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世の中の多くの人が毎日ニュースで日経平均株価を目にしているだろう。日本の株式市場の代表的な株価指標であり、政府の経済統計にも用いられている。
株式指数には、組入銘柄の時価総額合計を基準となる一時点での時価総額合計で除算して求める「時価総額加重平均型株価指数」と、組入銘柄の株価合計を除数で除算して求める「株価平均型株価指数」があるが、日経平均株価は後者であり、東京証券取引所第一部に上場する約2000銘柄の株式のうち225銘柄を対象にしている。
ここのところバブル崩壊後の最高値を記録しており、景気の実感とはマッチしていないが、日々の株価の動きは誰もが気になるところだ。

では、日経平均株価を初日まで遡るとどうなるのだろうか。

日本初の公的な証券取引機関は1878年に創設された東京株式取引所 (渋沢栄一らが発起人) で、その後全国の11株式取引所 (東京・大阪・横浜・名古屋・京都・神戸・博多・広島・長崎・新潟・長岡) が1943年に統合され日本証券取引所が発足した。しかし戦争下で売買は行われず1947年に解散し、その後1949年4月1日に東京証券取引所が設立され5月16日に売買立会が始まった。
この時点ではまだ株価指標はなかったが、翌1950年9月7日に平均株価の計算が開始され、売買開始の1949年5月16日まで遡って算出された。それが176円21銭で、採用銘柄の単純平均株価であった。当初は「東証第1部修正平均株価」という名称だった。
1952年に年率+118.38%で前年の166.06円から362.64円になるなど、その後も戦後の経済成長とともにどんどん上昇していった。
一方で東京証券取引所は1969年の東証株価指数(TOPIX)公表開始の翌1970年6月で東証第1部修正平均株価を打ち切り、7月から日本経済新聞社が後を継いだ。「NSB225種平均株価」「日経ダウ平均株価」を経て、1985年から「日経平均株価」という名称が使われている。

1949年からの全推移グラフは以下のとおりだ。 よく知られるようにバブル期の1989年12月29日の38915円が最高値で、これは初値の221倍となる。また最高値以前と以後のグラフの違いが著しい。

日経電子版 「古希」迎えた日経平均 戦後経済史を映し出す:なるほど日経平均70周年
https://indexes.nikkei.co.jp/atoz/2020/09/70thanniv1.html



それでは、諸外国の株価指数の起源はどうだったのだろうか。
現在のような株式を売買する証券取引所の起源はオランダで、1602年にオランダ東インド会社が発行した株式がアムステルダム証券取引所で売買された。しかしヨーロッパ各国の証券取引所の株価指数はオランダのAEXは1983年、ドイツのDAXは1988年、イギリスのFTSE100は1984年など総じて新しい。アジア各国や外の地域も同様で、21世紀以降に新設された株式指標も多い。
そんな中で最も古い株価指数は、1896年5月26日に開始されたアメリカの「ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) 」である。いわゆる「ダウ平均株価」「ニューヨーク‣ダウ」だが、この「ダウ」は創始者の人名である。世界でも最もニュースで名前を呼ばれる人物ではないだろうか。

チャールズ・ダウ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%80%E3%82%A6

チャールズ・ヘンリー・ダウ(Charles Henry Dow, 1851年11月6日 - 1902年12月4日)は、アメリカ合衆国のジャーナリスト・証券アナリスト。
ハイスクールを中退後、新聞記者になる。主にニューヨーク証券取引所での相場に関する記事を執筆し、その取材の経験から「株価は全ての事象を織り込む」というダウ理論を提唱。テクニカル分析の先駆者の一人となる。
1882年にはエドワード・ジョーンズやチャールズ・バーグストレッサーと共にダウ・ジョーンズを設立、当初は手書きの経済ニュースレターをウォール街の経済関係者に配布し始める。このニューズレターがやがて発展し1889年7月に『ウォールストリート・ジャーナル』となる。1896年にはニューヨーク証券取引所の株価動向を示す指標として同紙にダウ・ジョーンズ工業平均株価を掲載し、これは今日に至るまで証券関係者に幅広く活用されるようになった。




ダウ・ジョーンズ社による株価指数は、すでに1884年以降Dow Jones Averageの名称で公表されていたが、当時のアメリカの産業構造を反映し、鉄道事業者が中心の構成でり、19世紀末の経済発展を受け、従来のダウ平均 (輸送株中心) と分離する形で、1896年に農業、鉱工業などの12銘柄により、Dow Jones Industrial Averageの算出が新たにスタートものである。1896年以前を含めた初期の数値標について以下の記載がある。

Dow Jones Industrial Average - History - Early Years
https://en.wikipedia.org/wiki/Dow_Jones_Industrial_Average#Early_years

When it was first published in the mid-1880s, the index stood at a level of 62.76. It reached a peak of 78.38 during the summer of 1890, but ended up hitting its all-time low of 28.48 in the summer of 1896 during the Panic of 1896. Many of the biggest percentage price moves in the Dow occurred early in its history, as the nascent industrial economy matured. In the 1900s, the Dow halted its momentum as it worked its way through two financial crises: the Panic of 1901 and the Panic of 1907. The Dow remained stuck in a range between 53 and 103 points until late 1914. The negativity surrounding the 1906 San Francisco earthquake did little to improve the economic climate; the index broke 100 for the first time in 1906.

そしてダウ平均は当初は以下の12の銘柄から構成された。(1928年から30銘柄となった)
1. American Cotton Oil Company 現在のUnileverの一部
2. American Sugar Refining Company 現在のDomino Foods (Domino Sugar)
3. American Tobacco Company 1911年の独占禁止法訴訟で解散
4. Chicago Gas Company 1897年にPeoplesGas Lightに買収された
5. Distilling & Cattle Feeding Company 現在のMillennium Chemicals
6. General Electric ゼネラル・エレクトリック
7. Laclede Gas Company 現在のSpire Inc
8. National Lead Company 現在のNL Industries
9. North American Company 1946年に米国証券取引委員会によって解散された電力会社持株会社
10. Tennessee Coal, Iron and Railroad Company 現在のU.S. Steel
11. United States Leather Company 1952年に解散
12. United States Rubber Company 1990年にミシュランがタイヤ事業を買収

特筆すべきはゼネラル・エレクトリックで、一時指定銘柄を外れたこともあったが1907年以降組み入れられていた。しかし2018年に除外されてしまった。これも時代の流れだろうか。

ダウ工業株30種平均の全推移グラフ (2016年まで) は以下のとおりで、単位の縮尺を調整しないと示すことができないほど伸びている。

Apollo Wealth Management - 120 Years of the Dow Jones Industrial Average
https://apollowealth.com/one-chart-120-years-of-the-dow-jones-industrial-average/



この後もさらに伸び続け、2000年11月24日には史上初めて30,000ドルを超えた。これは初値の478倍というレベルだ。
このように見ると、株式指標の推移を歴史として見るにはいいと思うが、株価の動きが経済の実態に則しているとは言い難い。街角で肌で感じる景況感が一番しっくりくるのは疑いない。


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