「武器輸出と日本企業」(望月衣塑子著;角川新書)
戦争法が成立し自衛隊に新たな任務が出される・武器輸出3原則が事実上撤廃され防衛装備庁が新設される等、海外で戦争のできる体制が徐々に確実に作られようとしている中、どのような現状にあるのか知りたく手に取りました。
著者は東京新聞社会部記者。加計学園をめぐる問題等に対して官房長官にするどく質問する姿が話題になっていますが、本書もテーマに深く切り込んだ中身になっています。粘り強く丁寧に行われた取材をもとに、武器輸出をめぐる現状が書かれていました。
読み終えて、ほんとうに恐ろしい状態になっているなと背筋が寒くなりました。政治及び経済はすべて人々の暮らしに貢献するのが本来の役割なのに、新自由主義による経済政策のもと、お金のあるなしですべての価値判断を行うという間違った方向が進められています。武器を売ることによって誰が儲かるか、誰が不利益を被るかは明らかなのに。こんな状態を放置はできません。お金の使い方、政治の方向を変えないといけないですね。
「デュアルユース」は、民生用にも軍事用にも使える技術のことと説明がありました。便利だなと思っている技術の背景や方向について、私たち自身がよく考えないといけないですね。
「国の政治に何か重大な変化や転換が起きるときは、その前兆として現れるのがまず教育と学問への干渉と圧迫である」(南原繁)との発言は、今の状況を如実に表していると思いました。
お勧めの一冊です。
http://booklog.jp/users/na1129jr/archives/1/404082086X
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/e9/abfa4c750bacb6b022dd61b7d6f91520.jpg)