左室駆出率が保たれた心不全 (HFpEF)に対するエンパグリフロジンの心不全入院の抑制効果を検討したプラセボ対照ランダム化比較試験 (EMPEROR-Preserved)
NEJM 2021; 385: 1451-1461
対象は左室駆出率 40%以上の心不全患者 6000人弱で、観察期間は中央値 26ヶ月。主要評価項目は心不全による入院と心血管死の複合イベントだが、実質的には心不全入院。エンパグリフロジン 10 mg 服用で、心不全入院が 27% 減った。
ディスカッションには、スピロノラクトン、カンデサルタン、サクビトリル-バルサルタンの臨床試験では、EF 40-49%の患者では効果がありそうな結果だったので、HFpEFの患者をEF 50%、60%で区切って、EF 40-50%の患者を多く組み込むように計画したと書いてある。
実際、データを見ると、EF 50%以上では HR が 1 をまたぐようになる。SGLT-2阻害薬だけでなく、スピロノラクトンや ARB、サクビトリル-バルサルタンでも EF 50%以下であれば心不全入院の予防効果があるのかもしれないし、EF 60%以上では SGLT-2 阻害薬でも心不全入院の予防効果はあまり期待できないのだろう。
https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2107038