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一度一度の機会を大切に。

東海市消防署の電源車(照明電源車)

2022-09-25 10:46:02 | 消防車両(名消以外)

照明電源車を調べていたところ、非常に興味深い記事を見つけたので紹介する。
東海市消防本部東海消防署における、照明電源車導入の経緯である。ちなみに当消防本部消防署では「電源車」と称する。記事は当時の消防本部次長が寄稿したものなので信憑性も高い。

消防本部の規模や管轄内の事情等を踏まえ、個人的には「製鉄所での災害に備えての導入である」と考えていたので、このような導入経緯は意外であった。

愛知県東海市公式ウェブサイト>市の組織>企画部>秘書課>副市長&部長メッセージ
2013年8月1日No.316「消防車両の紹介」より筆者がスクリーンショットしたもの。

No.316「消防車両の紹介」/東海市

ちなみに記事内にある「シアン化ナトリウム」災害について、下記のリンクが参考になる。
12:00頃の発災し、鎮火は翌日の朝7:00頃とある。夜間における照明電源車の役割が大いに覚知された事案だろう。

失敗事例 > シアン化ナトリウムなどの毒劇物貯蔵倉庫の溶接の不始末による火災

愛知県内でも数少ない照明電源車であるが、今後の動きに関し東海消防では「災害時の非常用電源として」必要性を感じているようなので、継続管理及び更新時にも期待を寄せたいところである。
ちなみに記事の最後にある消防団での訓練時の様子だが、筆者が照明装置を常設している訓練場で確認した際は活躍(使用)していないと付け加えておく。


以下は筆者が撮影した東海消防の「電源車」である。撮影できる機会はいくつもあったのにも関わらず、形式的な写真がひとつもなく非常に悔やまれる。

東海市消防出初式での後方部分を撮影。当時の主目的は手前の給水車(水槽車)なので照明電源車に関心を寄せていなかった。撮影後は名古屋市の出初式に向かうため気持ちにも余裕もなく、車両移動後に照明電源車を撮影しようという考えに及ばなかったものである。

ちなみに補助警光灯はストロボ式で、その下には補助制動灯と方向指示器らしき左右に二分割された灯具が確認できた。種類や製品番号含めてきちんと確認しておくべきだったと後悔している。既存車両用の灯具ではない選択に設計者の美意識を感じる。素晴らしい。

東海市消防署での点検が行われている際に撮影。先代の「電源車」である。主塔にキャブバッククレーンを採用した車両で平成9年度に名古屋市消防局が採用した手法である。
電柱やバス停が写り込んでいるが、歩道空地からの撮影であればベストな画角でキレイに収まるのである。それにも関わらず地元意識で後回しにした結果の写真である。

こちらも東海市消防出初式での写真である。照明電源車を主体とするならば形式写真に必要な画角を得るのに時間を要す場面。目的が給水車なので時間を割いて撮影しないのも当然の行いであるが、見返すたびに悔やまれる。

東海市消防署にお邪魔した際に撮影した現行の「電源車」である。消防年報によれば平成30年2月26日登録。日野デュトロ(TPG-XZU640M)後輪駆動車をベースに、架装は日本機械工業。照明装置を湘南工作所のシステムで構築する(主塔は2機)赤色警光灯類は主補含めてWHELEN製で統一しており、近年における東海消防のトレンドである。

こちらは救助工作車の点検風景である。照明装置の点検を行っていたので撮影させてもらった。近年では救助車やタンク車の上部に小型で高性能な照明を備えることができる。通常での活動であれば主力車両の照明装置で事足りる場合も多いことだろう。冒頭にも記したが、東海消防における照明電源車の役割は、通常の災害での活動よりも非常用電源や広義での消防活動で使用されることが伺える。

この写真は初代と思われる東海市消防本部の照明電源車(三菱FM316/森田ポンプMOE2)車体の表記からも現在の「電源車」ではなく、当時は「電源照明車」であることが伺える。撮影は平成10年頃。照明装置にカバーが掛けられているのが東海消防の照明電源車の特徴であり、撮影時少し残念に感じた部分だ。

