内分泌代謝内科 備忘録

内分泌代謝内科臨床に関する論文のまとめ

2022/06/02

2022-06-02 08:03:22 | 日記
抗 LGI-1 抗体陽性辺縁系脳炎では 60-88%で治療抵抗性の低ナトリウム血症を合併するのに対し、ウイルス性脳炎で中枢性塩分喪失症候群を合併した例は疑い例も含めて3例しか報告がない。

結核性髄膜炎では 4-7割で中枢性塩分喪失症候群を合併するのに対し、ウイルス性髄膜炎や癌性髄膜炎では稀。

低ナトリウム血症はとてもありふれているけれども、よく診察して、よく文献を調べればカラフルな世界が広がっているのだなあ…と思う。

脳炎に合併した中枢性塩分喪失症候群の症例報告
J Neurol Neurosurg Psychiatory 2003; 74: 277

脳炎で入院した 26歳男性。ウイルス性脳炎が疑われたが、単純ヘルペスウイルスと水痘ウイルスの PCR は陰性だった。経過中に中枢性塩分喪失症候群を合併した (12時間で高張尿が 6 L 出て、血清ナトリウムが 136→123 mEq/L に低下した。中心静脈圧も低下した)。ナトリウム補正後、フルドロコルチゾン内服を開始し、改善した。


ウエストナイルウイルスによる脳炎に合併した中枢性塩分喪失症候群の症例報告
Ideggyogy Sz 2021; 74: 430-432



ウイルス性脳炎 (疑い) に合併した中枢性塩分喪失症候群の症例報告
日本腎臓学会誌 2006; 48: 669-674

ウイルス性脳炎に合併した中枢性塩分喪失症候群の初めて報告だと主張している。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17128884/