内分泌代謝内科 備忘録

内分泌代謝内科臨床に関する論文のまとめ

2022/02/09

2022-02-09 07:40:43 | 日記
免疫チェックポイント阻害薬による内分泌機能障害の発生率についてのメタ分析・システマティックレビュー
JAMA oncology 2018; 4: 173-182

免疫チェックポイント阻害薬による内分泌障害は下垂体機能低下症、甲状腺機能異常症(甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症)、1型糖尿病、副腎皮質機能低下症に大別される。免疫チェックポイント阻害薬の種類(抗 PD-1 抗体、抗 PD-L1 抗体、抗 CTLA-4 抗体) によって出現しやすい内分泌機能異常が異なる。

抗 PD-1 抗体(ニボルマブ: 商品名 オプジーボ、ペンブロリズマブ: 商品名 キイトルーダ)は抗 CTLA-4 抗体(イピリムマブ: 商品名 ヤーボイ) と比較すると、甲状腺機能低下症が出現しやすい (OR 1.89, 95%CI 1.17-3.05, P = 0.03)。

抗 PD-1 抗体と抗 PD-L1 抗体(アテゾリズマブ: 商品名 テセントリク、アベルマブ: 商品名 バベンチオ、デュルバムマブ: 商品名 イミフェンジ) では甲状腺機能低下症の発生率については差がないが、甲状腺機能亢進症の発生については抗 PD-1 抗体の方が多い(OR 5.36, 95%CI 2.04-14.08, P = 0.002)。

抗 PD-1 抗体は抗 CTLA-4 抗体と比較すると下垂体機能低下症の発生が少ない (OR 0.29, 95%CI 0.18-0.49, P < 0.01)。

1型糖尿病と原発性副腎皮質機能低下症については全体に発生率が少ないので、製剤間の発生率の差は不明である。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5838579/