参考までに平成10年の資料によれば愛知県内では下記の消防本部に照明電源車が配置されていた。
名古屋市4両、豊橋市(以下1両)、岡崎市、一宮市、瀬戸市、春日井市、豊田市、新城市、東海市、知多市、知多中部広域(半田)の計14両である。現在(2022年)では用途廃止や機能統合などで数も減少し、純粋な照明電源車は春日井市と東海市のみとなった。


覚書
日本機械、平和機械、モリタ、小川ポンプ、山佐産工、赤尾、内外ガード、キンパイ商事


モリタ製屈折はしご車の機番三種類

2021-03-13 02:08:41 | 消防車両(名消以外)

本年度、名古屋市消防局に13mブーム付多目的消防ポンプ自動車「ブーム付消防ポンプ自動車」が導入された。ブームの先端に救助用バスケットを備えた車両としては昭和62年度以来の導入となる。
この導入をきっかけに近年の屈折はしご車を調べていくと、機番が三種類あることに気付く。情報過多の現代において今回のエントリーはメモ程度の内容であるが、私がかつて撮影した屈折はしご車と共に、三種類の機番を整理したいと思う。ただし、今回取り上げる三種類はすべてモリタ製と限定する。

ちなみに同様のブーム型の塔構造をもち、その先端に救助用バスケットを備えない高所放水を主とした、屈折放水塔車や大型高所放水車(別名スクアート車)については車両が違うので今回のエントリーでは取り上げない。あくまでも屈折はしご車、スノーケル車、空中作業車である。

■MSA型(東京消防庁・堀留LS)
手元に機番を特定できる資料が存在しておらず型式と写真の車両との関連付けは推測である。しかしながら製造元発行の資料と消防機器便覧の資料と照らし合わせた結果を踏まえMSA型とした。
MSA型は7~8トン車級の車台に架装され、塔体は二節ブーム構造、規格地上高は約16mである。現在では規格地上高20m以上と定められているため二節ブーム構造のMSA型は製造されていないと思う。


■MSB型(大府市消防署)
MSB型は7トン車級の車台に架装され、A-2級水ポンプを搭載する。塔体の基部側が三段伸縮ブーム、その先に関節機構をもったブームで構成され、従来の二節式より複雑な塔構造となる。バスケットが車両中央部に抱え込まれる形で収納され、また前部への塔体張り出しも少ないためか、車両全長が従来のMSA型より短縮されている。規格地上高は約21m。バスケットは首振り機構を備え、高所作業車に近い構造である。そのため塔体の製造は高所作業車等の製造を得意とする日本企業ではないかと個人的に推測する。


■MSC型(知多市消防署)
MSC型はMSB型よりも大型化された機種で8トン車級の車台に架装される。塔体の構造は前述のMSB型と同様であるが、規格地上高20mと25mが製造者より用意されている。車台や機関出力が大型化されたことにより水ポンプの高容量化や規格地上高25mの塔体を備えることができ、大型高所放水車(筒先高さ22m以上)として運用することも可能である。


以上、簡単であるがこのようなまとめ方とした。
MSA・MSB・MSCと機番が変化しているが、Mはモリタ、Sはスノーケル、A・B・Cは機種の発展順ではないかと推測するがいかがでしょうか。

久しぶりにウェブログを更新するにあたり、話題を決め、調べ、作成しましたが実に時間の要する作業であると感じた。
普段はフェイスブックにて友人限定で情報を発信している。気の知れた人間同士の交流であるが故に、発信内容にそれほど気を配る必要もなく短時間での発信(更新)が容易だ。しかしながらウェブログでは閲覧対象が不特定多数であるため、発信(更新)した内容に誤りを極力発生させないように予め調査する作業が必要である。そのため長年、名古屋市消防局の車両のみを調査の対象としてきた私が屈折はしご車、スノーケル車という不慣れな車両に焦点を当ててしまったため、内容に不備があった際にはコメント欄等で知らせて欲しい。

最後に書棚を検索していたら古い写真が出てきたので掲載しておく。
東海市消防署の屈折はしご車