障害者の声を無視した障害者総合支援法の成立に強く抗議する(談話)
全国福祉保育労働組合書記長 仲野智
会期末にあわただしく強行するように、6/19(火)参議院厚生労働委員会、6/20(水)参議院本会議で障害者総合支援法案の審議が行われ、民主・自民・公明の賛成により可決。これにより、障害者総合支援法が成立した。衆参の厚労委員会あわせても6時間程度と十分な審議時間も取らず、また、参考人質疑等で障害者当事者の声を聞こうともせずに採決・可決したことに対し、怒りを持って強く抗議する。
「障害者自立支援法の廃止」を公約に掲げ誕生した民主党政権のもと、障害者自立支援法違憲訴訟団と政府は基本合意文書を交わし和解した。基本合意で政府は、「障害者の尊厳を深く傷つけた」ことを認め遺憾の意を表明し、原告たちからの提起を真摯に受け止め、新法をつくることを約束した。内閣府に置かれた制度改革推進会議・総合福祉部会において、「障がい者総合福祉法(仮称)」に向けた審議が行われ、「骨格提言」が委員の総意によってまとめられた。
しかし、国会に提出された障害者総合支援法案は、障害者自立支援法の名称を変更したことで「廃止したこと」にしただけの障害者自立支援法「改正」法案であった。連日、国会前に多くの関係者が集まり、「私たちぬきに私たちのことを決めないで!」「障害者総合支援法反対!」「障害者自立支援法を即時廃止しろ!」と抗議の声をあげ続けたのは、障害者総合支援法が基本合意も骨格提言も踏まえていない内容だったからに他ならない。
障害者自立支援法を廃止にすると障害者をだまし、障害者の権利・財産を略奪する政府・厚労省の行為は、国家的詐欺と同じである。ふたたび、障害者の尊厳を深く傷つけた民主・自民・公明の蛮行を決して許すことはできない。
障害者の願いや基本合意・骨格提言を乱暴に無視した背景に「社会保障と税一体改革(以下、一体改革)」がある。政府・厚労省は「一体改革」で①社会福祉に対する国や自治体の責任放棄と利用者の自己責任化②社会福祉のすべてを商品にするため保険化(利用者への現金給付化)③国の財政負担の縮小を行い、「権利としての福祉」を破壊し、「福祉の商品化」をすすめようとしている。そのためにも、政府・厚労省は、障害者福祉を「骨格提言」にもとづいた「権利としての福祉」に戻したくなかったのである。新自由主義にもとづく「福祉の商品化」を阻止しない限り、障害者の声を聞いた、障害者の権利を保障する「障がい者総合福祉法」の制定はありえない。
「一体改革」は民主・自民・公明の密室談合によって修正協議が合意された。しかし、衆議院での採択、参議院での審議はこれからである。「一体改革」の廃案をめざす大きな運動を今以上に強め、「権利としての福祉」を取り戻し、障害者の声を聞いた「障害者総合福祉法」の創設をめざし、福祉保育労は関係者とともに引き続きたたかっていくことを決意する。
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