが、高齢者やもっと若年者に起こり得ます。
この疾患は、眼を含む多臓器に対して炎症を引き起こし、急性期では視力障害や頭痛、耳鳴りなどの症状が出現します。